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今度は中古車価格が上昇中? ー ここにも「コロナ後」の供給減少の影響Ⅱ。

 「昨年は3,500台あった中古車の在庫が今は300台しかありません」

 「損切丸」家の自家用車はもう8年目に入り、そろそろ買換時。折しもEV化が世界中で叫ばれている中、2021年には各メーカーが続々と新しいEVモデルを発売する。さしずめ「EV元年」である。

 買換を考えるきっかけはFIT(固定価格買取制度、Feed-in Tariff)の終了だ。ESGよろしく10年前から太陽光パネルを付けて頑張ったが、それもFITによる買取価格@40円/KWが大きかった。それが@10円/KW以下に急落。通常電力を@25円以上で買っているのにこんな馬鹿らしい事もない。それならEVに使おうという結論になった。

 だがEVは値段が高い10年乗って元が取れるかどうか(10年前に太陽光パネルを付けた時と状況が酷似している)。ESGは「お金」がかかる!

 そこで大事になってくるのが各種補助金である。幸い東京都は国(経済産業省+環境省)とは別に補助金が付くので、申請が通れば+80万円近く、5年間の自動車税減免と合わせると+100万円近くコストを下げられる

 さてここで本稿の本題である「中古車価格」。8年前に5年乗った車の "下取り" を二束三文で買い叩かれたので、正直あまり期待していなかったが、これが "予想外の援軍" になった。何と補助金の合計を上回る金額に。

 どういうことなのか?

 冒頭の3,500台→300台の在庫減少が如実に物語っているのだが、売る「中古車」が極端に減っている=つまり「中古車」がかなり売れているらしい。要因としては:

 1.近年新車の販売価格がサイズアップと共に高騰

 2. 買う側が新車の値上がりを嫌って中古車市場に殺到(特に高級車)

 3.「半導体不足」が深刻になり、自動車の供給が激減 ー e.g. ①ナビの供給不足で納車後に付ける、②人気車種の注文受付自体を止める

 コンピューター制御が主流の現代の自動車業界では「半導体」は不可欠で、車の供給に支障をきたしている。結果として標題添付のグラフのように「中古車」売上が突出し、価格が急騰している。

 車の買換えを考えている人間にとって「下取価格」の高騰は降って湧いたような「僥倖」だが、あまり喜んでばかりもいられない。自動車好きの方は認識されていると思うが、ここ10年程の自動車価格の高騰は凄まじい。今持っている車と同じグレードのものを買おうとすれば、おそらく+3割は高くなっている。8年で考えれば年@+4~5%の価格上昇だ。

 これと同じような現象が別にある。そう、都心のマンション価格である(4/12 ↓ 日本の不動産価格が上昇中?ご参照)。「タワーマンション」価格の高騰は大分世間でも認識されているが、最近は「中古市場」へ顧客が流れている「自動車」市場がこの流れを後追いしているように映る。

 これは「日本」固有の現象なのか?

 。むしろ「日本」が世界を後追いしている。株価でいえば米国に遅れて「日経平均」が@30,000円を突破した

 これを「インフレ」と呼ぶのではないか?

 不動産、自動車と価格上昇が確認されるにつれ、筆者も確信を深めている。シンプルに考えて主要国が3京円もの借金をして「お金」をばらまけば「価値」が下がるのは当然「金余り」の「富裕層」が先にアクションを起こすのは自然で、値の高い物から徐々に安い物へ波及していくのだろう。

 一時@$60,000.-を超えたビットコイン(BTC)や高騰する「タワーマンション」「バブル」と囃す向きもあるが、1980~1990年台の「真性バブル」を経験した者としては異論がある。

 本当の「バブル」とは(借金をしてまで)一般庶民の隅々まで株や不動産が "ロング" (買い持ち)になった状態80%以上の人が "ロング" になれば誰も相場の下落を望まなくなる。そういう時は不動産や株が上がる話ばかりがメディアで踊るようになる。だから「バブル」という文言がメディアで目立つ今は逆に「バブル」ではない

 車の「下取り」が高くなるのは嬉しいが、昨今の「半導体」の状況も一過性とは考えられず、新車だって来年、再来年とどれだけ値上げされるかわかったものじゃない。ここは「現金」を「物」=新車に買えておくほうが無難。ある程度ローンを組むのも「インフレヘッジ」にはなる。

 自己弁護のようで恐縮だが「損切丸」は "インフレ論者" ではない。実際 "デフレ" 下の平成30年余りは「現金」を多めに保有して随分いい思いもした。1つ一般の方と違うのは「金利」について専門的知識があること。昨今の金利、特に米国債市場BEI(Break Even Inflation Rate、予想物価率)、イールドカーブ等等、どこをどう見ても「インフレ」を指し示している

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 そして今回のように「現場」で生々しい話を聞くと「金利」等のマーケットの ”理屈” と合致点が見えてくる "机上の空論" にならないよう、常に生活の「現場」で確認する作業が「相場」「投資」に於いて極めて有効だ。

 特に自らの大切な「お金」を投じるなら、フィナンシャルプランナーの助言やマーケットコメントだけでなく「裏を取る」努力が必要。そういう意味で今回の「下取価格」「中古車」の話は新鮮な驚きであり、貴重な ”生” の情報になった。車の話に限らず、今後も「現場」は大事にして行きたい

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