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”板取引”というC2Cの取引形態の可能性~オークション→フリマの果てに~

こんにちわ!YJキャピタル大久保(@koheei_okubo) です。コマースメルマガもよろしければご登録ください。今回は、ECのC2C領域について書きたいと思います。なお、先日YJキャピタルで出資を発表させていただいたモノカブ社はまさに本ブログの領域で戦われているプレイヤーです。

★サマリ★
・アプリランキグtop30みると、米国では6社のC2Cユニコーンがランクインに対し、日本は0社。日本においてもC2Cの参入余地がまだまだある!?
・ユニコーン6社は大きく3分類でSNS型(Depop、Poshmark)、地域型(OfferUp、Letgo)、スニーカー型(stockX、GOAT)。
・今回は、”板取引”を着目しスニーカー型を深堀り。スニーカー型はニッチのように思われるが、ebay、Farfetchなどの大手企業も取り組みをするなど急成長市場。
・”板取引”は、オークションとフリマの双方を利点を有しており、一つの取引形態として確立されるのではないかと期待。一方で、仕組みが分かりづらいこと、商材が限定されるとはスケールの阻害要因として存在。
・ただ、究極的には、B2C、C2C全ての型番商品が”板取引”になりうる可能性もあり楽しみ。

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早速ですが、上記は日本と米国のコマースアプリランキングトップ30です。C2C系のサービスを青色で囲ってます(実線が未上場起業、点線が上場企業)。米国では、9社/30社がC2Cサービスで、なんと、5社ものユニコーンが存在してます(先月までofferupとletgoが存在していたので6社。今は統合)。一方日本では、5社/30社がC2Cサービスですが、全て上場企業となってます。かなーり単純に考えると、「日本で、まだチャンスありそう」とか思えたりもします。

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米国の6社のユニコーンを見ると、どの企業もモバイル化時代に誕生しました。分類としては大きく3分類でして、SNS型フリマ(PoshmarkDepop)、スニーカーC2C(stockXGOAT)、地域型フリマ(OfferUpLetgoとなってます。

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各社調達金額も巨額ですね。

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 一口にC2Cといっても特徴が全く異なる点も面白いです。instagram×ebayを標榜するDepopを代表するようなSNS×フリマという特徴や、直接会って取引することを念頭においたOfferUpや、プレミアムスニーカーのC2Cといった多種多様なラインナップです。
 全部紹介したいですが、今回はタイトルにもしている”板取引”というトランザクション形態について語るので、スニーカー特化をご紹介します!

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そもそも、なぜスニーカー領域が発展したかという説明です。市場課題として大きく3つが存在してました。①供給量が限定的であること(SNSの普及により、限定品マーケティングが効果的となり一つのマーケ手法として確立された推測)、②偽物商品が普及していたこと(海外工場でのコピー商品が出回る)、③適正価格が分からないということです。それらの課題に対して、①リセール市場の形成(C2Cと聞くと中古のイメージが有るかと思いますが、スニーカー特化C2Cは基本、新品を出品します)、②鑑定機能(社内で鑑定チームを保有し真贋判定)、③価格推移の可視化(商品ごとに名寄せすることでamazon型DBを構築、それにより、板取引の形態が実現可能に)、更に希少性による”資産性”もあいまって投資対象という価値まで出てきています。

ことばの補足
※名寄とは---出品されている商品群が型番ごとにグルーピングされている状態。PS4を検索した場合、amazonは検索結果に一つしか表示されない一方で、ヤフーショッピング等は、同じ商品が複数出てくると思います。名寄せされている状態はamazon型DB構造を指します。
※板取引の値決めとは---株の取引の時、大きく2つの買い方/売り方が存在します。成行と指値です。成行は今出品されている金額で”すぐに”買う(フリマ的な買い方)のに対し、指値は、自分が買いたい金額を”指定する”(オークション的買い方)買い方です。売り方はその逆で、買い手がすでに存在する金額で”すぐに”売る(成行)と自分が売りたい金額を”指定する”(指値)売り方が存在します。

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一見ニッチな領域のように思いますが、大手プレイヤーも無視できない程になってます。では、早速サービス紹介です。

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 特徴・ビジネスモデルは図に記載の通りとなってます。プロダクト画面をみると、まさに、株取引と同じUIになっていることがわかるかと思います。出品額の板を見ると、売り手側の供給が”いくらで何件入っているか”がわかります。すぐに買いたければ25,900円で購入可能です(成行)。もう少し安く買いたい場合は、希望金額で買い注文を入れる形になります(指値)。一方、入札額の板には、買い手側の需要が”いくらで何件入っているか”がわかります。すぐに売りたければ、25,100円で売ることができます(成行)。もう少し高く売りたい場合は希望金額で売り注文を入れる形になります(指値)。
 説明が難しくて、伝わっている自信がなくなってきたので板取引についてはこのあたりの一般的な記事も御覧くださいw

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GOATについては省略気味ですが、ビジネスモデルはほぼ同じで、コンセプトがアパレルを重視しているのが特徴です。トランザクションはこちらも板取引となっております。

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 この板取引ですが、本記事のタイトルにもあるように、日本において、”板取引”が一つのトランザクション形態として成り立つのではないかと期待してます。日本でのC2Cは、PC時代のヤフオク(第1世代)、スマホ時代のメルカリ(第2世代)がメジャーなサービスとして存在したかと思います。板取引については、大きいことを言えば第3世代、少なくても1ジャンルになりうるのでは、と期待してます。板取引の場合、両者の利点(フリマ的にすぐに売り買いしたい時は”成行”で売買。オークション的に希望の金額で売り買いしたい場合は”指値”で売買)を選択することができます。それに加えて、amazon的DBの構築により、探しやすさの利点を兼ね備えているとも考えられます。
 一方で、もちろんスケールを阻害しうる点もあります。本ブログでも伝わったかと思いますが、初心者にとってスキームの理解が難しいこと。そして、商材特性が限定されることです。そもそも型番商品に限定されます。また、板取引が成立するには、一定の需要供給がその特定型番に集まる必要があるため、人気商品のほうが良いです(ECの強みであるロングテールとは相性☓)。さらに、中古となると状態の善し悪しによって、名寄せがしづらくなるので新品のほうが相性が良かったりと。
 プラス面・マイナス面それぞれ、ふむふむという感じですよね。ただ、私が”板取引”に期待しているのはC2Cに限定されずB2Cにも拡大できる余地があることもあります。究極的には、amazon内の型番商品や、価格コムの型番商品、全ての取引が板取引になっているサービスがあっても良いのでは?とか思ったりします。

最後に

  以上が海外C2Cの潮流と板取引の可能性についての記事となります。個別に議論していただける方はぜひ、ツイッターよりDMいただければと思います!

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