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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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2023年8月の記事一覧

水深800メートルのシューベルト|第654話

「ふうん、親思いだねえ。ギャングに入って色々と犯罪をやらなければ、もっと親思いだったんだ…

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水深800メートルのシューベルト|第653話

「さあな。そもそも、一人で暮らすって言いだしたのは君だろ?」  ラスウェルさんは、信号で…

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水深800メートルのシューベルト|第652話

「いいんです。チームにいて、脅しに関わっていたのは事実ですし、二人が死んだのも……」  …

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水深800メートルのシューベルト|第651話

こちらを見ないで冷淡な調子で言った。 「いいから行きなさい。用事は済んだでしょう? くれ…

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水深800メートルのシューベルト|第650話

「ゲイルの真似でもするつもり? 言っておくけど、私はあの人が海軍に入隊するのは今でも反対…

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水深800メートルのシューベルト|第649話

「そうした方がいいかもって、提案しただけよ。あなたのためを思ってね。でもいいわ、あなたの…

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水深800メートルのシューベルト|第648話

「君らのチームは、他校の生徒や売春婦を銃で脅して金を巻き上げてたっていうじゃないか。アシェルもそこに関わっていたんだろう」  そこで、彼は一呼吸おいて僕を見た。僕は彼の顔を見つめ返す勇気がなかった。 「それで二人亡くなっているんですよ。この子が裁判にかけられたのは手紙でお知らせした通りです」  ママは、微かに震えるような声で言った。 「え、ええ何かの間違いでしょう? 実際、無罪になったんでしょう?」 「死体遺棄に関しては、証拠不十分でね。でも、運が良かったといっていい。こ

水深800メートルのシューベルト|第647話

ラスウェルさんは首を振って皮肉な調子で言った。 「だといいのですが。この子は、最近までオ…

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水深800メートルのシューベルト|第646話

「ですが、この子の、お金に手をつけて、万一、この子が路頭に迷ったら、どうします? アシェ…

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水深800メートルのシューベルト|第645話

「でも、預金から家賃を払い続けられるとは限らないよ。それをママに貸したら……」(と僕は言…

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水深800メートルのシューベルト|第644話

「ねえ、そうしなさいよ」ママは、さっきよりも強く勧めるように言ってきた。 「ママも、ゲイ…

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水深800メートルのシューベルト|第643話

ママは、赤ちゃんを抱いている両腕を器用にずらし、赤ちゃんを抱いたまま、ペンを握って弁護士…

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水深800メートルのシューベルト|第642話

 すると、ママの表情はやわらぎ、目は嬉しそうに輝いていた。 「まあ、アシェル、あなたは立…

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水深800メートルのシューベルト|第641話

「それに、このアパートメントは狭くてアシェルの居場所はないわ。今さら一緒に住むことになっても……」 「ご心配には及びません」  ママが言い終えないうちに、ラスウェルさんは、鞄から書類を取り出した。彼が何かを言う前に、僕が口を出した。 「お婆ちゃんと住んでいた家で暮らし続けようと思うんだ。だから、ママには迷惑をかけないよ」 「ひとりで暮らすの? 家のことはどうするの? お金は?」  ママは怪訝な顔をした。 「これまでも、お婆ちゃんが仕事に出かけた時には、ひとりで食事を温めた