マガジンのカバー画像

認知症フレンドリージャパン・マガジン

41
認知症にかかわるさまざまな活動を掲載していくマガジンです。
運営しているクリエイター

記事一覧

ひとりでRUN伴(1)

RUN伴は、NPO法人認知症フレンドシップクラブ(DFC)が主催するタスキをつないで走るイベントで、函館-札幌間の300 kmをつなぐことで始まった。 2011年の最初の年から参加している。2011年は170人ほどが参加する小さなイベントだったが、いまでは北海道から沖縄までをつなぐイベントに成長し、2万人以上が参加している。 今年は10年目の節目の年だったが、新型コロナの影響で中止になってしまった。認知症フレンドシップクラブ(DFC)では、そのかわりに9月-10月の二ヶ月

Meet Me at MoMA

”Meet Me at MoMA"は、それまでの知識偏重の鑑賞教育に対する反省からMoMA(Museum of Modern Art:ニューヨーク近代美術館)で1980年代後半以降で開発された一連のプログラムを発展させ、2007年から2014年にかけて開発されたプログラムだ。 The History of The MoMA Alzheimer's Project その副題は、 "Making Art Accessible to People with Dementia"で

一人ひとりの「認知症」がある:佐藤雅彦『認知症の私からあなたへ』

電話口で佐藤雅彦さんはこう言った。「本届いた? この本、普段あまり本を読まない人にも読んでほしいと思ってるんだよね。」 佐藤さんは51歳のときにアルツハイマー病型認知症と診断された。以来、認知症とともに暮らしている。本というのはその佐藤さんが上梓した2冊目の本のことだ。タイトルは「認知症の私からあなたへ 20のメッセージ」。佐藤さんが普段話していることが、20のメッセージと写真と文章とでまとめられている。私はこの本を「普段本を読む人」にも「普段本を読まない人」にも読んでほし

変化の予兆:Build Back Better

北里大の人を中心としたコミュニティと関わる活動が新型コロナの影響で延期が続いていた。「だったらZoomを使いましょう」ということになり、そのための一歩がはじまった。 元々、北里大の人はこの何か月か授業等でZoomを使っているので、そのリソースを少しだけ外に向けて開けば、ずいぶんと大きな力になる。今日の最初の一歩では、OT(作業療法)の先生が少し話をした。面白かった。 話の中で、オーストラリア作業療法士協会のHPに精神科作業療法士のLorrae Mynard 氏による「No

対話の要件

対話が生まれる要件とはなんだろうか。ひとつには、パターン・ランゲージ「対話のことば」で記述されたような心的態度を参加者のそれぞれが意図的に実践することだろう。 ふたつめの要件は参加者の動機だろう。もちろん、その動機は参加する人ごとに異なる。明示的かもしれないし、曖昧かもしれない。必要性かもしれない、期待かもしれない。 いずれにせよ、その場にいるという事実は、参加者による関与・寄与の間接的な意思表明となる。対話という文脈でいえば、何かを話したいという気持ち、聴きたいと思って

地図を持たずに

女性セブンの介護系連載記事「伴走介護」の「取材ノート」で、Zoomを用いたオンラインカフェに関連したインタビューをしていただいた記事が、yahooニュースにも掲載された。 たくさんの人に記事を読んでもらえれば、それだけ笑顔も増えするし、オンラインで会話することが福祉・介護の世界の当たり前になっていくのかなとと思う。 Zoomに関する下記のnoteも、4週連続で、「おめでとうございます! あなたの記事「Zoomを使おう!(初級編) ~スマホでZoomに入るまで~」は先週もっ

オンラインサロンのクラウドファンディング

新型コロナのために外出の機会、人と会う機会が減ってしまった高齢者の人たちのために、つくばの人たちがクラウドファンディングを始めた。 目標金額は100万円。目標金額を達成した場合のみ、支援金を受け取ることができるAll-or-Nothing方式のため、正直にいえば、私は「無理だろう」と思った。なぜ50万円にしておかなかったのか。その金額であれば届かないこともなかろうと。 支援募集は6月5日(金)午後11:00までで、今日が5月25日だからあと11日だ。そして、現時点(5月2

笑覧あれかし

女性セブンの介護系連載記事「伴走介護」の「取材ノート」で、Zoomを用いたオンラインカフェに関連したインタビューをしていただいた。 本日5月21日発売の6月4日号に掲載されている。記事内容はとても良い。近くで見かけたらぜひ手に取ってほしい。 取材後、つい調子にのって下記の写真を送ってしまい、それが掲載されたのだけど、女性セブンって発行部数が357,000部もあったんですね(^^;)  ご笑覧を!

