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コーポレート部門の評価と事業・ビジネスへの貢献について

この記事は【初心者優先枠】corp-engr 情シスSlack(コーポレートエンジニア x 情シス)#2 Advent Calendar 2020 の1日目です

どうもおかしん@okash1nです。

初日が空いている、とのことでしたのでエモめな話でも書こうと思います。ずばり最近私のTLを騒がせている情シスを含むコーポレート部門の「評価」や「事業」・「顧客」について色々考えていることを書いてみようと思います。

コーポレート部門の「地位」について世間で言われてること

コーポレート部門の中でも特に情シスはこの話題について敏感なようです。Twitterで「情シス 地位」と検索してみると色んな意見が出てきます。

総じてこのテーマでは「評価」「地位」「事業貢献」「顧客への価値提供」といったワードが頻出します。

詰まるところこのテーマは「情シス(を含むコーポレート部門・バックオフィス)の評価・地位がもっと向上すべき」という意見と「顧客に価値提供して、ビジネスをグロースさせられる結果を出さなきゃ評価なんてされないし地位も上がらないよ」という意見の対立に落ち着くのかと思います。

ちなみにこのテーマについての自分の雑な意見は↓のような感じ。

そもそも評価ってなんだっけ?

そもそも評価や地位とは何でしょうか?↓のような話をプロ雑用氏と交わしたこともありました。

サイボウズさんは社外評価を取り入れてることで有名ですね。

ZOZOテクノロジーズは別の評価軸があると聞いたことがありますが、ZOZOでは基本給やボーナスが全員同額だというユニークな人事制度で有名です。

その他珍しいところだと、毎月の給与に上乗せされる寸志の部分がサイコロで決まる面白法人カヤックさん

全社員の給与がオープンにされていて、自己申告で給与が決まる「雰囲気給与制度」を導入しているクラウドネイティブさん

いくつか見て来ましたが、どの会社も給与が絡んでいることが分かるかと思います。(他にも面白い会社があったら教えて下さい)

よって私の結論として労働者にとって「評価」というのは「お賃金」だと考えます。分かりやすく言うと、年収600万だった人が年収1,000万に昇給したり、ボーナスが200万円出たりすると「評価された」と感じるのでは無いでしょうか?

ここから先はこの「評価=お賃金」という公式を前提として、「どうやったらコーポレート部門の評価=お賃金が上がるのか」を考えていきたいと思います。

さて、「どうやったらコーポレート部門の評価=お賃金が上がるのか」を考える前に疑いようの無い事実や、ほぼ間違い無いような事実から整理していきましょう。

事実1:「金が無い会社は給与が低い」

これはほぼ間違い無いでしょう。調達も出来ておらず、年商1億未満、利益2,000万未満の企業「崖っぷち株式会社」があったとして、社長1名+社員3名がいたとしましょう。

・社長:ほぼ営業
・社員A:プロダクト開発
・社員B:バックオフィス全般
・社員C:営業・CS・マーケなどビジネスサイド全般

ここにGoogleでプロダクト開発やってた元年収2,000万超えのエンジニアや、BIG4監査法人での経験があるような財務・経理の人材が入ってきたとして、年収1,000万もらえるでしょうか?多分厳しいでしょう。というかオファーの時点で折り合いが付かず入社してくることが無いと思います。

社員3名はきっと色んな業務を兼務しているでしょう。ある社員Bは総務も情シスも経理も営業も兼務しているかもしれません。しかしどれだけ頑張っても営業である社長と社員Cが数字を取ってこないと他の社員の給与は上がらないでしょうし、最初に給与が上がるのは社員Aと社員Cである可能性が高いです。

社員Bはある日思います「こんなに頑張ってるのに給与低すぎもうまぢ無理」

でも当たり前なのです。お金が無いんです。

恐らく間違い無い事実2:「事業や顧客に直接的貢献度が高い人の評価=給与は上がる」

さて、崖っぷち株式会社では社員Aが頑張って開発し、社員Cが頑張って営業し、社員Bは諸々裏方の処理を頑張り続けて年商1億5,000万、利益4,000万になりました。誰の給与が上がるでしょうか?

恐らく社員Aと社員Cですよね?

