岡本達治

1979年6月、熊本生まれ。 生まれつき脳性麻痺による下肢障害。「障がい者と健常者のあいだで生きる」をテーマに創作集「跛行記」および詩などを執筆中。 Twitter(@ok_writing)、ブログ(https://tatsuzi.com

短編小説 「透明な痛み」

風に吹かれたくて外に出た。  熱はひいたとはいえ、三日三晩ベッドに横たわり続けた体には重たい扉だった。ようやく向かい風に逆らって押し開けた時、風が吹き込んできて...

短編小説 「白に、崩れる」

それは突然やってきた。十九歳の春だ。僕は浪人生活をしていた。  僕の運転する車が、橋に差し掛かった時だった。  駅に向かうため、国道を右折すると、西日が正面から射...

歪んだ時間の告白 #詩 #心象

過去が時の別名だとして、  時が、甘く、苦い、幻影だとして、  僕は無力な赤ん坊のまま(羽が震える)  過去からも現在からも隔てられ、(無作為の咎を)  未だに右も...

愛の機械 #詩 #心象

目覚めと諦めが告げたのは、絶望と未達の、ねがい。 きみは知る哉、ぼくときみの隔絶を。 愛を歌う機械みたいなラジオが、 まるで、人みたいだから、騙されてしまう。 ...

瓦礫 #詩 #フラグメント

敗残の身に刺さる 禍事の夕陽が 一夜にして塵芥と空虚に満たされた街を照らしていた。 打ちのめされろと呪ったのは 確かに僕だが、 いま、瓦礫の下に潰れた足を恨めし...

世界の美しさ #詩 #心象

世界の美しさなぞ歌う前に 世界の有り様なぞ言う前に、 お前が握りしめている拳を開いて見せよ。 誰も、お前の事など信じやしない。 自らの生活を嘆く前に 自ら招いた...