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話したら肩の力が抜けた

福祉は地域で解く。その通りだと思う。しかし、もし自分の身近に自分と同じように感じる人がいなかったら。地域で解くという方法論だけではかならずしも答えが見えにくくなってしまう。もしその地域にさえ出て行くすべがなければ孤立は深まってしまう。

認知症フレンドリージャパン・イニシアチブがDFJI-Zoomカフェという名称でオンライン会議の利用を試し始めたのは今から3年前の2017年の夏だった。女性セブンの10月15日号の連載記事「伴奏介護」の囲み記事「オンラインで介護を語り合う 」の中で名前が出ている岡田優香さんと伊藤広美さんはその頃からZoomの可能性と自分たちが必要としていることを結びつけて考えてくれていたお二人だ。そういう人たちの地道な応援によってDFJI-Zoomカフェの練習会や関連する打合せの回数はまもなく560回を超えている。

囲み記事の副題は『「話したら肩の力が抜けた」そんな瞬間をゆっくりじっくり待ってます!!』だ。オンラインだからといって特別のことは何もない。人はポツリ・ぽつりと話し出す。

「オンラインはハードルが高い」というのは事実だろう。しかし、だからといって、オンラインによって救われる人の可能性までも閉じてしまっていいのだろうか。すべてかゼロかの議論だけで十分だとは思えないのだ。

ポジティブ・デビエンスという言葉がある。《よい外れ値》と訳すればよいだろうか。記事に取り上げられている岡田さんや伊藤さんはポジティブ・デビエンスなのだ。世間一般の人からみれば、「えっ、そんなこと始めたの?」とちょっと驚かれてしまうかもしれないが、始めた人にとっては切実であり、必要なことだったのだ。

【無理】【難しい】【出来ないと思う】

その主語は誰なのかと思う。もしかしたら《支援》する側の偏見だったり言い訳だったりしないのだろうか。

もちろん、私も言う。無理、難しい、出来ないと。

だから、少しずつ変えればいい。必要だと思う人がいて、チャレンジしてみようと思う人がいて、そして、それによって何かが少しだけ楽になるのであれば。

誰かが始めれば、別の誰かも「自分にもできるかもしれない」と思うかもしれない。1が1.1にない、1.5になり、2になり、3になる。それが前に進むと言うことではないかと思う。

訪問していただきありがとうございます。これからもどうかよろしくお願い申し上げます。