
10万円で構築可能!中小企業に最適なファイル管理環境について
今回は、中小企業のお悩みごとの1つ、ファイル管理をどうするのか問題についてお話しします。
この記事を読むと、割と簡単に自社で安全なファイル管理環境を作るヒントが得れると思います。
毎年、顧問先であったり過去にお取引のあったお客様から、「サーバーのハードディスクが壊れた」という連絡を受けます。だいたい、いつも10月か11月あたり。正直なところ、壊れた後に連絡を受けてもどうしようもありません。そうなる前の対策はいろいろあるのですが、失われた時に大変なことに気づくという、まるで長年連れ添ったパートナーのような(?)ファイル管理について、知っておきましょう。
記憶媒体は消耗品です
当たり前のようで忘れがちなのですが、ハードディスクは壊れます。しかも前触れ無くぶっ壊れることも多々あります。最近だと顧問先の会社で古くなったデスクトップPCをSSD化したら不運にも半年でクラッシュしたことがあり、やっぱり壊れるものなんだな、というのを実感しています。
会社で扱うファイルですが、規模によって様々な管理方法があります。一般的には社内でNAS(いわゆるファイル置き場)を構築して、そこに一元管理している会社がほとんどではないかな、と思います。この中ではRAIDと呼ばれる技術を用いて、データを分散管理することで1台くらい壊れても維持できるような仕組みを構築し、定期的にハードディスクを交換することでデータがいつでも使える状態を維持しています。つまり、壊れることを前提とした管理方法を取っているわけで、定期的なメンテナンスが必要です。
クラウド型のファイル管理はコスト負担がネック
ちょっと前から、ファイルを管理するクラウドサービスは雨後の筍のように色々と出てきました。Dropbox、Google Drive、iCloudなどなど。これらのサービスは、最終到達地点ではハードディスクで管理しているんですが、それらのメンテナンスをサービス側でやってくれているので、物理的に壊れるという心配がないというのが最大のメリットになります。ただし、一定額のサブスク費用が必要だったり、無料だと組織で使うには機能が不足していたりします。特に中小企業が業務上で使う機能を用意する場合、ほとんどが割高なんじゃないかな、ということになってしまいます。肌感では1ユーザーあたり年間で1万円くらいはかかる気がします。
壊れる前に対策を考えたい
データが取り出せない状態になったあとに騒ぐことが無いよう、なるべく早めに対策を考えたいところです。何故かって、壊れたハードディスクからデータを取り出すのはめちゃくちゃ費用がかかってしまうからです。費用がかかるだけならまだしも、復旧できない場合もありますし、時間もかかります。重要なファイルほど復旧できなかったり、今すぐ必要だったりするんですよね。。
ちなみに本件をお手伝いした会社には、すでにお付き合いのある某大手機器メーカーから、データ管理の装置に関する見積がありました。その金額は約60万円。近くの畑仕事にいく程度の用途なのに2トントラックを買うような構成で経営者が不思議に思ったようで、わたしが相談を受けました。
その際に導入した構成をもとに、今思うわたしの思う最適解についてご紹介します。
中小企業のファイル管理の最適解
まず前提として、10人以上が共有するファイルが有ること、またデータ量がそこまで肥大化していないことがあります。データ量の目安は2TB程度まで。業種業態によりますが、2TBを超える場合はまずスリム化することと、あまり使わないデータ用の保管場所を作るなど別の対策が必要になると思います。
わたしの導き出した最適解は「SSDを使って社内にNAS(ファイル置き場)を構築する」です。メンテナンスの費用を考えたら1番おすすめできます。
予算は作業料金なしで本体だけだと10万円くらいです。これで12年以上はほぼ困らないので年間で見ると1万円切ります。
1,中小企業のデータ管理ならSSD一択
特にIT担当が社内に居ない場合、SSDを使うデータ管理環境を構築するべきでしょう。データを保管する装置には大きく分けて、ハードディスクとSSDの2つがあります。ハードディスクは費用に対して容量が大きくなりますが、物理的な可動領域があるので壊れやすいです。SSDはその逆です。

多少コストがかかっても壊れる心配の少ないSSDを導入するほうが安心です。容量は予算次第ですが、できれば4TBで2つあればOK。これで4TBの容量を保管できます。メーカーは信頼性重視ならSamsungかCrucialあたりを選んでおくと問題ないと思います。コスパ重視ならシリコンパワーがおすすめ。読み書き速度は約450MB/s以上あればずっと使える性能です。
2,NASケースはDiskStationがおすすめ
単にSSDを買っただけではデータを保管することが出来ないので、デスクトップパソコンに接続するか、NASケースと呼ばれるデータ管理に特化した装置を導入するか2択になります。デスクトップパソコンは老朽化しちゃって別の問題が発生するリスクもあるので、NASケースの導入がおすすめです。使いやすいのはSynology社のDiskStationという製品で、2ベイ(SSDを2つ内蔵できる)の商品を購入しましょう。マニュアル通りに取り付けれるので、そこまで複雑な操作は必要ありません。
3,SSDならRAID1で充分
RAIDとは、データを分散管理することでファイルを保護する技術です。細かい話は割愛しますが、2つのSSDに同じデータを流し込んでおく設定がRAID1です。こうすることで、どちらかが壊れてもどちらかのデータが残るようになり、シンプル・イズ・ベストの観点で選びました。SSDは滅多に壊れることがなく、例えばMTBF(平均故障間隔)が150万時間の装置だと、同時に故障する確率は256,849,315 年に1度です。同じ時期に新品のSSDを使い始めることで同時に故障する可能性もあることがリスクというのも若干ありますが、耐障害性としては充分すぎると思います。
まとめ
というわけで、中小企業のデータ管理はSSDでファイルサーバーを構築するのがいいんじゃないかな。というお話でした。もちろんこれが正解というわけではなく、状況に応じて最適解は変わってくると思います。
あとは移行や運用設定などもコツがあるのですが、管理するにあたってはSSDで社内構築するのが一番いいかな、と今思っています。もし詳しく知りたい方や支援を受けたい企業さまが居ましたら、お気軽にお問い合わせください。