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まじめにポップカルチャーを語る

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マンガ、音楽、エッセイ、ドラマ。普段「娯楽」に分類されるジャンルについて、大学で学んだことなどを用いながら自分なりの”解釈”でまじめに語ります。参考文献を必ず1つは付けます。
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「大声」で「マイノリティ」するサカナクション

「大声」で「マイノリティ」するサカナクション

こんなに、ある分野の学者を立ち止まらせるような言葉を、サラリと言うバンドはなかなかいないんじゃないか、とよく思っている。

サカナクション

サカナクションの、「深海*」までは泳ぎ尽くせていないものの、「浅瀬*」「中層*」については泳ぎ回っている程度の執筆者の、

ささやかな語りに付き合って頂ければ、幸いである。

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Mステで披露された『モス』2019年8月23日、Mステ。その日はサカナクシ

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「マリコ」は続く

「マリコ」は続く

「きっと、私たちは、もうひとりのマリコ」

という帯に、読後ギクっとして、思わず「うんうん」とうなずいてしまった。

益田ミリによる、『マリコ、うまくいくよ』(2018年発行)というマンガには、そんなキャッチフレーズがつけられていた。

「社会人2年目、12年目、20年目。同じ職場の3人のマリコたち。」による、いわゆる「日常系お仕事マンガ」。

社会人2年目のマリコ(表紙の一番左の人物)は、

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少女が女になるまでに

少女が女になるまでに

小学生のころ、本屋さんにマンガを買いに行くのは、特別な日だけだった。

どうしても欲しい本は買ってもらえたけど、どうしても欲しいマンガは自分で買わなくてはならなかった。

プールの練習を頑張った日、テストを頑張った日、家のお手伝いをしてコツコツ貯めた数百円を、特別な日マンガにつぎ込むのが幸せだった。

マンガが私の人生を大きく変えたわけではないけれど、小学生のときから、常にマンガは私の思い出に関わ

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セカオワとフェミニズム

セカオワとフェミニズム

「今日電車に乗っているとき、何しましたか?」

就活で某出版社の面接を受けたとき、最初にされた質問だ。

頭が真っ白になる。えー、何してたかな、、いや、この面接のために志望動機とかあれこれちゃんと言えるように準備してるに決まってるだろ!

と思うが、そんなつまらないことを出版社の面接で言えるわけがない。頭を巡らせる。

「ええっと…、Twitterを見てました、SEKAI NO OWARIのSao

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女の子にピンク色をやすやすと贈れなくなった話

女の子にピンク色をやすやすと贈れなくなった話

小学4年生の時だった。担任の先生が言った。

「女子は緑ばっかり選ばないで、ピンクも取って。男子がかわいそうでしょう」

たしか、A4用紙を入れる用の紙ファイルで使う、真ん中を固定する留め具の色だったと思う。

生徒は、教室の前までいって、好きな色の留め具をとるように言われたのだ。色の種類は3色くらいしかなくて、女子が好きな色をとったら男子にはほとんどピンクしか残っていなかった、というような何気な

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『ちびまる子ちゃん』作者が贈る「家族と愛情」の思い込み批判

『ちびまる子ちゃん』作者が贈る「家族と愛情」の思い込み批判

一応は人が亡くなった話なのに、こんなに腹を抱えて笑うのをこらえて、さらに笑ってしまったのは初めてだ。

不謹慎な話のようだが、これはさくらももこの才能のせいと、自動車学校で周りに人がいるのに読んでしまった私のせいである。

だが、読者が日常的に感じる「人の死は悲しい」「肉親の死はもっと悲しいと思うはずだ」という思い込みの前提を、さくらももこは問いかける。

それでも、「家族には愛情があるのだから、

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SEKAI NO OWARIで「生命倫理」のレポートを書いた話。

SEKAI NO OWARIで「生命倫理」のレポートを書いた話。

2017年の夏。

そろそろ大学にもなれて、日々目の前の課題をこなしながら夏休みのカナダ行きを心待ちにしていた時期だった。

大学2年生の時のことである。

「生命倫理に関する作品を1つあげて、その倫理的立場について論じろ」

簡単に言えば、そんな課題がでた。

私はその頃、生命倫理に関する授業をとっていた。

好きな先生の授業ではあったのだが、真剣に聞き過ぎるあまりに爆睡し、気づいたらプリントに

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