わたしが「私の履歴書」を好きな理由
日経新聞の「私の履歴書」、月毎に投稿者が替わります。毎日、ほとんど欠かさず愛読しています。なぜって、歳をふるごとに作者の年齢と近くなり、描かれている時代が同時代として共感できるようになってきた、ということでしょうか。
今月はファナック会長の稲葉善治さんです。お会いしたこともないし、年齢も上ですが、先日こんなことを書かれてました。
彼が米国赴任中のこと。セブンイレブンが近くにあり、ずいぶんと便利な店があるものだと感心し、利用した。それに紙おむつ、こんなに楽をさせてくれる物はないと帰国前に山ほど買い込んで送ったという。ところが日本に帰ると、セブンは近所にできているし、紙おむつも普通に売られていて拍子抜けしたという思い出話です。
1979年のことだそうです。
そうなんですよね。当時わたしはまだ紙おむつは必要ない独身学生でしたが、コンビニ店ができ始めたころには記憶があります。
でも「コンビニ」「便利」というコンセプトが頭になく理解に遠かった。夜遅く、食べ物や飲み物を売っている店はもちろんない。コンビニはたしかに便利だけれどそこまで必要なのかと。なぜなら、スーパーだと安売りしているのにそこは定価じゃないかと。
便利さをお金の価値にのせて、定価で販売する。こんな店が流行るのかと思ったものでした。ところが、その後の隆盛は言わずもがなですね。
そんな1979年ころ、稲葉さんのようにコンビにも紙おむつにも感動しなかった。じゃあ、わたしは当時いったい何をしていたのだろうかと記憶をたどって、思いをはせる。
これが「私の履歴書」を好きな理由です。