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阿部幸製菓 日本の食文化の継承のために

 NB、PB共に猛暑にもかかわらず昨夏は順調に推移したという同社。「浪花屋製菓の事業承継で、製品物流の一本化による混乱が多少あったが、コロナ明け後の規制なき長岡花火開催での土産系の動きもよく、一般流通チャネルも好調だった」と常務取締役の大村敏史氏は話す。

 今年2月には専務取締役だった阿部幸明氏が新社長に就任し、引き続き日本の食料自給率を高めるための取り組みを推進中だ。日本の食文化の継承を掲げ、米を原料としたさまざまなカテゴリーへの挑戦を続ける中、犬用のおやつ『柿の種やさんのわんちゃんのおやつ』をはじめ、先頃発売を開始した業務用米粉麺ブランド『新潟白色(にいがたほわいと)』などに注力する。
前者は新潟県産の米粉と国産の鹿肉を使用した、愛犬用のプレミアムなおやつという位置づけになる。道の駅での導入が多いと大村常務は話す。

 特徴は素材の品質にある。米粉は消化に良い特性をもっており、鹿肉は優れたタンパク源でありながらも低脂肪なのが特徴になる。

 「市場からは一定の反応が得られた。グルテンフリーであることなどお土産としても安心して贈ることができたのではないか。米粉麺を含めて、今後も力を入れていく」と大村常務は述べる。

 他方、今夏の取り組みとして、『柿の実』の新フレーバーである『同 柿の種オイル漬けにんにくラー油風味』(写真)を6月10日に発売した。



 同製品は、夏にぴったりな、ガーリック、オニオンの香ばしさとともに、ピリ辛なラー油風味が特徴のピーナツ揚げせんだ。パッケージは同社の『柿の種オイル漬け』シリーズのイメージカラーである黒を基調とし、20g×6パックの個包装入りとしている。

 同製品は、自社ブランドのシナジーを活用したものでもある。1967年発売の『柿の実』と、特製ラー油にフライドガーリック、フライドチキン、柿の種を砕いたものをブレンドした新潟限定土産の『柿の種オイル漬け にんにくラー油』の社内コラボともいえる。前者はロングセラー、後者は2018年の発売以来、シリーズ累計90万本以上を販売する、同社を代表するアイテムになる。

 製品以外の面では、女性の活躍を後押しする「ラシーク」という取り組みを継続する。名称の由来はアラビア語の「いつまでも美しく輝き続ける女性」という意味と、日本語の「私らしく」にかけているという。「女性活躍が必要な環境ながら、一方で職制として活躍したいと考えない女性社員が多かったのが課題だった。そこで女性社員のキャリアアップに向けた意欲向上と職場環境・風土の整備を進めている」(大村常務)。

 その結果、昇進意欲向上に変化が見られ、同社初の製造課長が1名誕生した。同社のある新潟県小千谷市にこの取り組みを提言し、官を巻き込んだ形での交流を実施していくと大村常務は話す。


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