スクリーンショット_2018-03-12_3

大学進学とSNSの関係性考察。友達が居る東京へ出る。#春から〇大

地方は大学進学で地元を離れる子どもたちに悩んでいる。
一方で、子どもたちは大きな希望を持って上京する。
そして、彼らは1人で地元を離れるという大きな不安も抱えている。

しかし今、大きな不安というものがかなり変容している。

昔は身寄りのない土地で寂しいとか不安とか、そんなのが強かったと思う。
今ももちろんあるけど、全然一人じゃない。

今は同級生が同じ大学に、同じ地域に進学しなくとも、進学先には友達が居るのだ。
受験する前から友達が居るわけではない。
合格してから作る。SNSの力だ。



かくいう私も、上京の時点で東京に友達がいた世代の1人。
2008年大学入学の平成元年世代である。

今日は2008年と2018年のSNS比較を、大学進学(上京)に焦点を当てて話してみる。
2008年は事例として僕の体験談。
2018年は現役高3生の話を元に書く。


本題の前に、SNSの歴史を少し。

1990年代初期のインターネット黎明期から個人サイトのBBS等でネット上での交流はされていた。1999年の2ちゃんねるを皮切りに交流はさらに深まった。2003年頃、米国でMyplaceやFacebookなどの個人アカウントを保有する交流サービスができた。その影響があって日本では2004年からmixiやGREEなど次々とサービスができた。2005年は電車男の映画・ドラマ化があり、ネットとリアルとの親和性が社会で顕著になり出した。2006年のニコニコ動画がスタートし、2008年頃にはオタクか否かに関係なくSNSでの交流が一般的になりつつあった。この頃はまだ、SNSというよりはソーシャルメディア、CGM(Consumer Generated Media)、インターネット交流サイトと呼ばれ、名称に統一感は無かった。SNSが完全定着したのは2013年頃からだろうか。2013年にはオタクはサブカルではなく、メインカルチャーになっていた。ネットも完全にリアルに浸透した。


さて本題。

2008年

※2008年当時に興味の無い方は、2018年の文章まで飛んで良いですよ

僕が高校卒業する2008年時点で、地域外の人と交流するウェブサイトといえばmixiやGREE、モバゲーだった。
僕の場合は2ちゃんねるのしょぼい版的な携帯掲示板がメインだった。

オタクに対する差別はまだ酷く、ネット住民に対しても嫌悪感が残る当時。
誰しもネット検索はするし、個人サイトでブログを運営する人もそれなりに居た。しかし、ネット住民という言葉があるとおりネットとリアルは完全に切り離すのがマナーのようなものだった。

mixi:2004年〜。完全招待制かつ18歳以下入会不可のSNS。足あと機能など、ベッタリとしつつ、日記やコミュニティで幅広く交流できる。日本のSNSのハシリで幅広い世代で使われた。
GREE:2004年〜。ゲームプラットフォームのSNS。当時のイメージはキャバ嬢とトラック運転手が釣りゲームをしてちょっと交流する場所(偏見)
モバゲー:2006年〜。GREEと双璧をなすゲームプラットフォームのSNS。GREEよりは若年層に受けていた。モバゲーのマキです♪というメルマガ美少女がいた。
携帯掲示板:2ちゃんねるを模倣したようなスレッド式BBSサイト。MEGAVEIWが有名。完全匿名なので事件性もある。学校裏サイトなどはコレ。
前略プロフィール:2004年〜。SNSではないが、ウェブ上の自己紹介ページとして台頭。こちらも犯罪のぬか床。ネットリテラシーの無い中高生が個人情報を垂れ流していた。性別:パコられる方(笑)は定番文句。
※2008年当時の情報です。

僕の高校から東京に大学進学する人は、僕1人だった。
でも寂しくは無かった。
大学に行く目的はあったし、夢も希望もあったし、友達が待っているから。

そもそも、僕が東京の大学進学を視野に入れたのは携帯掲示板で知り合った同い年の東京在住の友達が「東京に来なよ」と言ったからだった。

僕の場合、携帯掲示板で勉強の相談、いろんなニュースに対する議論、イラストコンテスト、日常的な会話をして交流を深めていった。

当時ではわりと珍しい方だと思う。

掲示板内の勉強に関するスレッドに大学進学を目指す者が集まり、日々の勉強時間などの進捗報告や解けない問題の質問、不安なことの相談を行なっていた。
僕もしていた。勉強をする仲間は学内の同級生だけじゃなくて、ネット上の日本全国の浪人生も大人も含んだ大勢が僕のライバルであり、友人だった。

