水害

昨日みた夢。子供の頃の水害の記憶が素材になっていると思しき内容だった。

「水が出たで」
 走って知らせに回った。堤防の内側ではまだ工事をしてる人足がぱらぱらといる。「はよ逃げえ」いうことが聞こえた人足連中は道具を放り出して堤防に向かって走りだした。堤防の決壊する前に支流の河口から水が回ってくることを知っているのだ。
 堤防のさらに小高い部分に競って登る。川上の方から堤防の内側に水が入ってくるのが見えた。この勢いではじきに堤防も超えるだろう。
 ふと駅前の通りを見ると、役場や学校の窓に人影がいくつも見える。みずに気づいていないようだ。慌てて駅前の通りへ向かったが途中で水に捕まった。
 ふわりと体が浮いて建物の二階くらいまで体が持ち上げられた。ただ、波のようにすぐに水が引くのでやんわりと地面におろされた。その隙に前へ走るがまた水がきては持ち上げられる。思うように進めない。
 そのうち一度にくる水の量が多くなり、持ち上げられる高さも建物の3階くらいになってきた。水が引いた時も足が地面につかなくなってきた。
 仕方なく前へ泳いでいたが、着物がガードレールに引っかかってしまい、前にも後ろにもいけなくなった。その時背後でどんと鈍い音がして黒い大きな水の塊が迫ってきた。飲まれたと思ったら目が覚めた。


 

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