マガジンのカバー画像

「損切丸」-「日銀」編

613
「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
運営しているクリエイター

2023年12月の記事一覧

2023年は「社会大変革」の年 - 貯まりに貯まった「失われた30年」の "膿"

2023年は「社会大変革」の年 - 貯まりに貯まった「失われた30年」の "膿"

 年の瀬を迎えて10大ニュースなど今年を振り返ると改めて大変な年だったと再認識させられる。2023年は「社会大変革」の起点と言っていい:

 1.パンデミックと産業革命

 14世紀に起きた「ペスト」の大流行で、当時の世界人口4億5,000万人の22%にあたる1億人が死亡(推計)。労働力不足による「インフレ」を伴った「農地改革」が起きた。更に18世紀中頃から19世紀初頭まで「コレラ」流行の後、イギ

もっとみる
2024年は金利低下の年? - 猛烈に突っ走る株式市場と「日銀」の動向

2024年は金利低下の年? - 猛烈に突っ走る株式市場と「日銀」の動向

 一昨日(12/26)の2年米国債に続き昨日の5年債にも投資家から強い需要が見られ、米国債金利は急低下。FRBによる「利下げ」を控え、年金などコアな金利等投資家は一定程度「金利」を確保したいのだろう

 金利水準としては5月から3月に「利下げ」開始時期が早まった事になる

 年末越えの短期の「キャリートレード」狙いでドル円を買っていた向きには "スレッジハンマー" (Sledge Hammer)が

もっとみる
最早「マイナス金利解除」は最重要事項ではない - "流行り廃り" のスピード化

最早「マイナス金利解除」は最重要事項ではない - "流行り廃り" のスピード化

(参照) 続・ ”チャレンジング" な日銀「資金繰り」 ー 「国債買取」減額を探る|損切丸 (note.com)
 ”チャレンジング" な日銀「資金繰り」Ⅲ ー 国債発行減で平仄を合わせる財務省|損切丸 (note.com)

 12月会合の「主な意見」は ”ハト派” 的と市場は解釈。年末年始の長期休暇を控え「円売り」等「キャリートレード」を仕掛けたい向きには絶好の材料になった。下がらない(あるい

もっとみる
”チャレンジング" な日銀「資金繰り」Ⅲ ー 国債発行減で平仄を合わせる財務省

”チャレンジング" な日銀「資金繰り」Ⅲ ー 国債発行減で平仄を合わせる財務省

 続・ ”チャレンジング" な日銀「資金繰り」 ー 「国債買取」減額を探る|損切丸 (note.com) からの続き。

 日銀は着々と「国債買取意オペ」の金額を減らし、12月には3~5年と5~10年を更に減額 ↓ 「下限金額」=年66兆円買取に近付けている。これで10月対比で約▼27兆円減ったことになる(年換算)

 平仄を合わせたのが財務省。2024年度の国債発行額が発表になったが、総額で▼1

もっとみる
日本の「インフレ」の行方Ⅱ ー 注目される ”サービス価格” ≓ 人件費の行方

日本の「インフレ」の行方Ⅱ ー 注目される ”サービス価格” ≓ 人件費の行方

 日本の「インフレ」の行方 ー 問われる日本人の ”覚悟” |損切丸 (note.com) の続編

 「損切丸」も含めそう感じている人も多いのではないか。原因は「燃料調整費」。年初月+3,000円程度だったのが▼3,000円にドテン。そう、これが「エネルギー補助金」の正体。CPIを▼0.5%引下げると概算されている。

 コアコアCPI+3.8% > 総合CPI+2.8%にその影響ははっきり現れ

もっとみる
覚悟を決めた?財務省・日銀

覚悟を決めた?財務省・日銀

 昨日(12/19)の日銀政策決定会合で何~にもなかったことからはしゃいでいるドル円、JGB、そして日経平均。まあ短期トレードとしては「買い」が正解だったのだろうが「投資」となるとどうだろう。17年振りに「国債想定金利」を@1.1%→@1.9%に引き上げた ↑ という記事が気になる。年間で換算すれば▼10兆円近い出費増だ。

 「財政健全化至上主義」を標榜する財務省としては、これ以上税・社会保険料

もっとみる
日本で拮抗する「円安派」vs「円高派」

日本で拮抗する「円安派」vs「円高派」

 注目された日銀政策決定会合&植田総裁会見だったが何~も無し(笑)。これでドル円が+3円近く「円安」に飛ぶのだから正直何やってんだか。完全にファンドやデイトレーダーの "オモチャ" になっている。

 「利下げ」開始発言で火消しに大わらわなFRB同様、「チャレンジング」発言が効き過ぎて@140円台まで「円高」に飛んだのが想定外だったか。コントロールされているユーロドルとは対照的で、まさに 気がはや

