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まだ "お金" が余ってるなぁ...。

 何だかんだで米株も上昇基調に復帰。11~12月の決算期の「ボーナスシーズン」に向けてファンドやトレーダー達も "ほっと一息" というところか。欧米株価は軒並み通年@+12~16%の運用成績でまずまず。近々ETF上場見通しのビットコインは倍以上(@113%!)だし、投資銀行の決算も改善しているようだ。

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 「まだ "お金" が余ってるなぁ...。」

 今の相場に対する正直な感想。これは国債が「大幅なマイナス実質金利」に留まっていることからも推察される。いよいよFRBによる「テーパリング」開始で米国債金利も上昇基調にあるとはいえ、これは「お金」の "追加供給" を止めるだけ金利の上昇が物価の上昇に追いついておらず「実は金利は低下している」

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 「大幅なマイナス実質金利」国債などの金利資産から株や不動産などへまだまだ「お金」が流れる可能性を示唆しており、現状のマーケットの動きを是認する材料だ。

 一方「お金が足りない」市場もある。

 筆頭は「中国」10年国債の「実質金利」は@+1.77%と突出して高い。 そして実は主要国でその次に高いのが「日本」。こちらは携帯電話値下げなどの "特殊要因" でCPIが▼1%程度低めに出ている事を考慮しても「実質金利」は欧米を大きく上回る

 「日銀」は ”弾切れ” 3月「金融政策総点検」から「ステルス・テーパリング」も始まっており、あまり「お金」にゆとりはない日中共に株価の運用成績が振るわないのも、この「お金不足」と無関係ではなかろう

 "名目金利" が10%を超える「高金利国」ブラジルトルコ「お金が足りない」。だが物価込みの「実質金利」は「中国」より大分低い

 「金利が高い」=「お金が足りなくて苦しい」=「危ない」

 これは国家のみならず、企業や個人にも当てはまる「金利の法則」。 "返ってくる見込が低い相手" には "高い金利" が要求されるのが世の常である。「金利が高い」=「危ない」 - そう言う観点からは日中の方が欧米より「危ない」ことになる。「インフレ」で考えても、法定貨幣の価値が下がる国の方が「危ない」

 さて「テーパリング」で注目のドル金利。10~30年米国債を見ていると気付きにくいが、実は2~5年を中心に猛烈に金利が上がっている「イールドカーブ」の形状は大きく「フラットニング」(=長短金利差縮小)。

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 「利上げ」が確実視されている局面では良くある事だが、日が経つ毎に「名目」短期金利が上がってくる金利の ”シミュレーション” "日数の 加重平均" で行われるため、「利上げ」後の高い金利を含む "日数" が増えれば "計算値" は上がってくる「テーパリング」においても、現在@0.05~0.08%のFF金利が今後上限金利である@0.25%に向かうことになる。

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 現在FRBの政策金利は2024年央に@1.75%に達する見通しとなっている。実際に「利上げ」で「お金」の回収が始まるまではまだ時間があると市場は判断しており、「お金」はいまだに株等の資産市場に向かっている。やはり 株価下落などの ”物理的変化” は①足元で「お金」が回収されて減る、あるいは②長短の「実質金利」がゼロ近辺まで上がるまで実現しそうもない

 中国人民銀行:「 ”中国恒大” の問題、金融への影響制御できる」 → 「あぁ、やっぱりかなりヤバイんだな」(個人的感想)

 もう1つの ”注目株” 中国の「不良債権問題」人民銀行がしきりに「大丈夫」を繰り返し、それが株価の反発に繋がった面もあるが、筆者はかなり懐疑的だ。当局者は:

 「 ”中国恒大” の問題、大きすぎて金融への影響制御できない」

 なんて、「逆」 は口が裂けても言えないどんなに問題が深刻だろうが「大丈夫」と言い続けるしかないのである。かつての日本もそうだった

 もっとも「リーマンショック」と違って関連証券が世界中に出回ってはいないので、中国外への「金融的影響」は限られるだろう。実際日本の「バブル」崩壊時は「ジャパンプレミアム」(邦銀に対する上乗せ金利)のように影響は日本に集中した。今回も同様の展開を予想するが、違いは「中国依存」の国々が受ける「経済的影響」が広範囲及ぶことだ。

 「お金が足りない」

 マーケット全体がそういう状態に至るには、まだ時間的猶予がある。だが「黒い白鳥」や「灰色のサイ」はどこで現れるかわからない”サイン" @3.0%に達した中国10年国債金利なのか、一気に@114円台に乗せてきた「円安」なのか、あるいは@60,000ドルに乗せてきたビットコインなのか。筆者は引き続き緊張感を持って "専門" の「金利」を注視していきたい。

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