イラスト系のスレッドでは、毎週テーマを定めてイラストコンテストをやったり、絵しりとりをしたり、絵の上達の相談をしたり。僕は画力よりアイデアをよく褒められた。
ここで出来た友達とはホントに仲良くなって、上京してすぐに10人ほど集まってオフ会をしたし、今でも会う。

そんな彼らが、僕の友達。
根暗もヤンキーも主婦も公務員も専門学生もいた。
でも、みんなに会ったわけではない。
ほとんどはもう連絡すら取れない。

今思えば、当時ネットで友達を作るのはなかなか難しかった。
ネットで交流してるのなんて極一部だし、会うなんて超極々一部。
ネットとリアルはリンクしない、本名なんて以ての外なのが当時。

時間をかけて、自分のあらゆる感情や創作物を出して作った友達ばかりだった。だから気を許せたのかもしれないが。

一応mixiもやっていた。掲示板で知り合ったミルヒーという名前の大阪在住の主婦に招待してもらって、登録した。絵かきの友達もmixiに登録してた。コミュニティで少しは友達はできたけど、会うほどの友達にはならなかった。


2018年

では2018年はどうか。

今ではほとんどの高校生がtwitterまたはinstagramのアカウントを持っている。
クラスメイトと交流するためのアカウントはもちろん、趣味用のサブアカウント、親友と繋がるためだけの裏アカウントなど。

リアルとリンクさせてるのは鍵を掛けたりしてオープンにしないアカウントだったりするが、どの程度オープンにするかを上手にコントロールできるのが今の高校生。

大学進学を目指す子はオープンな勉強アカウントを作って、twitter上で日々の勉強時間などの進捗報告や解けない問題の質問、不安なことの相談を行なっている。そうしてできる友達もいる。
合格報告をすれば沢山の祝福の声が届く。

余談。
女子高生のふりをしてアカウントを持っていれば、ワンチャン狙いのオジサンや大学生が勉強を手取り足取り教えてくれるのが現代だ。便利。
慶応大を志望していますとか書けば青田買いを目論む慶応大生が学内の様子を教えてくれる。学内の様子のリサーチも簡単になったものだ。便利。


さて、「友達が居る東京へ出る」についてだが、

合格したら「#春から〇〇大」を付けてツイートすれば友達ができる。
あるいは、#春から〇〇大とツイートしてる人に「おめでとう!私も受かったよ!よろしくね!」これで友達になれる。イイネやフォローだけでも良い。
とってもスピーディー!

立教大学に行くなら#春から立教、電気通信大学に行くなら#春から電通大、そんな感じだ。

各大学のサークルはこの文言でエゴサーチして、速攻フォローしてくる。
ワンチャン狙いの先輩もいち早く「優しい先輩」になろうとコンタクトを取ってくる。
そして、友達作りが不安で寂しい同期生も「私も同じ学科受かったよ!よろしくね!」みたいな感じでイイネしてくる。

イイネさえあればDMオッケーみたいなものだ。気軽にコンタクトを取れる。
そこで新入生用のLINEグループ仲間募っちゃったりしてね。

大学専用アカウントを作る子も多い。

もちろん、既存の趣味アカウントなどのオープンなアカウントで春から東京に行くぜーと言えば、まじか!集まろう!とオフ会が開かれるのだ。ネットの友達はすぐにリアルの友達になる。まぁこの辺は昔と変わらないか。でもハードルはぐんと下がった。

twitterに限ったことではなく、趣味に応じたコミュニティサイトは無数にあるので、友達も作りやすくなった。
個人を特定されない範囲で性格・個性を出して交流しているから、すぐ会える。まぁまぁ信頼関係はできている。

「まぁそんな危険なことを」と大人は感じるかもしれないが、ネットに慣れた彼らはその辺の審美眼も大人より備わっている。いや、まぁ騙される子もそれなりに居るから問題は問題なんだけど。

#春から〇〇
便利やなぁ。羨ましい。

ちなみに#春から〇〇でできる友達は上京最初期の精神的クッションのようなもので、ちゃんとした友達はサークルやなんやらですぐできる。#春から〇〇はガチな友達を作るためにやるというよりは、スムーズに大学生活をスタートさせるための精神安定剤のようなもの。それが大事。


みなさんは春から変わりますか?

僕は#春から…何も変わらへん。。



よろしければ、サポートお願いいたします! 塾の生徒のためにクリエイティブな本を購入します。