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にぎやかなものの総退場

「賑やかなものの総退場」とは、藤沢周平さんが、逝ける夏を惜しんだ言葉である。去りゆく夏へのいかにも情のこもった、言葉だと思う。

遠くに聞こえるどこかの町の花火の音。
盆踊りの、夏祭りの喧騒。
夏を命の限りに叫ぶ、せみ達。
大地の歌を合唱するカエル達。
子育てを終えまもなく帰るツバメ達。
田舎から帰ってゆく人たち。
海水浴場の鮮やかな人々。
白球にかける青春の声。
お盆に帰ってきた魂達。

数えあげればきりがない。

間もなく夏が終わる。

いくら年をとっても、夏は感傷的になってしまう季節だ。

賑やかなもの達を抱きしめて、永遠に私の中にとどめおこう。





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