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「1917 命をかけた伝令」オートチューン

この映画、2020年アカデミー賞、録音賞をとったのでIMAXで見て来ました。
録音賞とは、現場の録音、アフレコ、フォーリー、効果音、ミキシングの賞です。色んな人が携わってますが、まあ音楽以外の音といった所です。

録音方法
ワンカットのように見せていて、カメラも回転したりしているので
実際カメラの後ろにスタッフが居る事が不可能です
なので、ガンマイクを入れ込む事がかなり無理なカットが多かったですね。

恐らく殆どが、ピンマイクを洋服やヘルメットに仕込み、
送信機と録音機を演者のリュックに入れておき
カメラが常に演者に近い位置ににあったので、
そこにワイヤレスマイクのアンテナをつけたのではと考えてます。
そうすれば、撮影ベースまでマイクを飛ばせますし
万が一飛ばなかったとしても、リュックの中で録音出来てますから。
ただし、あまりセリフもなかったので、全編アフレコも可能な映画です。

メイキングを見ると、ガンマイクでも録音してますが
あれは現場音を予備で取っていて、実際には殆ど使えないと思います。
カメラマンやスタッフの足音、カメラカーの音も相当入ってしまいますからね。


アフレコ
アフレコと現場録音を聞き分けるポイントは、
口に音が合っているかと、セリフ前後のノイズです。

ノイズ除去ソフトで加工しても、前後のノイズが多少残ったり現場の他の音が入ったりします。それを聞き分けるのです。
ここまでくると、もう職業病ですね。笑

オートチューン
さて、タイトルのオートチューンですが
とても大事なシーンで、「兵士の歌」が遠くから聞こえて来ます。

ネタバレしますので、細かく書きませんが
そのシーンで「あれ?なんで大自然なのに、ボーカルシンセ(クワイヤ的なもの)が聞こえるんだろう」と思いました。
シンセ音源は音程がクロマチックなので、それに残響を乗せたような音です。
カメラが寄って行き、それが人だとわかると「なるほど」と思いました。

何故そうなったか
アフレコか音楽録音で、兵士役に歌を頼んだ所、とても下手だったのでオートチューンをかけたのだと予測します。
そしてこのオートチューン、慣れている人が扱わないと
全て音程がクロマチックになってしまい、音程が「棒状」になります。
半音の半音とかが無くなってしまうんですね。

それに作業中に何度も聞いていると、耳が慣れてしまい、
オートチューンがかかっている事が分からなくなったりします。
これも逆を言えば、職業病みたいなものです。

もしくは、その逆もあります。
現在世の中にある音楽は殆どオートチューンを多用しており
クロマチックな音程処理に耳が慣れてしまい
歌い手もそう歌ってしまう、という事もあります。
音程が言葉の最初から最後まで、ぴったり合っている事が不自然に感じないのです。

この場合は、前者で、音程を合わせたのだと考えてますが
あきらかにやりすぎです。
これはオートチューン関連を触った事がある人ならば、気付く筈です。

そんな所を意識して、是非映画館で聞いてみてください!


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