もっとみる
続・ ”チャレンジング" な日銀「資金繰り」 ー 「国債買取」減額を探る

続・ ”チャレンジング" な日銀「資金繰り」 ー 「国債買取」減額を探る

 ”チャレンジング" な日銀「資金繰り」 ー 国債買取オペは続行不能?|損切丸 (note.com) からの続編

 いつにもまして注目度の高い日銀政策決定会合。今日明日(12/18~19)開かれているが、ドル円や日経平均のトレーダーは気が気では無い。

 こういうことを言うと叱られるかもしれないが「マイナス金利廃止」は日銀にとって最優先事項ではない。▼0.10%を課している当座金座残高は500兆

もっとみる
気がはやる "群衆" を留めるのは大変

気がはやる "群衆" を留めるのは大変

 パウエルFRB議長の ”配慮” が効き過ぎたため、FRBもECBも慌てて "火消し" に走っている。コンサートでも一度ステージに殺到した観客は半ば暴力的になってしまうが、気がはやる "群衆" を留めるのは大変。FOMC後の米国債+欧州国債の怒濤の買い戻しがまさにそれだ。

 この発言で2年以内の金利は押し戻されたが長期金利は下がったまま。結果として「逆イールド」が深まった。展開としては今年初めに

もっとみる
「金利低下」に立ちはだかる "壁"  e.g., 米国債の「逆キャリートレード」

「金利低下」に立ちはだかる "壁"  e.g., 米国債の「逆キャリートレード」

 米国債の買いが止まらない。あの雇用統計とCPIの後で 続・「利下げ」はまだ気が早過ぎる ー 「時間」を買うか「リスク」を買うか|損切丸 (note.com) で「売り」(金利上昇)から入ったトレーダーも多かったはず。それ故に「踏み上げ」=「損切り」も凄まじい。

 しかしここまで「逆イールド」が突っ込むと "別の気配" も立ち上がる。「金利低下」に立ちはだかる "壁" 、米国債の「逆キャリートレ

もっとみる
市場に身を任せるFRB

市場に身を任せるFRB

 この流れになると 続・「利下げ」はまだ気が早過ぎる ー 「時間」を買うか「リスク」を買うか|損切丸 (note.com) はややミスリーディング(苦笑)。筆者の反省としては前稿でも書いた ”大統領選への配慮” への踏み込みが甘かったこと。

 2021.11.30.に パウエル議長の "心変わり" 。|損切丸 (note.com) で取り消された「インフレは一時的」発言が典型だが、ずっと大統領の

もっとみる
続・「利下げ」はまだ気が早過ぎる ー 「時間」を買うか「リスク」を買うか

続・「利下げ」はまだ気が早過ぎる ー 「時間」を買うか「リスク」を買うか

 「利下げ」はまだ気が早過ぎる|損切丸 (note.com) の続編

 マーケットは+2%台のCPI → 年明け一気に「利下げ」相場を期待していたようだが、やはり「利下げ」はまだ気が早過ぎる。*ガソリン価格が急落する反面、家賃が上昇。しつこいアメリカの「インフレ」が確認された。

 本日(12/13)FOMCの声明文や記者会見でも早期「利下げ」を示唆するような発言は期待薄。ただ大統領選を来年に控

もっとみる
「中国」は大雨、「アメリカ」は大火事 ー 真ん中に立つ「日本」は?

「中国」は大雨、「アメリカ」は大火事 ー 真ん中に立つ「日本」は?

 アメリカのCPIはこれまで雇用統計と並んでマーケットの主役だったが、薄気味悪さが漂っているのが中国のCPI。マイナス数値から「デフレ」懸念が台頭し一旦はプラス圏に戻したが11月には過去最低の▼0.5%に沈んだ。

 地方公務員の給料が半年払われていないとか若年失業率が50%にも上るとか色々な話が漏れ伝わっているから本当に景気が悪いのだろう。借金が1京円近くあるので数兆円程度の財政出動ではどうにも

もっとみる
「利下げ」はまだ気が早過ぎる

「利下げ」はまだ気が早過ぎる

 UAW(全米自動車協会)のストライキから3万人程労働者が戻り、10月の雇用統計が実態以上に下振れしていた事が確認された。アメリカの労働市場は依然堅調だ。平均時給が+4.0%に緩んでいるのは朗報だが「利上げ」は止まっても「利下げ」はまだ気が早過ぎる。早期のリセッション(景気後退)まで織り込むのは明らかにやり過ぎで、米国債は2年以内の短期ゾーンの中心に売られた。同時に発表になったミシガン大指数も強い

もっとみる