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【大分カイコウCase】農家の新たなビジネスとしての農泊モデル作り <安心院NGTコンソーシアム協議会宮田宗武氏・安部元昭氏×カブクスタイル村田晋太郎氏>


<新たな農泊を作りたい!との想いで大分カイコウ参加>

日本で初めて「農村民泊」(通称:農泊)を行った大分県宇佐市安心院(あじむ)町。
他にも西日本有数のぶどう生産量として有名である。
農泊立ち上げの第一人者の2代目として安心院で育った宮田氏は、安心院NGTコンソーシアム協議会会長として「新たな農泊を作りたい!」との想いを持って東京開催の大分カイコウに農家・農泊仲間の安部元昭氏と共に参加した。
宮田氏・安部氏は大分カイコウのゲスト登壇者であったカブクスタイル村田氏が運営するHafH(ハフ)サービスに目をつけ、農泊との協業の可能性を模索していた。
今回の対談では、安心院NGTコンソーシアム協議会会長宮田宗武氏・安倍元昭氏、NPO法人安心院町グリーンツーリズム研究会安倍翼氏の3名に集まってもらい、オンライン上でカブクスタイル村田氏と協業の可能性についての意見を交わした。

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<安心院発祥 農家さんの家に泊まる農村民泊>

今では日本各地に500箇所もある農泊だが、何を隠そうこの文化・システムが日本に生まれたのは大分県の安心院が初である。
農泊とは農業を営んでいる農家の暮らしをそのまま体験することを目的としている。農泊を提供する農家によって体験内容は異なるが、農家家庭に泊まり、畑で育てた野菜を収穫し一緒に料理をし、食事するという流れが一般的だ。
安心院では25年前から農泊体験をエリア全体で実施してきているが、ここ数年、国(農林水産省)も力を入れ全国で500箇所もの農泊提供者が生まれている。

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<農業だけでなくもう一つのビジネスを>

安心院が農泊を始めたきっかけの一つとして、「農業だけでは生活が厳しくなってきた」という問題があった。そこで農業以外でも収入となる方法を模索し、農業体験イベントをやってみたりと試行錯誤した結果誕生したのが「農泊」であった。
安心院には観光客など外から来た人の受け入れ体制が不足していたため、滞在できる環境作りが重要であっった。
そこで経済的な各種発展効果を見込み、地域として農泊の取り組みを始めることとなった。
活動を始めた当初「新しいことをする怪しげな団体」と地元の人からも警戒されていたが、活動を行っていくうちに価値ある取り組みであるという理解が広がり、今では地域全体で農泊に取り組むまでに成長したという経緯がある。

<一俵のお米を売るより、一杯のお米を売るという発想>

農泊では畑仕事、野菜の収穫、とれたて野菜を使った料理、団欒な食事など、地方の農家が普段日常的に行っているが、都市部に暮らす人からすれば非日常と映る体験を提供している。
農泊を6次産業という観点から見ると、畑で作っている野菜を収穫(第一次産業)してゲストと一緒に家で料理して(第二次産業)、一緒に食べる(第三次産業)というサービスが集約している。
農泊体験を提供することで、農産物を丁寧にお客さんに伝えながら食べてもらうことができるようになる。その結果、この野菜がどれほどの苦労や愛情を受けて育てられているのかなどのストーリーまでを理解してもらえるようになり、それがスーパーで買う野菜にはない付加価値となる。

農泊で一緒の時間を過ごし、一杯食べてもらうことによってそこで作られた食材の良さを知り、お客さんが一俵買ってくれるという流れが生まれることが、今後小さな農家が生き残るために重要であると宮田氏は考えている。
そしてさらに、高齢化が進む農泊提供者への新たな農泊のあり方として、HafHサービスとの協業に一つの答えがあるのではないかと考えるようになる。

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<「住む」と「宿泊」の間のサービス「HafH(ハフ)」>

HafHとは「宿泊」と「住む」の間にある新しいライフスタイルを提案すべく誕生したサービスである。旅をするように好きな地域に自由に移動しながら、これまでの仕事と切り離された旅とは違い、日常的な仕事もしながら暮らしていくことを支援している。
既にHafHサービスの利用者には学生・社会人・高齢者など幅広い層がいるという。HafHではダイバーシティーを推奨しており、国籍・性別・宗教・肌の色・障害の違いに一切の制約を作っておらず、使いたいという人は誰でも利用することができるサービスである。

<農泊とHafHで新たな宿泊形態を>

一つの文化・サービスとして成長してきた農泊にも課題は存在している。その1つが独り身となってしまった農家での農泊についてである。例えば、夫婦で農泊を運営していたが高齢や病気で旦那さんに先立たれてしまったケースである。奥さん(女性)1人で「見ず知らずの初めての人を泊めるのは不安」という課題をがあり、宮田氏としてもその解決策を模索していた。
そこでHafHサービスと協業することで、女性だけに農泊利用を限定したり、掃除・片付けなどを各自で実施してもらえる方だけなどの制限をかけることで、この課題を解決できるかもしれないと考えるに至った。

また、コンテンツの一つとして地元の方が守ってきた文化を、HafHのメインターゲットである20代〜30代の人たちにおもしろいコンテンツとして伝えていくことが出来るのではないかと考えているという。

HafHと安心院の民泊が協業する事によって、世界中のHafH拠点に泊まるだけでなく、農泊の強みである「人との関わり」「田舎ならではの体験」という新しい価値をHafHへ提供し、新しいライフスタイル、農泊のスタイルを作っていくべく両者で協議を行っているところである。(2020年3月現在)

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<今後新たな農泊に期待>

大分カイコウでの出会いを起点に、安心院の農泊とカブクスタイルのHafHサービスの協業の可能性を模索する、という動きが始まった。
この動きが進めば、日本初、いや世界初の農泊×コリビングの動きとなり、新しいライフスタイルの提案となる。
大分カイコウでは引き続き両者の取り組みを応援していく。


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