崖っぷち株式会社の主要な事業は収入源は社員Aが開発しているアプリケーションで、主要な収入源はその利用料なのですから、社員Aの給与が上がるのは当然です。でも社員Aが作ってるだけではお金は入ってこないので、次に上がりそうなのは社員Cです。

社員Bはどうでしょう?顧客も増えたので日々の請求先の数も多くなり、社内で使っている様々なリソース(IT、非IT問わず)も増えるので、タスク量が増え残業も増えていますが、やっている事自体は大幅には変わってません。

それでもAとCには昇給額では勝てません。何故なら事業・顧客貢献度がAやCより低いからです。

Bは思います「とは言っても、自分が色々回さないと会社回らないのに不公平だ」

本当でしょうか。残念ながら不公平ではなく、会計士に外注するなり社長やCが自分でやることを少し増やせばBがいなくても会社は回ってしまうのが現実では無いでしょうか。

恐らく間違い無い事実3:「替えの効く業務に従事する人の評価=給与は上がりにくい」

情シスにしてもそうなのですが、PCを単純にキッティングしたり、アカウントを発行したりといったようなマニュアルさえあれば比較的誰でも出来てしまうような業務に従事する人の評価=給与は上がりにくいです。

労働力に対する対価(給与)もやはり転職市場によって決まるので、最悪辞められたとしてもすぐに安価な労働力を補充できる業務であれば、その業務量をどれだけ多くこなしどれだけ残業をしたとしても評価=給与は上がりにくいです。

一方で、例えば情シスであればコードを書くなどしてPCのキッティングやアカウントの発行の自動化を行える人は少なくなってくるので、そういう人の評価=給与は上がりやすいでしょう。

労務であれば社労士資格保持者の方が給与は上がるでしょうし、法務であれば司法試験合格者の方が高いのです。当然です。

つまり希少性の高い能力の保持者は評価=給与が上がりやすいのです。

これを逆手に取って業務を自分に属人化させるというハックがあります。どういうことかというと、業務プロセスにおけるブラックボックスを増やすことで「一見だれでもできそうな仕事の集合体に見えるが、あまりに複雑化しすぎていてその人に辞められると困る」という状況を作り出すことによって、中長期的に評価=給与を高く保つという手法です。比較的リストラが難しい日本では成立しやすいハックですがダサいのでやめましょう。

Bさんはどうやって評価=給与を上げれば良いのか

さて、崖っぷち株式会社のBさんはどうやって評価=給与を上げればよいのでしょうか?(ダサいハックを使わない場合)

一番手っ取り早いのは「もっと売上と利益があってキャッシュが豊富でバックオフィスにも高い給与を払う会社に転職する」です。

元も子もないと思うかもしれませんが、基本的にはこれが一番手っ取り早いです。ただ、当然ですが「もっと売上と利益があってキャッシュが豊富でバックオフィスにも高い給与を払う会社」の採用基準は高いはずです。

では会社を変えずに給与を上げるにはどうすれば良いでしょうか。一つ選択肢として考えられるのは「自分も営業に出て売上を増やすこと」だと思います。その時間を捻出する為にバックオフィスを効率化する必要がありますし、もちろん営業のスキルも身につける必要があるでしょう。

もしくは、バックオフィスの効率化やIT化の促進によってAやCの業務効率を上げたり、全社のコストを削減することです。

業務効率を上げるということは、Aが顧客に提供する価値を増やすことに繋がりますし、Cの受注数が上がることに繋がります。しかし元々の業務効率の計測というステップが必要になったり、関連を示すロジックを組み立てて社長に説明しないといけないので、それなりに難易度が高いです。そのロジックを組み立てる自信が無いのであれば諦めましょう。

一方でコスト削減はわかりやすいです。この会社は年商1億に対して利益が2000万なので利益率20%の会社です。例えばBさんが頑張って全社として業務における利便性を下げることなく、コストを500万下げたとすると単純に利益が500万円アップし利益率が25%になります。同じ利益を社長とCさんが営業によって達成しようと思うと、利益率は20%のままなので年商1億2,500万円を達成する必要があり、1.25倍の受注数が必要になります。これはなかなか難しいということが社長にもCさんにも分かるので、Bさんの評価=給与を上げやすくなるでしょう。

さて、気づいたでしょうか?この時Bさんが達成したのは結局のところ「事実2:事業貢献」なんです。資本主義社会において事業の成功として一番わかり易いのは「利益が増えること」です。それを達成したら当然評価=給与も上がります。上がらないのであればそれは交渉の仕方が悪いです。(そもそも交渉してないのでは?)

ただ、「業務における利便性を下げることなく」というのはなかなか難しいです。技術があれば何らかのツールや外注を解約して内製でやることもできるかもしれませんが、ツールの置き換えや相見積りによるベンダー変更などでは大幅なコスト削減は難しいでしょう。「事実3:希少性」に結局帰結してしまうんですね。

結局どうやったらコーポレート部門の評価=給与は上がるの?

