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中国茶

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境界線がなくなる時

金魚の健康には青水が良いとのことで、たまに青水擬きの藻をあげると、美味しいそうにパクパク食べる。きっと「ごはんですよ」のような、いぃ匂いがしているんだろう。
水槽には、金魚が消化不良になると透明なヒラヒラがふわりと浮く。藻を食べた翌日は、深緑の塊が沈んでいる。それをほくそ笑みながらスポイトで吸う。

(青水擬きの)藻の舞う鉢に、泳ぐ金魚を眺めていると、金魚の健康を願う気持ちと、自己満足の、とても

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今日も「働く喜び」そのものを報酬の一部として充分に味わう。

人生には時にドラマティックなコトが起こり、乗り越えたり、時には抱えながら「最期」に向かって行く。どうしようもない時、人は意外と冷静だ。七転八倒、奮闘した挙句、「大丈夫」「いける」と暗示のように腹を括った人には、笑い飛ばしてみる方法も有効。「可哀想」と言われたり、深刻に受け止められるより、同じように笑い飛ばしてくれる人がいたら仕合わせだ。そしてそこには、本人だけのモノではなく、笑っちゃった人々にも未

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好喝トンネル

「いつ、誰と飲もうか」と大切にとっておいた、この最後の一握のお茶を、「この人なら、このお茶の価値がわかるのでは。」という感だけで、初めて会って数分の方と呆気なく開けてしまう。偶然にも、以前から飲んでみて欲しい方もいたので「時」が来たのだ。
 その人は、構わず話しを進めるお連れの話を聞きながら、公道杯をスンスン嗅ぎ、こちらで茶を飲む私に目配せした。「好喝」のトンネルが繋がった。
その後、彼はスマホの

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鳳凰単欉鴨屎香

ショートケーキを食べた後のような
軽くて広い暖かな香り

停滞していたモノが
ドッと動き出すような味
透明な山吹色のとろみ

あと一歩で短剣が懐から出そう

2019/10/7 晴れ 24℃



仕入れた大紅袍が山積みだ。
仕入れた時にtastingはしているけれど、
そろそろ火の気も収まる頃。
寒くなる前にもう一度。

品のある柔らかな味わい
後口はとても甘い。
茶の備忘録

“喉が渇いたら水を飲み 心が渇いたらお茶を飲む”

“喉が渇いたら水を飲み 心が渇いたらお茶を飲む”

「茶」は、読んだり教えられたりして理解したり、出来るようになるモノでもない。

私の仕事は、ただの文化の遺伝子の運び屋だ。それが誰かの茶沼に嵌るきっかけの一つになれば幸い。一見無意味に思われがちだが、真剣に茶と向き合うのも仕事のうちだ。そして、粛々と伝えて使命を果たすだけ。

“虚の部屋で茶を啜る事は一つの宇宙で、大なるものと小なるもの双方を感じる事である。それは美でもあり又一つの道である

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翡翠色の時間

翡翠色の時間

雨が降ってきたので
○○雲霧みたいな緑茶を飲もうかなと選んでいたら、ふわ〜っと扉が開いた。
白銀の光の中にすらりとした影。

埋めようもない「穴の空いた心」を見えないように包んで。
置いて逝かれたお茶を携えてご来店された。

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ただ言われた通り、なぞっているうちは出会えない。お茶は、まず淹れてみて、好きになって敬意を持って知ろうとし、お茶に対して自分を開いた人にのみ、本当の姿を見せてくれる。
どぉしたら褒めてもらえるんだろうと考えているうちは出会えない。
中国緑茶はその典型。 #茶のお稽古 #中国茶

○○雲霧というお茶を飲んだら
だいたい雨が降る

偶然で出来る事は最善だ
存在感の出にくいお茶

2018/2/27

木の芽風
下午茶
#太平猴魁 2017
缶を開けると、以前訪れた、しとしと雨なんだか霧なんだか、ず〜っと濡れている安徽省黄山の太平猴魁を作る村の製茶小屋の、埃っぽいようで雨のような、それでいて製茶している匂いがしている。

不快指数も高く、しとしと茶畑への山道を上を下へと、ちょっと滑ったりしながらクタクタでドロドロで着いた村には、決して明るくない日常が広がっていた。ざわざわとして、働く人達や、お

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