放送ベストセレクション

2020年9月に放送されたNHKラジオ深夜便でのオンラインでつなぐ認知症カフェに関するインタビューの内容が、月刊誌「ラジオ深夜便」(2021年1月号 2020年12月18日発売)の「カラー特集2 放送ベストセレクション 認知症カフェ」にも再録された。 内容は「オンライン会議のススメ」として放送で話したことをベースにしているが、冊子の編集を担当された方がイラストも使いながら、わかりやすく再構成されていた。 採録されている写真(右)はZoomで話をしているときのもので、カメラ

認知症カフェ継続に向けた手引き

委員と冊子デザイン支援を行った「認知症カフェにおける新型コロナウイルスの影響と緊急事態宣言等の状況下における運営のあり方に関する調査研究事業」の冊子データが厚労省サイトで「外出自粛時の認知症カフェ継続に向けた手引き」として公開された。 「認知症カフェ企画運営者向け」は、感染症などで外出や人と人との接触が制限されてしまうような状況下でも、認知症カフェを継続していくヒントをまとめたもので、手紙・戸別訪問・オンライン等を活用した代替的な方法について記述されている。 個人的には新

オンライン認知症カフェに関する支援

令和2年度老健事業「認知症カフェにおける新型コロナウィルスの影響と緊急自体宣言等の状況下における運営のあり方に関する調査研究事業」を委員の一人として作成した。 老健事業は厚生労働省が所管する「老人保健健康増進等事業」の略で、さまざまなテーマで行われている。単年度事業なので例年ですと報告書などの公表や報告会などは年度末の2月~3月に行われる。しかし、令和2年度の認知症カフェに関する調査研究事業は、その後の新型コロナの第3波を強く意識し、11月初旬の報告書・関連冊子の配布を目指

話したら肩の力が抜けた

福祉は地域で解く。その通りだと思う。しかし、もし自分の身近に自分と同じように感じる人がいなかったら。地域で解くという方法論だけではかならずしも答えが見えにくくなってしまう。もしその地域にさえ出て行くすべがなければ孤立は深まってしまう。 認知症フレンドリージャパン・イニシアチブがDFJI-Zoomカフェという名称でオンライン会議の利用を試し始めたのは今から3年前の2017年の夏だった。女性セブンの10月15日号の連載記事「伴奏介護」の囲み記事「オンラインで介護を語り合う 」の

ひとりRUN伴

NPO法人認知症フレンドシップクラブ(DFC)が2011年から行っているRUN伴。北海道の函館から札幌までの300 kmを170人ほどの人たちがたすきをつないで始まった活動だが、いまではそれが全国に広がっている。 2020年、新型コロナの影響で全国的なイベントとしては実施は見合わせられた。そのかわりに認知症フレンドシップクラブ(DFC)は「ひとりRUN伴」という企画を立ち上げた。SNSを使ってそれぞれが走った距離を投稿し積算していく取り組みだ。まもなくその積算距離は3,00

土偶:スーパーインクルーシブ

人は誰でも心の中に「願い」を持っている。今とは違う自分、これまでとは違う未来。その願いが叶わないと感じれば、今の自分と願いの中の自分とのはざまで誰だって辛い気持ちや悲しい気持ちにもなる。 でもね、もうひとつ方法があるのかもしれない。RUN伴(とも)で走ってみるように「まさか自分がさぁ」と思うことをやってみることで人は自由な気持ちになれる。 そして、たとえば、人は誰でも『土偶』になれる。タイムマシンを発明する必要はない。縄文の時代に少しだけ思いをはせ変身ベルトを身につけるよ