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次から次へと出てくる「インフレの証拠」。ー それでも ”物価は上がるが金利は上がらない?” 。

 ①中国 10月生産者物価指数(PPI、年率)+13.5% (予想)+11.7% (前月)+10.7% 消費者物価指数(CPI)+1.5% (予想)+1.6% (前月)+0.7%

 ②アメリカ 10月CPI +6.2% 予想)+5.6% (前月)+5.4% 

 ③ブラジル 10月CPI +10.67% 予想)+10.45% (前月)+10.25% 

 ④ギリシャ 10月CPI +3.4% 予想) n/a (前月)+2.2%

 ⑤日本 10月企業物価指数 +8.0% 予想) +7.0% (前月)+6.4%

 まあ次から次へと出るわ出るわ「インフレの証拠」①中国のPPI&CPIが典型だが、生産段階の物価上昇(PPI)が激しく、それを消費者に転嫁し切れていない。これでは企業利益は上がらず、株価が低迷するはずである。

 「消費」が強いとも言えない③ブラジルや④ギリシャで「インフレ」が起きているのも象徴的だ。もうこれは一時的とか特殊要因ではなく「真性」と考えていい。世界的な「需給」が明らかに崩れている

 ②アメリカも物価上昇が止まらない10月CPIは遂に@6%を超え、20年以上「金利」に携わった筆者の記憶にもない値。それでもアメリカの場合は「賃金上昇」企業業績向上 → 株価上昇の好循環がまだ保たれている。

 ⑤「賃金の上がらない国」日本も決して「消費」が強い国ではない企業物価が+8.0%も上昇(10月)する中、膨大な企業の「内部留保」で何とか凌いではいるが、この ”やせ我慢” も長くは続くまい人手不足による「人件費上昇」が健在化しつつあるからだ。

 日本でも小麦価格高騰の影響でパンやパスタも続々と値上げガソリン電気料金値上げ「泣きっ面に蜂」状態。①中国では停電の影響で紙が不足したり、洪水で野菜が不作だったり、②アメリカでも「1ドルショップ」の棚から「1ドル」の商品が消え感謝祭の七面鳥が値上がりしたりとまさに「インフレ」のオンパレード。しゃれにならない業界も多そうだ。

 しかし "米CPI発表直後" の米国債市場の反応は非常に奇妙なものだった

 「利上げ」前倒しで2~5年債の金利が上昇するのは判るが、10~30年債金利はむしろ低下(その後、NY引けにかけて上昇に転じた)。確かに教科書的には「利上げ」初期は「ベアフラット」(金利上昇時の長短金利差縮小)で、前稿.米国債市場からのメッセージ ”物価は上がるが金利は上がらない?” 。↓ を読んで頂ければある程度は理解可能かもしれない。だがこれは極端すぎる

$  FF- 2- 5- 10 -30y(グラフ)11 Nov 2021

米国債11.11.2021

 実際TIPS(物価連動債)は爆騰しており、5年BEI(予想物価上昇率)は@3.11%と ”高値” を更新これほどの「真性インフレ」なら長期債は売られ「ベアスティープ」(金利上昇時の長短金利差拡大)が「王道」のはず。だが米国債のイールドカーブは「経験則」から外れて動いており、「理論派」でベテランのトレーダーほど "巻き込み事故" に合う相場となっている。

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 これは日米欧中「通貨当局」による「インフレ税政策」ではないのか?

 確かに4極で3京円を超える「大借金」は、+5~10%程度の増税で返せる代物ではない。そうなると国民負担を考える時「インフレ税政策」は避けて通れない。疑い深い元・金利トレーダーとしては(苦笑)「米中対立」「コロナ後のデカップリング」、そして「脱炭素」でさえも、「インフレ」を創り出すための ”壮大なヤラセ” ではないかとさえ思えてくる。それだけ我々生活民の「負担感」は半端ではなく、かなりの "重税感" だ。

 折しも日本では18歳以下の「10万円給付金」が取り沙汰されている。街頭インタビューで「使い道は "貯蓄" 」と答えていた人がいたが、これは  ”危険” 「給付金」は究極の「インフレ政策」↓(11/3)だからだ。形を変えた「ヘリコプター・マネー」(ヘリコプターから「お金」をばら撒く事)と考えてもいい。「資金繰り」に余裕がない場合以外は、何か「インフレ」に対応できる "もの" に換えないと、せっかくの「給付金」がフイになる

 「テーパリング」も「利上げ」も「金融緩和」になり得る? ↓(11/4)訳で、これでまた一層「金融緩和」=「実質金利の低下」が進んだことになる。その観点からはまだまだ株も「暗号資産」もラリー(買い相場)が続くのかもしれない。金利市場の Old Timer (古株)としては ”Behind the Curve” (問題への対処が後追いになり手遅れになる事)で対処不能になるのではないかとひたすら心配だが、「国家」はお構いなしだろう。

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 しかし5月に車をPHEV(プラグイン・ハイブリッド)に換えていて良かった。半年経つがガソリンスタンドに行ったのは3回のみで、それ以外は自宅の太陽光+ガス発電でちびちび充電して凌いでいる。そもそも車の値段は今後上がる一方。生活で言えば、腐らないコピー用紙とかトイレットペーパーとかの生活用品をいつもより多めに買ったりして「ささやかな抵抗」をしているが、 ”焼け石に水” (苦笑)。本当に困ったものである。



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