音のお仕事で大事なこと

声優に教えていたり、レコーディングエンジニアやったりと色々とやっているので、どうしても声の仕事に関する考察なり、経験上の知見だったりする。そこはまぁ問題ないか。演技や声の出し方に関しては他の人に聞いたり訓練したりしてください。

というわけで、令和2年に入ってから特に思うことがこれ。

声の仕事するなら耳と知識は最低限必要!

正直に言うと、まだプロにたどりついていない人やプロとして通用していない人はここから先はただの読み物としてで大丈夫。すでにプロとして仕事していたり所属している人間は真面目に考えながら読んだほうがいい。

音とはなんなのか、声とはどういうものなのか?

これ、役者やナレーターの人たちはあまり気にしていない。だが、誰かがこれを考えて、声を商品というパッケージにして売ってくれている現実は理解しているはず。おじさんの有料テキストの方には書いてあるので、読んでくれた人たちはそこそこ理解しているはずなので蛇足になる。
あなた方の声は売り物になってますか?
売り物として扱いやすいものになってますか?

売り物とはなんだろうか?
宅録のナレーターの人たちは嫌でも直面させられているだろうけど、それは最終的には「ファイル」が売り物なのだ。中身の演技なり声なりが商品の違いで、基本的には音声ファイルを売っている

音声ファイルを売る。そう考えると、購入者側にとっての商品価値を下げるものはなんだろう?と想像つくでしょ?
ノイズ
音量
声以外の余計な音の成分
クリッピングなどのファイルクオリティ

この辺りが混ざっていると困る。ドリンク購入者に「なんか混ざってるけど高く買ってください」なんてのは通じないのと同じなのだ。

ここまでが前提。
だから、聞き分けができる耳を持たないといけないし、ファイルとしてどう言うものが適切なのかという知識が必要でしょ?

演技や声質は味の好みなので好き嫌いはあるし、サンプル聞いてからの依頼なら先に好みと知っていることが多い。つまり、パッケージとして成立させるために必要な味以外の部分はどうですか?

ベテランの役者さんは当然ながらファイルに関して自分がどうのってことはしない。ただ、自分のリップノイズをトークバックから正確に聞き出し、セルフでリテイクかけられるし、信用できるエンジニアと思ったらものすごく素直に意見を聞き入れる。しっかりとしてレコーディングエンジニアがいないと仕事にならないことを知り抜いているからこその敬意なのだ。

事務所所属していても、首になっても同様なのだが、信頼できるレコーディングエンジニアや可愛がってくれる職人の人たちいるだろうか?いれば食えなくても仕事は回ってくる。技術職ってのは例外なく狭い業界内で情報を共有しているので、ナイスな関係の人たちがいれば、紹介が回ってくることがあるからだ。

そう言う馴れ合いができないのであれば、長くは続けられない。所詮仕事は誰かと一緒にやるものなのだから。

話が逸れた。
最終的な納品形態がファイルであり、商品を購入する人にとって「ちゃんとしたパッケージになっているか」ってのが大事。ライバルが多いなら当然超えていなければならないハードルでしょ?
他人に演技語ったりする暇があったら、確認できるだけの耳と知識持ったほうがいい。自分のボイスサンプルがカタログとして素敵なものかどうか、自信持って大丈夫って言えるかどうかが、耳と知識ですよ。だって、音響の世界では適正音量って決まってるのよ?


教える立場なのでできる限りはワークショップなどで教えた内容を説明していこうかなと。地方の人やワークショップに事情があって参加できない人たちへのサポートが今後もやっていければと思っています。