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続・"壮絶" な「サバイバルゲーム」に備えて ー 「損切り」探しは続く。

 "壮絶" な「サバイバルゲーム」に備えて ↓ 続編。

 10年債で一時@1.30%を割り込んだ米国債の踏み上げは想定を超えていたが、「まさか!」というところまで動かして「損切り」を誘うのは「胴元」の常套手段。特に*不安心理が増幅して方向性が定まらない今のような相場では非常に有効だ。

 筆者にも覚えがあるが「理屈」にこだわる人ほど引っ掛かり易い。若くて体力があれば「恫喝」に屈せず頑張りきるのも可能かもしれないが、経験的に言うと一旦撤退して冷静になってからやり直す方が "楽" だ。

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 さはさりとて「絶対感」があるところが金利市場の特性でもある。現状の米国債金利「2022年利上げ無し。利上げは+100BPで打ち止め」を示唆している。MTM(Mark to Market、時価会計)で売買益を狙うトレーダーなら10年@1.28%でも買って上がったところを売ろうとするかもしれないが、金利収入をベースにした最終投資家は ”流れ” に身を任せたりはしない。どこかで金利の「絶対感」が歯止めをかける

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 TIPS(米物価連動債)とBEI(予想物価上昇率)を見ても、さすがに5年TIPSに売りが出てBEIも@2.47%まで低下したが「インフレ」の基本線までは変わっていない**TIPSは実際のCPIに連動して元金上乗せ分=実質利回りが決まるため、実際に物価が下落でもしない限り大崩れはしない。

 **米TIPSには「ゼロフロア」が付いており、仮に日本のようにCPIがマイナスに陥っても元金は100%償還される。利回りも現状の米CPI@5.0%が今後@2.0%割れまで急激に低下しないとすればTIPSの売りには限界がある。日本で物価連動債を導入した時にはこの「ゼロフロア」がなく相場が暴落。市場参加者からの要請でようやく元金保証が付いたが、CPIの基準がコロコロ変わる事もあって不人気のまま

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 昨日(7/8)も10年米国債は@1.30%台に押し戻されたが、こういうのを「コツンと来た」と評する事もあった。もしここで「踏み上げ」が一巡しているようなら、***「絶対感」に沿ってじっくり買い時を待てば良い

 ***材料が出てヨ~イドンの「ゼロヨン」競争になるFXとは大きく違う相場の向き、不向きは各々の「特性」「好み」によるが、「金利差」をFXの売買材料とするなら「コツンと来た」かどうかは関心があるだろう

 不条理な金利相場との連関性は不明だが、他の市場も少しおかしな動きになってきた。レパトリ(Repatriation、相場の損失を他の相場の利益で埋めようとする行為)の連鎖もあるのかもしれない。例えば米国債金利低下を全く無視していた中国国債も ”耐えきれずに” 10年債金利が@3.11% → @3.02%まで低下もともとパフォーマンスが悪かった中国株も不調のまま

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 アジアの中では比較的好調だった韓国株(国内の個人投資家は借金してまで買っているという)だが、通貨ウォンの売りが強まると同時にKOSPI指数も下を向き始めている市場がスカスカの日経平均はもっと状況が悪く軟調な地合が続く。さすがに▼700円も下げた今日(7/9)の後場、**** ”耐えきれず” 日銀が出動したかも?(終値では▼177.61円安まで戻した)。

 ****報道では「7/9日銀のETF購入はなし」。欧州時間に日経平均先物@28,300円近辺まで反発(終値比+400円程度)しており、 ”売り仕掛け” の後の買い戻し? 米国債同様、「損切り」誘発のための振り回しかもしれない。2021年はこんな相場ばかり...。まさに「サバイバルゲーム」だ。

 今のところ欧米の主要株式市場は平静を保っているが、レパトリの連鎖でどこかで ”黒白鳥” が舞い降りないとも限らない「利が乗っているポジション」の筆頭が欧米の株式市場。この ”砦” が破れる時は、相場全体が大崩れになる懸念もあり、気の抜けない状況が続く。

 米国債の "踏み上げ相場" が「コツンと来た」かどうかは、早々と株式などのリスク資産を減らし、国債を買っていた「お金持ち」が「利確」に動くかどうかが鍵。こうして本来売買益目的で買った訳ではない米国債がまた「利益」を生む ー 「お金持ち」が「もっとお金持ち」になる展開を過去何度も見てきた。「小市民」にはいつも分が悪い

 株式市場ではコアになる「お金持ち」の動きはまだかなり抑制的で、上下に大きく動く気配は見られない。おそらく ”本格出動” は株の急落局面と推察されるが、そこまで「小市民」は "決め打ち" は避けた方が無難

 「米国債の不条理な踏み上げ」に次ぐ ”相場変動要因” は何だろう

 「お金持ちコミュニティ」では既に何やら算段されているかもしれないが、小舟に乗った「小市民」は波に飲み込まれないようにバランスを保ちながら漂うのみ。だから ”荷物” =リスクはできるだけ軽い方がいい


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