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山火事を消せ! -「インフレ」 vs "消防士" FRB。

「早く消防車を呼んで大量放水しろ」 ≓ 「3月から+0.25%ずつ "利上げ" でなんて呑気なことを言っていないで、なるべく早く+0.50%、年間で+2.5~3.0%上げろ!」

 「インフレ」が導くもの。 ー 修正を迫られる【共存社会】。|損切丸|note でこういう表現を使ったが、図らずも12月FOMC議事録FRBが "同じ考え" であったことが "証明" された。ちなみに「損切丸」で何か事前に情報を掴んでいた訳ではないが、昔からこんな事はよくある。まあそれだけ日銀やFRBとの付き合いが長かった、という事なのだろう(苦笑)。

 米国債は売りが加速し、「利上げ」のベンチマークとなる2年債は@0.8%台、5年債も@1.4%台乗せ。これはエコノミストが「早期利上げ」と言っている3月+0.25%どころか、1/26の+0.25%「利上げ」も想定した水準だ。

 FRB "証明" した以上、金利トレーダーはその "最大値" = MAX を探ろうとする。 この場合の MAX とは1/26 FOMCでの+0.50%「利上げ」。どこまで金利が上がるかシミュレーションすると、2年が@1%台、5年が@1.5%台に達する。今米国債を売ってるトレーダーはこの辺りの目線で動いており、逆に言えば*そこまで想定しないとここからは売りを仕掛けられない

 *2年債には自ずと金利上昇に限界が来るが、5年超となると話が全く違ってくる。これから訪れる「利上げ」局面を見ているとわかるが、金利市場は「次」「その次」「またその次」とどんどん織り込むので、長期債は加速度的に金利が上がることがある。まして現在の様にイールドカーブが極端に平坦化(短期と長期の金利差が少ない状態)していると、その危険性はかなり高い。「金利収入」狙いで長期債を保有していた投資家の「損切り」を巻き込めば、スパイラル的に売りが売りを呼ぶ展開もあり得る。

 「想定外」でちょっとビックリしたのは米株式市場。議事録発表までは前日比プラス圏内で堅調推移していたNYダウも一気に売られた。

 ただ慌ててはいけないのは、まだNYダウは@$36,000台。昨年終値(=@$36,338.30)さえ割り込んでいない。投資家も現段階では ”想定内” 。

 「体感物価」がCPIより高く、株価上昇率に近かっただけ

 こうも書いたが、仮に2021年の体感物価」≓「株価上昇率」+20%が元に戻ると仮定すると、 ”完全鎮火” のための「調整売り」は▼20%近くに達する可能性もある事になる。 ”消火開始” =「利上げ」で金利がスパイラル的に上がればそういう展開も考えられるが、さすがにNYダウが@$30,000.-を割り込むようだと ”消防士”=FRBも消火活動を緩めるだろう。

 山火事を消せ!

 今までのマーケットの雰囲気は:

①乾燥している冬に「山火事」が遠くで起きているが「暖かくて丁度いい」
いざ ”火” =「インフレ」が家の近くに迫ってくると熱くてたまらない
③このままでは自分の家が燃えてしまう

慌てて ”消防士” =FRBを呼んだが火の周りが早く、消火が難しい

 という感じか。一度燃え広がった「山火事」を消すのは容易ではない

 こうなると ”消防士” =FRBの手腕が問われる。そして最も重要なのは住民=マーケット参加者が ”消防士” を信頼しているかどうか”火” が出ているのに、 "消防団" はこれまで散々「”一時的”だから大丈夫」と言い続けてきたが、突然「大変だ!」と言い出した。それも自らの判断ではなく、市長=大統領が騒ぎ始めたので仕方なく出動したのなら、甚だ不安だ。

 一つ留意点を挙げるとすれば ”火” があらぬ方向に延焼する可能性。今までのFRBの「利上げ」で焼き尽くされたのは、メキシコやタイなどアメリカ以外の新興国のケースが多い。今なら「トルコ」が心配そこそこの経済規模で欧州と中東をつなぐ要衝でもあり、何かあれば世界的影響は免れない。アメリカ”火事” は消せても、延焼を防げなければ ”火” は回り回って戻ってくる。ドル建債務が多いという意味では「中国」も要注意”大国” といっても人民元はまだ国際通貨ではなく、意外と脆いかもしれない。

 やはり ”寅年” 2022年は「千里を走る」覚悟が必要なようだ。「山火事」との闘いは長丁場になるし、コストも掛かる。 "低体温" で苦しむ日本最初は「暖かくていい」かもしれないが、こちらも対応を誤ると焼け死ぬ「円安」がその兆しでもあり、 ”日本の消防士” =日銀の手腕が問われる


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