リーダーシップをどう学ぶか、育てるか
こんにちは
私は株式会社マネーフォワードでエンジニアリングマネージャーとして良いプロダクトを作れる良いチームを作るために日夜奮闘しています。
今回は当社で行われているLeadership Forward Programというリーダー育成プログラムの軽井沢合宿に参加して学んだことを振り返っていきます。
過去に参加したメンバーの記事もありますので、興味を持っていただいた方はそちらもお読みいただけると学びがあるかと思います。
なぜLeadership Forward Programに参加したのか
私は大阪、京都のエンジニアを中心としたエンジニアチームのマネジメントを担当しています。最近は東京や海外の拠点にもチームを作り、多拠点での開発にチャレンジしています。また、開発組織のグローバル化が進んでいく中で多様なバックグラウンドを持つメンバーによってチームが構成されるようになっています。
そのような状況でエンジニアリングマネージャーとしてリーダーシップを発揮して、より良いチームづくりをしていくことは自分にとってはかなりのチャレンジです。まさに強いリーダーシップが求められる状況だと認識しています。
しかし、正直にいうと、「リーダーシップ」という言葉は自分にとってはかなりの重荷でもあります。学生時代まではクラスの隅っこで眺めているタイプだったので、リーダーシップを発揮した経験は皆無でした。そのため、自分は「リーダーシップがない人間だ」という自己認識があり、今でも引きずっているところがあります。社会人になってからは、幸いにも?グループリーダーやマネージャーとして「リーダーシップ」を求められる機会が増え、その度にどう振る舞うべきか悩みながら向き合ってきました。
そんな中、CTOの中出さんから「Leadership Forward Programに参加してみないか」というお誘いをいただきました。このプログラムはそれなりの時間を投資して学ぶ形式です。そのため業務との折り合いをつけられるか不安に思い、参加するか迷っていましたが中出さんからのお誘いをきっかけに現状を振り返って、今ここでリーダーシップについて学んでおくことは今後の自分にとって必要である、との結論に至り参加することとしました。
このプログラムに参加するにあたっての私の期待値は以下の通りでした。
リーダーシップとは何なのか、言語化が促進される
社内のマネージャーたちのリーダーシップのスタイルを学んで取り入れる
社内のマネージャーたちとの関係性を構築する
軽井沢合宿の様子
合宿は軽井沢のキャンプ場「ライジングフィールド軽井沢」さんでの開催でした。実は本格的なキャンプ場に行くのが人生初めてだったので、そういう意味でもドキドキしながら会場に向かったのを今でも覚えています。(余談ですが、キャンプ場としてもとても良かったので家族でも来てみたいなと思いました)
合宿は2日間で、ライジングフィールド代表の森さん、チームボックス代表の中竹さんからのセッションや、当社社長の辻さん(note)との対話会などが行われました。セッションはグループワーク・個人ワークを織り交ぜながら進行され、時には野外でのアクティビティを通じて学ぶものもありました。
ここからは2日間の合宿で印象に残ったことを書き綴っていきます。
認知バイアスと向き合う
人間は必ず認知バイアスを持っています。
これはマネージャーになりたての頃に学んだことで、採用活動や人事評価などに関わる上で、自身がどんなバイアスを持って判断をしているかを常に意識しているつもりでした。
しかし、最初のワークで改めて認知バイアスを実感する体験をさせていただき、自分の未熟さを再認識することができました。ネタバレになるので詳細は書けないのですが、ネタバラシされた時の「してやられた!」という感情はとても印象深いものでした。
五感をフル活用する
みなさんは、普段の生活、お仕事で五感を全て活用されていますか?