・事実1:事業が伸びていて、お金がたくさんあれば上がる
・事実2:事業・顧客への直接的貢献度が高い方が上がる
・事実3:自身のスキルの希少性が高ければ高いほど上がる

これはコーポレート部門に限らないですが、給与の多寡は事実1〜3の複合によって決まり、かつコーポレートの場合は特に事実1が占める割合が大きいです。

イメージとしては「事実1:事実2:事実3 = 50%:25%:25%」くらいかと思います。

よって、評価=給与を上げたければまず儲かってる企業に転職しましょう。これが最適解です。

ただし、儲かっていて年収の高い企業は競争も激しく、スキルの高い人を求めています。そういった企業に受からないならそれがあなたの実力です。諦めましょう。

私は社会人になってから、毎年必ずどこかの企業の採用面接をいくつか受けています。内定を貰える時もあれば、貰えない時もあります。内定を貰い、その時の所属企業より高い年収の提示を受けた時には給与交渉をすることもあります。他社の面接を受けることは自分の市場価格を知る最も簡単な方法です。内定は辞退することも出来るので、自分の待遇に満足していない人は今すぐ給与が高そうな企業に応募してみましょう。

さて、次に事実2と事実3を見ていきましょう。すごく厳しいことを言ってしまいますが、コーポレート部門での業務に従事する人は営業部門や開発部門に比べて事実2と3で大きなハンデを背負ってしまうことになります。

まず分かりやすく事実3からですが、コーポレート部門はどうしても定形作業が多くなり、誰でも出来る仕事の割合が多くなります。開発だとそもそもコードを書けるというスキルが無いと開発者として就職できません。コーポレートと違って希少性の高い人の集まりなのです。自分がやっている仕事がマニュアル化されたら他の人でも出来るかどうか自分に問うてみてください。

私がやっている仕事で言えば、良いスペックのPCを安く購入する為の枠組みをベンダーと交渉しながら作っていくような仕事は、それなりにPCやPCの部品の市場価格などについての知識が無いと難しいかもとは思うものの、実際の発注やキッティングなどはマニュアル化さえ行えば他の人でも出来るだろうなと思います。ライセンスの購買や発行も同じくです。その自動化となると出来る人が少なくなってくるかもしれません。

こういったように、自分がやってる仕事を考えた時に誰でもできそうな仕事の割合が多い人は評価=給与は上がりにくいです。

自分が今まで一緒に仕事をしたことがあるコーポレート人材でも、公認会計士や税理士、社労士の資格を持っている人は比較的高いグレードにいることが多いですし、内製化できると委託費も下げることが出来るので当然評価=給与は上がります。

コーポレート人材で給与を上げたければ、自分の業務領域で関わる士業の資格を取れば簡単に希少性を高めることが出来ます。取得できる能力が無いのであれば諦めましょう。

最後に事実2「事業・顧客への直接的貢献度」ですが、これは営業部門や開発部門に比べて証明が難しいです。ですが、不可能ではありません。例えば顧客への請求フローや契約フローを簡略化したりすることによって顧客の解約率を下げることができるかもしれませんし、飲食店のオペレーションをITによって改善することによって来客や客単価をアップすることが出来るかもしれません。ここで忘れてはいけないのが、自分が取り組むプロジェクトの前後での効果測定の準備をしてから始めるということです。飲食店の例で言えば、店舗へのITツール導入の前から顧客アンケートを継続して行ったり、来客数や客単価などの数値を観測しておく必要があります。

上記の例をみても分かるように、コーポレート部門の事業貢献測定はコスト削減を除けば、多くの場合ロングテールになります。営業部門であれば受注数が売上・利益にそのまま繋がるので事業貢献測定が簡単です。

コーポレート部門での業務に従事する人は営業部門や開発部門に比べて事実2と3で大きなハンデを背負ってしまう

と書いたのはこれが理由です。結果として「コーポレートの場合は特に事実1が占める割合が大きい」ということになるのです。WebサービスなどのIT企業の場合で、開発者であれば事実1よりも事実2や事実3が占める割合が大きくなったりするものですが、コーポレートはなかなか厳しいです。

まとめ

コーポレートで評価=給与を上げたければ、まず儲かってる会社に行きましょう。そういった企業に入れないならそれがあなたの市場価値です。そういった企業に入る為には士業の資格を取るなり、コーディングや自動化のスキルを身につけるなどして自身の希少性を高めましょう。そこまで出来ると、自分が事業や顧客に及ぼせる影響も大きくなってきているはずなので、自分が身につけたスキルをどんどん使ってビジネス・顧客貢献していきましょう。

あと、私のようにあんまり評価とか意識せずに趣味で仕事中もプライベートでもずっと情シスやってるようなのも、それはそれで幸せですよ。


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