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「大津 走井茶店」−同じ空間で水を汲みたい−『東海道五十三次』

うううう、足がああああ。
浮腫むなああ。

あれは、アカマダラキュウケツツノムシだったのかああああ。
お兄ちゃんは江藤に騙されているんだあああ。

引用元はトリック3の一話と二話でございます。笑
トリックは何度見ても飽きないシリーズなのでアマプラから絶対に無くなって欲しくないです!!

そんな突然のトリック愛を語りたい今日も広重。今回は『東海道五十三次』の「大津 走井茶店」です。

東京富士美術館

◼️ファーストインプレッション

今日昨日一昨日と宿場の中でも人々が多く描かれている印象ですね。
今回は坂の下にある茶屋がメインで描かれ、そこに集う人々や牛たちが癒しを求めてここまで歩いてくるのでしょう。
大きな俵を乗せた台車が三台連なっていて、牛の疲労具合によっては坂の下に玉突き事故を起こしそうですね。
その三台下には「走井」と暖簾に文字が書かれたお店があります。
女性たちが店前に陳列した商品の前にいて、お客さんも女性で笠を持っている。
茶屋ではあるみたいですが、何を売っているのでしょう。

一つ非常に奇妙なのが、店前にある井戸のようなもの。
水が溢れかえっています。
そこで獲れた魚に水を注いでいるのでしょうか、男性が桶の中で何か作業をしています。
子供がそこに走っていく様子が非常に可愛らしく、この近くに人々の生活するエリアがあることを推測させます。

今回は大津の場所と走井の名物、茶屋について見ていきたいと思います。

◼️大津

昨日の草津は今でも有名な温泉街ではありますが、大津は県庁所在地としてよく知られた場所ですね。


地図右上の角あたりに草津駅があり、この近くのエリアが昨日の描かれた場所です。
今回の大津は地図の左の赤ピン群です。
特に「元祖走井餅本家碑」とあるところが今回の茶屋の今の姿かな?

参考書によると、ここというわけではなく月心寺という場所が茶屋の跡地となっているようです。


もう一つ上の地図にぎりぎり入ります。
高速道路のE1の少し上部にあるということですね。

◼️走井

この地名はしっかりと納得できるような由来でした。

滋賀県大津市大谷町、逢坂関の西方に湧く清水。古来名水とされ、明治初期までほとりに茶屋があり、走井餠を売っていた。

日本国語大辞典

走井餅が売られていたそう。
他の辞書を探しても餅については情報がなかったので普通のお餅なのかな?


いや、結構特徴的。
形は長細めで白い海鼠みたいなイメージですね。


走井という場所の地名は先ほど見ましたが、この原文を見つけました。

元文元年の豊島郡誌(今西家文書)は走井という名泉を記し「其地泉ヲ出スヲ以テ名クルニ似タリ」と村名の由来をのべる。

日本歴史地名大系

なので今回の絵で水が湧き出ているあの井筒があることが由来ですね。
この井筒には今でも「走井」という文字が刻まれているらしいです。


走井とは所謂湧泉のことであり、月心寺・走井居の走井といえば有名な井筒が思い浮かぶ方も多いであろう。
しかしながら、この井筒は後に設置されたものであり、走井茶屋の名水に名高い走井は境内の石庭にある。
月心寺のとある場所に、ささやかに水が湧き出す古い井筒が見受けられる。これが本来の走井の元井戸である。

後に設置されたものということで、本当の井戸は明らかにされていませんね。

当時ほどの勢いで水は溢れていないでしょうけれど、そこの水を使っていた江戸時代当時の人と同じ場所にいると思うと、ロマンがありますね。

今日はここまで!
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