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「世界の知性」シリーズ、創刊しました。

日本人の企画による、日本人のための翻訳書が始動します。

PHP新書副編集長の大岩です。

2020年2月、「世界の知性」シリーズという、なんだか大層な名前のシリーズを始めてしまいました。

「世界の知性」シリーズは、「日本人の企画による、日本人のための翻訳書」です。

世界の知性シリーズ写真

(本のソデに載せている「世界の知性」シリーズの説明です)

第1弾は、今世界で最も注目を集める気鋭のドイツ人哲学者・マルクスガブリエルさんの新刊『世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか』。

発売1週間で、67000部を突破しました!)

本書は、マルクス・ガブリエルさんに独占取材して編集した、日本で唯一のガブリエルさん完全語り下ろし新書です。昨年、ドイツのボン大学のガブリエルさんの研究室で、訳者の大野さんと大岩が行なったインタビューで構成しています。

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(取材後、ガブリエルさんと)

このような「新しい翻訳書」の形式で、すでにPHP新書で他に5点を発刊してきました。

いずれも好評で、この「語り下ろしの翻訳書」形式の新書で累計37万部に到達しています(ちなみに、国際ジャーナリスト大野和基さんとのタッグ多数です。大野さん、いつもありがとうございます!)。

先日出たリリースでは、このように書かれています。

1996年の創刊以来、「PHP新書」では日々生起する国内外の変化や問題を取り上げてまいりました。その中には、『未来を読む』(ジャレド・ダイアモンド/ユヴァル・ノア・ハラリ他著)、ベストセラー『お金の流れで読む 日本と世界の未来』(ジム・ロジャーズ著)など、「著作物の翻訳出版」ではなく、海外の著者の語り下ろしをダイレクトに日本語書籍にした新しいスタイルの翻訳書もラインナップされています。いずれもビジネスパーソンからの注目度が高く、メディアにも多数紹介されました。「世界の知性」シリーズは、この動きを受け、海外の叡智を読者に紹介することを使命に、PHP新書の“シリーズ内シリーズ”として誕生し、すでに海外4か国での翻訳出版も決定。日本発でグローバルに展開していくシリーズです。

「新しい翻訳書」の何が新しいのか?

通常、インタビューの語り下ろしで作る新書は、ものすごくざっくりいうと以下の3つの工程を経ます。

1)本のテーマを設定し、構成案・質問案を作成する
2)著者インタビュー
3)原稿のカット、順番の入れ替えなどの編集作業を行う

これに対し、通常の翻訳書では、上記の工程はすでに終わっています(当たり前の話ですが、他国で書籍になったものを訳すためです)。

しかし、それを日本で出版する際には、日本語の本では発生しない、下記の工程が重要になります。

1)原語→日本語への翻訳を行い、より良い日本語にするために検討を重ねる
2)原文(英語)と訳文(日本語)を照らし合わせ、英語校正を行う
※もちろん、翻訳書の出版においては、この他に編集者の「タイトルを選ぶ目利き」が重要になるのは言うまでもありません。

この「世界の知性」シリーズは、語り下ろし新書と翻訳書で発生する、上記のすべての工程を経ています(ゆえに、通常の新書の2倍、3倍の手間がかかっています…涙)。

「作り方からして他の翻訳書とまったく異なる」という点が、「新しい翻訳書」が新しいと言われるゆえんです。

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世界の知を、直接日本の読者へ

翻訳書、私も好きでよく読んでいます。特に最近は「翻訳書ブームの再来」と言ってよいほど翻訳書のヒットが数多く生まれています。

ただ、通常の翻訳書は、「現地読者のために作られたパッケージ」を訳しているため「読みにくい」と感じる方も多いとよく耳にします。日本人には理解しづらい事例や、日本の文脈では捉えづらい解説が入っていることが多いからと思います。また、日本の読者が関心のあることがど真ん中で語られていなかったりと、「かゆいところに手の届かないもどかしさ」を感じることもあります。

対して、「世界の知性」シリーズは、制作時から「日本の読者が聞きたいこと」を想定し、インタビューをしています。さらに、少しでも分かりづらいと感じた箇所については、訳者のかたたともにその場で深掘りしていき、より詳細な解説をしてもらうように心がけています(もちろん、完璧ではありませんが……)。

いわば日本読者に対して、世界の識者が直接講義をしているイメージです。
これまでも多くの読者のかたにご好評をいただいているのは、こうした「語り下ろしの翻訳書」の特長に因るところが大きいのではと感じています。
私自身、取材や編集を通して学ぶことが非常に多く、いつもわくわくしながら作っているシリーズです。日本からは見えない日本の姿や、海外でのリアルな問題意識、著者の思考の核心などを本として届けることができるからです。

「世界の知性」シリーズは、PHP新書の「シリーズ内シリーズ」として、今後も不定期に刊行していきます。
刊行が近づいたら、noteやツイッター@hisaoiwaで新刊の情報をアップしていきます。まだ情報解禁前なのですが、今後のラインナップもとても面白いですよ…!

ぜひご注目をいただければ嬉しいです!



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