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日本語に飢えて短歌に出会う

短歌を始めようと思ったのは、中国へ語学留学している最中でした。毎日中国語の新出単語を覚えて、作文を書いて、中国のスーパーで買い物をして、中国語で会話して、という生活の中で無性に日本語に飢えていました。

留学したのは2004年から2005年。当時はちょうど「インターネット短歌」と呼ばれるムーブメントがあって、サイトを賑わせていました。それまで短歌のタの字も考えたことがなかったのに、そこでやり取りされている言葉が面白いこと面白いこと。単なるニュースサイトやブログとも違い、三十一文字のあっという間に完結する世界。でも集っている人たちは一つの題から幾通りもの世界を生み出していて、それが言葉で味わえる。

短い文字数にモノを込めるのだから、必然的に栄養たっぷり、非常に濃度が高い意味を含んでいます。毎日の中国語でひーひー言っていた私は、サイトで繰り広げられている歌会に引き込まれました。

よく出入りしていたのは枡野浩一さんの「かんたん短歌blog」です。たしか桝野浩一さんが御本を出されるということで「レビューコンテスト」もありました。チャレンジして二等賞をもらったはず。

その頃ブログで活躍していた皆さんの中には、すでに「歌人」として出版したり結社で賞を取ったり、歌壇で注目の位置にいたりします。塔短歌会新人賞をとりすでに第一歌集『ウォータープルーフ』を上梓した沼尻つた子さん、未来短歌会で未来賞をとった西巻真さん、早くに亡くなって惜しまれた笹井宏之さん、今はポッドキャストでも発信している佐々木あららさんと仁尾智さん、挙げればキリがないくらい錚々たるメンバーが毎日投稿し、チェックし、枡野さんに斬られていました。私は昔も今も詠み手としてはまだまだなのですが、そんな方々と同じ空気を(遠いところからだけど)吸っていたのはちょっと誇りです。

2012年には塔短歌会に入り、若葉集の頃は頑張って詠草を送っていたものの2年目から失速。2015年の半ばからまた毎月の十首を送るようになっています。復活してからは欠詠はなし、かな。

先日、塔短歌会の昭和48年/49年生まれの会『柊と南天』に誘っていただき、メンバーになりました。これを機に自分の言葉で短歌について語れる場所を作ろうと思い、noteのこのマガジンを作成しました。

仕事では人様の言葉を聞いて、人様の意図に沿うように言葉を書いています。でも自分の内側の言葉もちゃんと残しておきたい。というわけで、仕事とはほとんど関係ないのですがここでもちびちび書いていきます。どうぞよろしくお願いいたします。

建て付けのよいドアなんか蹴飛ばして日なたパワーをもらいに行こう/丘村奈央子 2005土曜の夜はケータイ短歌(NHKラジオ第1)

切れかけた電池に祈るこの曲の二番のサビはちゃんと聴かせて/丘村奈央子 2017日経歌壇


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