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『バベットの晩餐会』徹底解説

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イサク・ディーネセン(カレン・ブリクセン)の短編小説『Babette's Feast(バベットの晩餐会)』を徹底解説しちゃいます!映画を観たことある人なら、目からウロコ間違いなし!
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「クアドラプル・ミーニング(神業レベル)」『バベットの晩餐会』徹底解説:第五章・中篇

「クアドラプル・ミーニング(神業レベル)」『バベットの晩餐会』徹底解説:第五章・中篇



さて、第五章「STILL LIFE」の続きを見ていこう。例によって無駄話はナシで進めるよ。

第五章の前篇はコチラ!

バベットがルター派プロテスタントの「しきたり」を、一週間悩んだ末に「形だけ」受け入れたところからやな。

そうだったね。

姉妹がバベットに実演して見せた「split cod(タラの開き)」と「ale-and-bread-soup(エールとパンのスープ)」とは、「Godを父と

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「フランスでは人々が蛙を食べます」『バベットの晩餐会』徹底解説:第五章前篇

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さて、第五章『STILL LIFE』の解説をしよう。

例によって僕はイサク・ディーネセンの小説版『バベットの晩餐会』をもとに解説しています。

STILL LIFE?「平穏な生活」っちゅうことか?

普通に訳せばそうなんだけど、そんな単純なハナシじゃないんだ…

表向きは「平穏な生活」に見えるけど、実際は違うんだよね…

第5章で描かれることを要約するとこうなる…

「バベットにルター派プロ

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「Babette can cook」『バベットの晩餐会』徹底解説:第四章後篇

「Babette can cook」『バベットの晩餐会』徹底解説:第四章後篇



さて第4章「パリからの手紙」の続きを解説しようか。

前回は無駄話ばかりで全然先に進まなかったな(笑)

ええかげんな奴じゃけん、ほっといてくれんさい♪

もうええわ!

『刑事物語』の樹木希林、亡くなっちゃったね。

ふつう「『寺内貫太郎一家』『ムー』『はね駒』などのTVドラマでお茶の間の人気者となり、その後は『東京タワー ~オカンと僕と、時々、オトン~』『万引き家族』などの映画で見せた演技

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「ヘアードレッサーって、どんな仕事?」『バベットの晩餐会』徹底解説:第4章前篇

「ヘアードレッサーって、どんな仕事?」『バベットの晩餐会』徹底解説:第4章前篇



さて、前半の山場である第三章も片付いたことだし、次は第四章の解説といこうか。

前回を未読の方はコチラをどうぞ!

第四章のタイトルは「A LETTER FROM PARIS」や。

カナダからとちゃうで、パリからの手紙やで。

第四章は、第三章で描かれたオペラレッスンから15年後の出来事。

マチーヌは34歳、フィリッパは33歳、そしてお父さんは亡くなっている。

筑摩書房版だと「16年後」

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「オペラレッスンで何があったのか?」『バベットの晩餐会』徹底解説:第三章後篇

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さて、イサク・ディーネセン『BABETTE'S FEAST(バベットの晩餐会)』第三章「PHILIPPA'S LOVER」に隠された裏の物語「裏筋」を解説しようか。

いや…

「裏筋」というより、こちらがある意味「本筋」なのかもしれないな…

本作における作者イサク・ディーネセンの筆先は「見えない筋をいかに描くか」ということに力が置かれているように思える…

裏筋マニアか。

変な意味ちゃう

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「なぜパパンはキスを覚えていないのか?」『バベットの晩餐会』第三章徹底解説・前篇

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ノルウェーの最北端に近い村Berlevaag…

険しいフィヨルドと閉鎖的な風土は、この地と外世界を完全に遮断し、よそ者の来訪を拒み続けていた…

この村には「黄色い家」と呼ばれる場所があり、そこには、かつて「預言者/予言者」として畏怖されたDean(監督牧師/教父)が、ふたりの娘Martine(マチーヌ)とPhilippa(フィリッパ)と共に住んでいた…

カリスマ的な教父の教えは「日常生活

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