2021マーケットオープニング概観。
通常欧米は1/1の New Year's Day 以外は営業日なので1/2から新年相場がスタートするが、2021年は1/2、3が土、日だったため東京と同じ1/4がマーケットオープニングとなった。
1.株式市場
2021年もマーケットの主役は株式市場。年明けいきなり日本は「緊急事態宣言」、イギリスは「全土ロックダウン」など不穏な空気も漂い、昨日(1/4)はNYダウが一時▼$600超下げるなどギョッとした。
日本では「丑年のつまずき」と言うが、一種の統計学( ↑ 標題添付。確かに丑年のパフォーマンスは悪い)なので馬鹿にしたものでもない。実際「高島暦」だけで株の売買をする人もいるぐらいだ。
それでも ↓ 前稿.オプション取引と相場急変動。で触れた「ロビンフッター」等の個人投資家を含め、今は株の強気派が圧倒的。売られたところを拾おうとする投資家が大勢だ。唯一気になるとすれば、マーケットが過剰に「買い」に傾く事。*昨年9月にナスダックを荒らした「オプション取引」などにも注意が必要だろう。
*NYダウ@$29,500プット(売る権利)やナスダック@$12,000プットの売りが流行ると、そのプットを買ったオプショントレーダーがデルタ・ヘッジ(現在値が行使価格を上回る確率)で株を買うためますます上がる。これが一巡すると株価は徐々に上がらなくなり、売りに反転して行使価格の@$29,500や@$12,000に近付くと途端に相場は売り一色になる。
2.為替市場
2021年も引き続き「ドル安」がテーマ。1985年の「プラザ合意」以降、借金がかさんだ米国の「伝家の宝刀」だ。いわゆる「近隣国窮乏化策」で、主要通貨ドルをテコにコストを他国に押しつけ、覇権を維持する手法。ドル円も一時@102円台、ユーロは@1.2300台に乗せ、人民元も@6.5000割れなど各国対応に追われるだろう。
日本やヨーロッパは更なる「マイナス金利深掘り」を迫られる場面もあるかもしれない。だが「預金税」の性格も帯びるため景気には ”諸刃の剣” 。銀行の利益圧迫も気になる。
中国は国内の「信用膨張」が止まらず「利下げ」はリスクを伴う。国有企業のデフォルトも相次いでいることから思わぬ波乱があるかもしれない。
3.金利市場
2020年後半からじりじりと上がっている国債金利。ずばり2021年のテーマは「長期金利の上昇」。「ドル安」政策を展開している米国債が鍵になる。
株価とシーソーのように「名目金利」は上がったり下がったりを繰り返しているが、もう一つ見ておかなければいけないのが「インフレ」。「物価連動債」とBEI(Break Even Inflation rate)が指標になる。
BEIが@2.0%を抜けてくるのは2018年以来。TIPSも2019年以降明確な買いトレンド(=マイナス金利拡大)で「インフレ」傾向を示している。
米国以外はこの「ドル安・インフレ政策」に付き合わされており、はっきりいって迷惑。ヨーロッパ、特にドイツの苦悩が深い。
日本はかなり状況が違う。「損切丸」ではシリーズで追っているが**日銀にはもう「お金」がない。日本の金融機関が「一丸となって」金利が上がらないように踏ん張ってはいるが、さてどこまで持つのやら。
**昨年から「日銀ETF買い過ぎ」キャンペーンを展開しているが「資金繰り」の立場からは当然。 ”償還期日” のない株は放っておけば(デフォルトまで)永久に資産として残る。真っ先に売るべき対象だ。
年末の行政執行(政府預金→日銀券・当座預金)や国債、社債の償還等で21.5兆円程「資金繰り」をつけたが、さて3月期末までにどうするのか。少なくとも「量的緩和」追加で「過剰流動性」を市場に投入する余力は無い。「マイナス金利深掘り」を発動する時は急激な円高等、余程の事態だろう。
4.仮想通貨、ビットコイン(BTC)
ほんの1か月前までなかなか@$20,000.-を突破できないといっていたBTCだが、気がつけば@$30,000越え...。何というか、確かに金利の影響を受けにくいが、***解説不能の「踊る阿呆に見る阿呆」の状況。むしろリブラや他の「デジタル通貨」の発行状況に着目していきたい。
*** ↑ 反り返るようなチャートを見ると「ITバブル」の時のナスダック指数や2007年に@6,000ポイント近くまで急伸した上海総合指数( ↓ )を想起する。こうなると@$50,000.-になっても@$10,000割れになっても驚かない。「踊る」なら心してかかる必要があろう。
さて「つまずく丑年」のマーケットはどうなるのか。2020年も思いもよらない相場展開だったので今年は一つ一つ材料をより丹念に拾っていきたい。 "Never Say Never" の精神で。
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