早く知りたかった。わたしを変えたデンタルケア本
歯は元には戻せない
更年期を迎えたあたりから歯の調子が悪くなり、何年かぶりに歯科医に行った時にはほぼ手遅れ。下の奥歯の一本が重症の歯周病になってしまったのだ。それまでにも定期的に歯の点検に来るようにすすめられていたのに、まったく気にとめてなかった。
もう元どおりには治らないと知ってはじめて、どうしてもっとちゃんと歯を磨かなかったのか、言われたとおり健診に行けばよかったと、何回悔やんだかしれない。ふだんはくよくよしない性質のわたしだけれど、こと歯にかんしては、いまだにぐずぐず「しまったことをした」と思うのである。
『あなたの人生を変えるスウェーデン式歯みがき』
そんなときにであったのが『あなたの人生を変えるスウェーデン式歯みがき』という本だった。よほどどうにかならないかと思ったのだろう。
その頃、こんまりさんの『人生がときめく片づけの魔法』にも夢中になっていた。<あなたの人生を変える>というフレーズにまたしてもときめいてしまったようだ。
今さら歯磨きから見直そうと思ったのかどうか、ずっと昔のことなので、そのときの心境は正直覚えていない。ただ、歯がつるつるになるまでちゃんと磨けている自信がなかったことだけは確か。何となく、お口の中が歯磨き粉ですっきりすれば、磨けた気になっていたと思う。このままでは残りの歯も歯周病になってしまうという危機感から、とにもかくにも歯磨きだ!と考えたのでした。
ワンタフトブラシでお口から全身が健康になる!?
目をひいたのがおまけのワンタフトブラシである。
当時は見たことも聞いたこともない歯ブラシだった。
何だか磨きやすそうではないか。それまで歯の一本一本を磨くという意識が皆無だったわたし、これならつるつるに磨けそうだと思ったのだ。
これが大当たり。つるつるした歯ざわりを実感してからやみつきになった。以来、歯磨きに時間をかけるのも苦にならなくなった。歯並びがきれいでないので、歯をひとつひとつ磨くのはむずかしい。フロスや歯間ブラシを愛用するようになったのも本書の影響である。
さらには舌の位置が下がって口呼吸気味だった癖も鼻呼吸に矯正。もっと早くから鼻呼吸していたら、もう少し歯並びがきれいだったかもしれない。歯並びは高価な矯正をしたにもかかわらず、案外維持管理がたいへんで、じわじわと元に戻ってしまう人も少なくないと聞いた。それほど歯は動きやすいものらしい。だとすれば、正しい習慣を身に付ければ、それだけで歯並びが変化する可能性があるともいえる。
本書では歯磨きの仕方がくわしく書かれている。意外と知らないことが多い。とくに前歯の裏側の磨き方は勘違いしている人が多いように思う。
いくら磨いているつもりでも、ブラシが正しく歯に当たっていなければ、磨いていないのと同じである。
今でこそ、歯の衛生が全身の健康にかかわると知られているが、昔は歯のケアは軽視されがちだった。
デンタルケアは歯磨きに尽きる。それを思い知らされる本。
<人生を変える>は大げさではないかもしれない。歯列矯正の前に、正しい歯みがき習慣を。