アクティブラーニングのワークを経て、いかに自分が五感を利用していなかったか、忘れてしまっていたかを思い出させていただきました。(子供の頃にはもっと感じていたことが多かったような気がするので思い出した、という表現を使っています)
あわせて、人間が最も影響を受けているのは視覚からの情報ということを教えていただきました。さらに私はソフトウェアを作る仕事をしているが故に、余計に視覚からの情報に(特に業務の際には)頼り切っていたことに気づきました。特にハイブリッドワークになってからはテキストチャットやビデオ会議など、その傾向が強くなったように感じます。
正直なところ、仕事において五感を活用したら良いかという具体的なHow toを体得できてはいないのですが、ハイブリッドワークの中でのオフラインの時間をどう有意義なものにするか、という観点でヒントになったと感じています。
また、家庭では、自分の子供達にも五感が刺激されるような体験ができるところに連れて行ってあげたいなと思いました。
感情と姿勢
私は振り返りを行う際には、どうしても事実だけ、ロジックだけで正しいものを導き出そうとしてしまう傾向にあります。
しかし、セッションの中でその時の感情はどうだったか、どういう姿勢で臨んでいたのか、という観点で振り返ってみよう、というワークを実践する中で自分では意識していなかった自分自身に気づくことができました。
人間は感情を切り離すことはできないですし、その影響を大きく受けて行動しています。そのため、日頃の業務でもすぐに実践できるTipsだと捉えていますので、チームの振り返りなどで試していっています。
また、インサイド・ヘッドという映画を題材に人間の感情はネガティブなもののほうがバリエーションが多い、ということも教えていただきました。なので、そういうものだ、ということを受け入れた上で感情と向き合っていけるよう、自分自身もチームメンバーにも伝えていければと考えています。
経営者としての意思決定・覚悟
今回の合宿に向けての課題図書として「CEOエクセレンス」が設定されており、この書籍を読んだ上での疑問点や、経営者としての経験を辻さんに聞きました。
詳細はここには書けないのですが、色々なお話を聞いて経営者としての覚悟を感じられ、身が引き締まる思いでした。
また、意思決定についてもフレームワークを用いて構造的に説明していただきました。個人の意思決定だけでなく、チームで意思決定をする場合のTipsなども教えていただき、自チームでの活用ができる知識を得ることができました。その他にも「決断」と「判断」の違いなど、普段何気なく使っている言葉の違いを意識してみるなど、新しい視点を得られる内容が盛りだくさんでした。
焚き火での語らい
1日目の最後には懇親会があり、さらにそのあとは焚き火を囲んで話しあう時間が設定されていました。
焚き火の魅力に導かれて、プライベートな話も含めていろんな自己開示が進みました。私も、とある方と出会ったばかりの頃に伝えたかったけど、タイミングを見失っていたことを伝えることができて、とても良い機会となりました。
改めていろんな方と一緒にお話をして、人にはそれぞれ人生があって、希望があってこの会社で一緒に働いているんだなぁ、というのを実感しました。
(ちなみに、焚き火の後の二次会も最後まで参加して、しっかりと後片付けまで担当しましたw)
自分らしいリーダーシップ
2日目にはAuthetic Leadershipについてのセッションがありました。Authetic Leadershipと言われると難しい感じがしますが、日本語にすると「自分らしいリーダーシップ」と理解してもらって良いですよ、と教えていただきました。
リーダーシップを発揮する素地がどのように備わっているかを考える際に、水平的成長(能力・スキル)と垂直的成長(人間性・器)に分けて言語化する、という概念を教えていただきました。
私自身は技術力やロジカルシンキングなど、どちらかというと水平的成長の方が進んでいて垂直的成長が足りないと強く感じました。当社のマネージャーの特徴なのかもしれませんが、今回一緒に参加した方々の人間性や器は素晴らしく(眩しくすら感じました)自身の至らなさと伸び代を強く認識しました。
また、自分らしさを認識するための外的自己認識についてのワークショップでは他の方からフィードバックをいただき、自分が認識していなかった自分にも気づくことができて学びがありました。特に、自分が認識しているよりも率直にものを言う人だと認知されているというのは良くも悪くも認識した上でコミュニケーションをとっていこうと思いました。
とはいえ、自分らしさを正しく認識することも難しいですし、自分らしさを活かしたリーダーシップが何かを掴むことは今の自分にとってはチャレンジなので引き続き研鑽していきます。
アンラーニング
最後に、捨て去りたい自分の思い込みや価値観を紙にかいて燃やす、というアンラーニングの儀式がありました。
