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楽園の条件 4

 平成22年6月8日
 微妙に揺れる船の中は思いの外寝心地が良いのか、朝起きたらもう9時でした。歩いて十分のトイレに行って、お茶漬けをいただいて、なんとなく横になったらいつの間にか午後でした。せっかくハワイに来たのにもったいないですが、考えようによっては贅沢な時間の過ごし方とも言えます。ものは言いようですね。

 このボートハーバーには、ヨットで寝泊まりしている人が結構たくさん居ます。ニュージーランド人のピーターは、アンティキティという古いヨットに住み込んで一日中あちこちを修理していました。実はこのハワイという所は世界のヨット乗りの憧れの地で、ここを目指してセイリングしてくる人が多いのだそうです。ただ、反対にここから出港するのはやや難しく、またここで満足してモチベーションが終了してしまう人も結構居るそうで、そういう人たちが残していった安くて程度のいい中古艇が結構あると言います。ピーターはここでそのアンティキティという1979年製の古いヨットを買って、とりあえずセイリングに耐えるように日々修理しているのです。

「ここである程度修理して、ニュージーランドまで乗って帰ってから本格的に整備するんだ。完成したら、売る。そうすれば航海中の生活費と旅費が出る。この一年間、タダでクルージングを楽しめるということだ」

 すごく自由です。羨ましいです。そう言うとピーターは

「日本の人はお金持ちだし、やろうと思えばできると思うけどね。なんでやらないのかな」
「日本はそうやって一年間も仕事をしてない、キャリアの空白期間があると社会復帰しにくくなるから。元々の収入に戻るのは難しいし、中途就職自体ができるかどうか」
「そうか。ニュージーランドはまたその後普通に仕事に戻れるからね」

 ちなみにピーターの奥さんは日本人でカヨさん、岐阜の人らしいです。そして娘のアイリスは小学二年生。二人ともハワイで一緒に船上生活をしています。ニュージーランドの小学校は遠隔で授業するのもありだそうで、アイリスはよく船で宿題をしています。ほんと、自由ですねぇ。

 散歩がてらにビーチを伝ってDFSへ行ってみました。免税店ですね。お店ですがいろいろ小さなイベントをしていたり、ものを配っていたりして楽しいのです。今日はゴディバのチョコレートをいただきました。それから、ヒルトンのタイムシェアという会員権販売の説明会に行くと100ドル分の商品券がもらえる、という広告を見つけました。予約が必要みたいですが、滞在中に冷やかしに行ってみようかと思います。
 マクドナルドで遅めの昼食。日本では見かけないアンガスというのを食べてみました。食後、せっかくハワイに来たからと実弾射撃に行きます。観光地価格で安くはないですし、銃もごくありきたりのものしかないですが、久しぶりに撃つとまた楽しいものです。
 ワイキキトロリーという観光客向けのバスでイリカイまで戻って、またビーチを歩いて帰ります。夕方のビーチがまた美しいこと。さすが楽園ですね。

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