続・「金利」の上昇が止まらない。ー 主要国債は「@4~5%時代」へ突入。
「金利」の上昇が止まらない。ー 世界的に「逆イールド」は解消へ向かう。|損切丸 (note.com) の続編。
米国債も10~30年の名目金利が節目の@4.75%を突破し「損切り」トリガーが発動。こうなると特に売り相場は金利の動きが速い。今更ながら ”財政プレミアム” (上乗せ金利)を加味し始め、@5%一直線の展開になる。
ヨーロッパ等主要国債市場も当然米国債に引っ張られる。ドイツに至ってはPMI(Purchasing Manager's Index、購買担当者景気指数)が8月も39.1と7月(38.8)に続いて深刻な不況。「欧州の病人」の再来とまで言われ始め、9月PMI44.2のフランスと共に重傷。やはり中国に傾斜し過ぎたツケは重く、この状況での金利上昇はかなりキツイ。だが「インフレ」が収まらずドル金利の上昇が続く以上、どうしようもない。
こうなると中銀の付利金利(アメリカ、イギリス@5.25%、ユーロ圏@4.00%)を下回る名目金利の国債を持つ意味がほとんどなくなり、売りが売りを呼ぶ展開に。銀行勢を中心に回避行動=「損切り」が相次ぐ。
「お金」の足りないBRICSや途上国はもっと大変。戦争中のロシアは金利上昇と通貨安が止まらず、10年国債金利は一時@13%を突破、ブラジルやトルコ、メキシコなども金利の上昇が止まず「資金繰り」に奔走。まだ「お金」に余力のある中国は表面上平静を保っているが、「利下げ」に反比例して長期金利がジワジワ上がっており、見た目ほど楽ではなさそう。
1つの注目点は、アメリカ国外で米国債を保有している投資家の動向。本邦金融機関と違い、欧州の年金やファンドはFXのリスクを取って「ドル高」のメリットも享受してきた。トリガー発動で米国債そのものはぶった切ったものの、現金化されたドルをどこで母国通貨に戻しに来るか。そう言う意味では日本や中国による「ドル売介入」の注目度は高い。
異彩を放つのがJGB(日本国債)。連日経済系の国内メディアが「10年国債金利が@0.78%」などと大袈裟に書き立てているが、グローバル投資家から見れば???「金利が上がった」内に入らない。
主要国債「@4~5%時代」へ突入の状況を踏まえると、「日銀による利上げは+1~2%程度」と高を括るのは危険。大体*「利上げ」相場では想定を上回る事がほとんどだ。
筆者も政策金利、ないし長期金利の目処は@2%程度と仮定していたが、サブシナリオとして@3%までの上昇は想定しておいた方がいいかもしれない。ドイツの例を取れば、仮に中国の影響を受けて景気が悪化し日経平均が下落しても「利上げ」を止められなくなる可能性がある。そうでなければ「円安」が止まらず「インフレ」が続くことになるからだ。
あとは「タイミング」と「順番」の問題。「麻雀」と「投資」|損切丸 (note.com) なんて note. を書いたことがあるが、金融政策も同じ。牌を切る「順番」を間違えれば上がれる局面(勝つ)で振り込んでしまうこと(負け)もある。将棋などもそうだが "先読み" で先手を打たないと上手く行かないことも多い。あとはどこまで腹をくくれるか。
漫画好きの作者は「カイジ」で有名な福山伸行氏の作品が大好きだが、↑ の一節は非常に示唆に富んでいる。「ギャンブル」を「リスク」と読み替えると説得力が増すが、結局株もFXも金利もどれだけ証拠を積み上げご託を並べても100%「勝ち」が保証されることはない。911テロや大地震がいい例だが必ず30%程度不確実姓が残る。いつだって「想定外」は起こりうる。
これは金融政策も然り。100%確実な政策運営などあり得ない。日本のように「X(バッテン)主義」だと30年も「利上げ」を躊躇った日銀のようになってしまうが、本来もっとチャレンジがあっていい。失敗したらやり直すだけ。「身投げ」とまでは言わないが、日銀ももう一歩踏み出す時だ。
こんな時に保守的な高齢者が総裁なのもどうかとも思うが、くれぐれもを「タイミング」と「順番」だけは間違わないで欲しい。追い詰められて打つ一手は大概「悪手」。超えられそうな "漆黒の闇" を飛べるかどうか。日銀も含め、今日本人全体に問われているのはその点だと思う。
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