私自身、ビジョナリーというよりは実務家タイプのマネージャーなので、背中で語る、背中を見せてリードしていきたいという気持ちがマネージャーになった頃からずっとありました。しかし、その価値観が故に現場に首を突っ込みすぎて自分でソリューションを考えてしまい、チームメンバーの成長機会を奪ってしまっているという課題感も持っていました。
そのため、チームが自律して解決できる課題のソリューションを自分で考えることを捨てました。常に課題をどう解決できるかを考えて、アクションしてきた自分にとっては不安になる気持ちもありますが、自分とチームの成長のためにアンラーニングしていく所存です。
素晴らしい仲間たち
今回参加しているメンバーは一定以上の役職者で構成されていて、もちろんロジカルシンキングだったり、高いコミュニケーション能力で議論やワークショップが進んでいくのもすごいと思ったのですが、それだけではなく、運営の方を自発的に手伝ったり、気遣いをしたりと本当に素敵な方々だなと感じました。
ここでも垂直的成長をされている方々なんだな、というのを認識しました。
また、一人一人がこの合宿で1つでも多くのことを得て帰ろう、という姿勢が見え、自分としてもすごく刺激をもらうことができましたし、モチベーションが高まりました。このような合宿は参加者の学ぶ姿勢が成果に直結すると個人的には考えているので、そういう意味ではこの合宿を参加者全員で有意義なものにできたのではないかと感じています。
今回、私と同じエンジニアリングマネージャーで面識のある方も多く、親交を深められたのもありますし、これまで接点のなかった他組織のセールスマネージャーの方とも触れ合うことができて、また1つマネーフォワードのことを知ることができたなぁ、と感慨深い気持ちになりました。
コンテンツの組み立て
各セッションで見たこと、聞いたこと、感じたことが次のセッションに活かされる、など全てに意図がある内容になっていてワークショップ設計のプロフェッショナルを感じました。
私自身も自チームのワークショップの設計などを実施する機会も多いのでコンテンツの組み立て方など、参考にできる部分が多く、そういう観点でも非常に勉強になりました。
合宿の振り返り
合宿を経験してから、およそ1ヶ月後に何人かで集まって振り返りをするワークショップが開催されました。そこで話した内容を書き留めておきたいと思います。
合宿の後に変わったこととして、以下のようなポイントがありました。
垂直的な成長を実現するための言語化の機会を増やすようになった
チームでの意思決定に対して、決め方を決めるアプローチを導入できるようになった
自身の職責を振り返って、自身の行動をよりマネジメントとして必要なものに絞るようになった
(軽井沢で燃やしてきたので)自分でソリューションを考えない、手を出さない、ということをやりながら、メンバーが適切に失敗を経験できるように自分がどこまで関わるかのライン引きをする
そして自組織への関わり方、という観点では開発組織の真のグローバル化を進めていく上で、直接マネジメントしていないチームにどれだけ良い影響を与えることができるか、というのも強く意識するようになりました。
最後に
実は軽井沢合宿はこのプログラムのDay1に位置付けられるもので、まだプログラム全体は終わっていません。しかし、一度ここで振り返って期待値に対してどのようなことが得られたのか改めて棚卸しして結びとします。
リーダーシップとは何なのか、言語化が促進される
「自分らしいリーダーシップ」という概念は自分にとって、とてもしっくり来るものでしたし、振り返りや自己認識、自己成長など自分では気づけなかった構造に気づくことができました。
私のマネジメント範囲のマネージャー、リーダーたちにこの知識や経験を伝えることができるようになったことは1つ言語化が促進された成果であったと考えています。
社内のマネージャーたちのリーダーシップのスタイルを学んで取り入れる
ワークショップを通じて、いろんな方のリーダーシップのスタイルを拝見することができました。正直にいうと、何か取り入れてみる、というところまでは行っていないですが、これをヒントに自分らしいリーダーシップを身につけていければと考えています。
社内のマネージャーたちとの関係性を構築する
初めてお会いして、お話した方も多かったのですが、みなさんとてもオープンマインドで色々なお話をさせていただき関係性が広がったと感じています。
また、不思議なもので軽井沢で出会って以降、業務で関わり始める方も増えてきて縁を感じています。
リーダーシップという、目には見えないけど、確かに存在するものを学ぶことは難しいことだと思いますが、私にとってはこのLeadership Forward Programは良い学びの場になりました。このような場を用意していただいた皆様、誘っていただいたCTO 中出さん、一緒に参加してくださった皆様に感謝しています。
まだカリキュラムは残っているので、残りのカリキュラムも全力で取り込み、1つでも多くの学びを得て、チームに還元できるよう頑張っていきます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?