人生で大切なことを教えてくれた5つの漫画

人生に影響をあたえるような漫画はそれほど多くはない。

それは、作品としての面白さだけでなく、現実の世界に活かせるかどうかという実用性の観点も含まれるからだ。読むタイミングによって、作品の感じとりかたも変わる。読み手が抱えているものと作品世界がリンクしているほど、より強い影響をうけるのだと思う。

ただ、このような点を考慮しても万人におすすめしたい漫画は存在する(あくまで僕観点)。

これまで3000冊近くの漫画を読んできた。そのなかで、今でも自分の生き方・考え方・行動に影響をあたえている漫画を教訓とセットで5つ紹介したい

能力をひけらかさない美学  『シティーハンター』

冴羽獠は、昔からの憧れの主人公だ。基本的には、シティーハンター(冴羽獠)が美人から仕事の依頼を受け、解決していくストーリー。

『シティーハンター』との出会いは、僕が4歳くらいの頃に、父親がアニメを観ていたことにはじまる。内容をちゃんと理解していたのかわからないけれど、めっちゃかっこいい!と幼稚園児ながら思った。

小学生高学年には漫画を全巻集め、何回もくりかえし読んだ。

それにしても、4歳のときとかから憧れているのだから、僕の人生への影響力ははかりしれない…。

冴羽獠の何がそれほどかっこよかったのか。それは、自分の能力をひけらかさないところだ。凄腕のスイーパー(掃除屋・殺し屋)でありながら、普段は女の子にうつつを抜かして、とにかく情けない。この人、本当に大丈夫なんだろうか…と依頼人にも心配される始末。

しかし、ここぞというところで、圧倒的な強さで敵をやっつける。ここには一種の美学すら感じる。

「能ある鷹は爪を隠す」ということわざがある。実力を見せつけることは、競争相手に警戒されることにつながり、かえって物事の成功確率を下げることがある。だから賢い人は自分の力を隠して虎視眈々と物事を進める、という意味だ。

ダークホースであれ

誰もがSNSで発信ができるから、思わず自分を誇示してしまう。冴羽獠に学ぶことも多いのではないか。


友情・努力・勝利のマインドセット 『スラムダンク』

あまりに王道すぎて、説明不要か。主人公の桜木花道が初心者からバスケをはじめて、激しい練習や競合校との戦いを乗り越えながら、仲間と全国制覇を目指すお話だ。

この漫画には、『友情・努力・勝利』のすべてがこれでもか!というほど詰めこまれている。

この漫画のすごいところは、登場するキャラクターが全員魅力的なことだ。

アツくて厳しいキャプテン:赤木剛憲
クールな最強のエース:流川楓
スリーポイントの鬼:三井寿
スーパーカード:宮城リョータ
天才:仙道彰
喧嘩強すぎの友だち・水戸洋平
etc…

読んでみたら、絶対一人は憧れられるキャラクターがいる。僕は三井寿と仙道が好きだった。

そしえ、たくさんの名言が漫画内に散りばめられいる。

基本がどれほど大事かわからんのか!!ダンクができようが何だろうが、基本を知らん奴は試合になったら、何もできやしねーんだ。-赤木剛憲-
あいつも3年間頑張ってきた男なんだ。侮ってはいけなかった。-田岡監督-
最後まで希望を捨てちゃいかん。あきらめたらそこで試合終了だよ。-安西先生-

安西先生の言葉は、色々なところで引用される名言だ。

ストーリーを通して、仲間と高い目標を目指すことの楽しさを学ぶことができる。


自分の存在意義を問う  『あひるの空』


スラムダンクがキャラクターへの憧れの漫画だとすると、あひるの空は共感の漫画かもしれない。絶妙な現実味があるのだ。

あひるの空では、とにかく試合に負け続ける。努力はしているのに。

それは、実際の現実世界も同じだ。ただ努力しているだけじゃ勝てないことがほとんど。みんな努力しているから。

その現実味が心に突き刺さる。

厳しい現実の中で、キャラクター達は自分がチームのなかでどう役に立てるのか葛藤する。

例えばこんなセリフがある。

欲しいのは同情なんかじゃない。欲しいのは信頼だ。-鍋島竜平-

試合の最後でシュートを外してしまった鍋島のセリフ。

もう“誰かが助けてくれる”チームなんかじゃない。僕がチームを強くするんだ…!-茂吉要-

ずっと強いチームにいて、誰かが助けてくれた。自分は役立たずだった。そんな茂吉が新しいチームで奮起するシーン。

ひとつひとつの描写にいちいち共感してしまう。

この漫画の主題は自分の存在意義を問うことだと思うのだ。

現実世界でも僕は自分のあやふやな存在意義に葛藤する。自分の代わりなんていくらでもいるのかもしれない、という無力感もある。

それでも、自分の存在意義を問い続けるそれが生きるということなのかもしれない。

他の好きなシーンも。

戦わない奴らが――戦ってる奴らを笑うなよ。-花園千秋-
これは誰の足だ?俺の足だ。誰の意志で動く?俺の意志だ。走らされるな!!!-日高誠-


凡人のプロフェッショナリズム  『左ききのエレン』

天才になれなかったすべての人へ

左ききのエレンの主題だ。凡人な主人公・光一が何者かになろうと、もがき苦しみながらも、仕事を通じて何かをつかみとっていく。

主人公はエレンという絵の天才に出会ってしまう。そして、その凄さを身近で見るからこそ、自分が凡人であることを嫌というほど意識させられる。そこに苦悩する姿は、自分も少し苦しくなる。

漫画に出てくるシーンで一番好きなシーンがここ。先輩のエースデザイナー・神谷さんの言葉なんだけど、何回読んでもハッとさせられる。

プロフェッショナルの仕事のスタンスが感じ取れる。どれだけ仕事が忙しかろうが、体調が悪かろうが、価値の受け取り手であるお客さんには関係がない。出てきたものがすべて。ギュっと心を引き締めてくれる言葉だ。こういうこと言ってくれる先輩がいるって最高よね。

あと個人的には、柳さんっていう先輩デザイナーがいるんだけど、この人の仕事に狂っている感じが好き。デザイナーという仕事への並々ならぬプライドを感じさせられて、身震いがする。


許すということ  『スピリットサークル』

主人公の風太は、新しく転校してきた鉱子という女の子に殺されそうになることから物語ははじまる。実は2人には、前世からのしがらみがあり、前の人生でも殺し合いをしてきた。

風太は、しがらみの謎を知るために自分の7つの前世をめぐる旅に出る。

前世では、悲惨な死に方をしたり、友達と家族にめぐまれて死んだり…。様々な生き様がそこにはあった。

風太は、前世の自分の人生の物語から大切なことを学びとっていく。

友、人類、家族、愛…。

そして、殺し合いをしてしまう風太と鉱子。人はなぜ人を許せないのか。執着しているからこそ、愛があるからこそ、好きだからこそ。

何回読んでも涙腺がゆるむ。過去ではなく、現在を生きようと心を上向きにしてくれる大切な漫画。許すことの大事さを学ぶことができる。


これらの5冊は、これからも読みかえすと思う。

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こんな風に思える名作との出会いを求めて、また漫画探しの流浪の旅へ…。


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普段、自分が買わないようなものを買って、レビューします。