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9年前よりも賢くなった僕たちの12項目

 ウィルス感染拡大とともに、不安と無力感に打ちのめされそうになっている人たちも増えている。私もそうだ。たくさんある自分を誇れるものの一つが「年がら年中クヨクヨし続けられる心の体力があること」だ。いたずらに図体ばかりでかい私だが、心はヒヨコのようである。

 しかし、同時に頭抜けてオメデタイ私は、「こんな時は好きなもん食べよう」と決めて、妻の誕生日のために劇的に美味いカルボナーラ(自分で言うなよ)を作り、あまりの美味さに少し心に余裕の隙間が生まれたので、次のことがあらためて確認できたのだった。

 9年前の震災後の原発事故を経験をしている以上(主として東日本の住民だが)、次のことはもうわかっているのだよ。僕たちは、と。
 それなら、コウベを垂れることなく、きちんと自己評価を高め、「大丈夫だ!」とお互いを励まし合おう、と。これを「カルボナーラ効果」と呼ぶ。

以下、あの時から学んで強く、賢くなっている僕たちのことを確認しよう。


【賢くなった僕たちの12項目】

1、逃げなくていいとわかった
 原発事故後のセシウムは逃げる以外に避けようがなかったけど、ウィルスは3密を避ければ、地の果てまで行く必要がない。快適なお家だぞ。もちろん家にいることで増える切ない問題も多いが。

2、期間限定で改善されるはずだとわかった
 たちの悪いセシウムには半減期「数万年」とかいうのがたくさんあるけど、ウィルスは「不要な外出しない」だけで、それだけで6週間で状況は変化してくる。放射性物質の影響は生涯続くが、ウィルスは重篤にならない限り2週間で治る。そして、今後「治った人たちが大量に増えてくる」から、その人たちは「壁」になってくれる。みんなで持病を抱える人を守れる。

3、ライフラインは全部あると確認できた
 震災でライフライン(水道・ガス・電気)が止まったけど、今は全部ある。だから不要な買い溜めも必要ない。お米さえ炊ければ、3合炊いて残りはおにぎりにして冷凍しておけば、カップ麺で塩分増やして腎臓やられないですむ。

4、嘘とデマは人間の「おなら」と同じとわかった
 9年前は「嘘とデマとヘイト」にやられて心が荒んだが、あれから「はい!デマ確定!フォゲリッ!(Forget it!)」で終わらせる心の筋肉が徐々について来ている。つまり「嘘とデマは永遠になくならない」と思える。

5、子供の重篤者の少なさで少しだけ安心できた
 原則、年齢などの属性に区別はないが、放射性物質の「人を選ばず」に比較すれば、少なくとも「子供の重篤者がたくさんは散見されない」という事実は、少しだけストレスの引き算になる(大人や老人はどうなっても仕方ないとは言っていない。プリーズ!ドント・誤解!)

6、ウィルス発生の責任はなしと思えた
 原発事故は「利権むさぼるムラの奴ら」という敵設定によって心が荒むような部分があったが、今回は「ウィルス発生そのものには誰の責任もない」と思えるから、そこも荒れた心を少し引き算できる(「武漢ウィルス」なんていうヘイト語を使う奴は「相当怖がってるんだろうな」と、福祉的ハートで処理)。

7、行政は重いが民間は柔軟となった
 過度な楽観論は禁物だが、あれから僕たちの社会は「政府があてにならないなら皆で協力する仕組み」をちょっとずつ作れている(ネットを通じた寄付のやりやすさ、ファンド・レイジングなど)。

8、人々の気概を発見できた
 「飲食の人たちを支えなきゃ」という気持ちに対して、「それはありがたいことやけど、ほんまは俺らが美味いもん提供して、みなさんを励まさなあかんねん」と言う、気概のある友人が発見でき(実話。タケちゃん、ありがとう)、そして勇気を得られた。勇気の素は「発見されるもの」である。

9、仕事や暮らしのスリム化が進んだ
 転んでもただでは起きん僕らは、「こうなってみるとはっきりして来たなぁ。要るものと要らんもん」と暮らしや仕事の「棚卸し」が劇的に進んでいる。これは、事態が収拾された後に、必ず僕らの社会の成長の契機となる。明日がとっても楽しみだ。

10、本当のリーダーシップとは何かがわかった
 本当のリーダーシップとは党派や政権の種類とは直接関係がなく、「マニュアルのない時に何をできる人が必要なのか?」という、正しい問いのスタートラインを発見できた。それに気づかない政権は全て「悪夢の政権」である。

11、「学ぶといふこと」を考えるから賢くなった
 子供を持つ親は、「学校に行かない状況で子供が学ばねばならない」という現実の前で「塾に放り込んでおけば良い」ではすまないため、あらためて「人が学ぶとはいったいなんなのか?」という、普段は絶対に立ち止まらない問いの前で考える契機を与えられた。だから、皆どんどんん賢くなる。

12、意外に隣人を愛していることに気づいた
 これだけ万人に(地球70億人!)平等にウィルスが降りかかると、「みんな弱くて、みんな心配症で、みんな生きたいと思っているんだなぁ」と他者への愛おしさが募る(募集はしないが募る)。

 多少重複するものもあるが、お許しを。

 これらのリストを、思いつくがままにお互いに伝え合うことができるのが、功罪共にあるけど、やっぱりありがたいSNSである。

 予想通り「今さらになって」確定申告の領収書の分類が終わった(分類だけだよ!おい!)。あとは、これを会計の仕事をしている身内に郵送するだけだ。これは、必要かつ急を要する外出だ。

 しゃべらない、マスク忘れない、長居しないで直帰宅する予定である。

 髪の毛の先ほどでも、この12項目がお役に立てば、引用、コピペ、その他、どのようにご利用いただいても構わない。

 では皆さん、どうか元気で、お気をつけて(ユニコーン)。

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