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ためし読み『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』まえがきより

*2024年3月発売『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』のためし読みです(著者 大塚玲子)
*無断転用はおやめください

まえがき

 保護者と学校が協力する場といったら、PTAでしょ?
 みんななんとなく、そう思ってきました。保護者も教職員の人たちも、それが当たり前だし、ほかに選択肢はないかのように信じてきました。
 でも改めて考えてみると、いまのPTAで、保護者と学校は、実際に何を協力できているんでしょうか。
 お手伝いと「寄付」? 協力ってそういうこと? いやいや、協力が必要なことって、本当はほかにいくらでもあるのでは。
 そもそも「保護者と学校」には、どんな関係が必要なのか。その必要な関係性を実現するためには、どうすればいいのか。PTAは何をしたらいいのか、あるいはPTA以外に、どんな場があればそれを実現できるのか。
 この本では「保護者と学校」にとって本当に必要なことや、その実現の仕方について、いろんな方にお話を聞きながら、考えていきたいと思っています。

 なんで私がこんなことを考えるようになったのか、と言いますと。
 ライターである私がPTAの取材を始めたのは約10年前、息子が小学生のときです。以来、いち保護者の目線で、PTAや学校周りのことを取材・執筆してきました。
 はじめは「PTAで嫌な思いをする母親がいなくなるように」という一心でしたが、PTAのことを知り考えるにつれ、行き詰まりを感じるように。
 そもそもPTAは何のためにあるのか。
 そもそも「学校と保護者」には何が必要なのか。
 その根っこの部分がわからないまま、ただ「これまでのPTA」を前提に泣く人を減らす努力をしても、意味がないかもしれない。そんな思いがふくらんでいました。
 「何かヒントになる本はないかな」と思い、都内の大きな本屋さんに足を運んでみたのですが、でも見事にありませんでした。教育書の棚をいくら見ても、保護者と学校の関係を根本から考えるような本は見当たりません。
 本屋さんの品揃えが悪いわけではなく、そもそも「そういう本」がないようなのです。
 「保護者」というワードを含む本は、すべて「学校に過剰・理不尽な要求をする保護者」(モンスターペアレントと呼ばれることもある)の対策本でした。もちろん学校がそういった保護者への対応に苦慮しているのは、なんとかしないといけないとは思うのですが……。
 でもさ、「保護者と学校」の関係って、そういうことだけじゃないでしょ? 
 悔しいやら、がっかりするやら。保護者が見下げられているようで、なんだか腹も立ちました。
 もしかすると、PTAがあるからこうなっている、という面もあるのでしょうか。
 冒頭に書いたように、われわれはこれまで長い間「保護者と学校の関係といえばPTAでしょ」と思いこんできました。保護者も学校の先生も「PTAさえあれば、それでよし」というふうに思考停止してきたから、両者の関係をまともに考える本がないのかもしれません。

 一度、全部まっさらにして、ゼロから考えてみたいのです。
 PTAをどうするかということはいったん脇において、「保護者と学校」に何が必要なのか。学校を取り巻くいろんな人にお話を聞いて、イメージし直してみたい。
 そんな思いから出発したのが本書であり、この本の元になった月刊誌『教職研修』での連載「保護者と学校の『これから』を探す旅」です。
 なお、この旅(連載)を同伴してくれた同誌編集長の岡本さんには以下ときどき登場してもらいますので、お見知りおきを。
 この本を手に取ってくださった方は、おそらく私と同じような関心をお持ちの方でしょう。何が見えてくるかわかりませんが、よろしければぜひごいっしょに、この旅におつき合いいただければ幸いです。

PTA問題のおさらい

 さて、旅を始める前に、PTAの基本を簡単におさらいしておきましょう。
 よく言われるように、日本のPTAは、戦後にGHQの指示のもと、文部省が全国の学校につくらせたのが始まりです。このときGHQや文部省には、米国にあるようなPTAを日本の学校にも組織することで、大人たちにも民主主義を学ばせようという意図があったと言われています。その狙いは、決して悪いものではなかったと思うのですが。・・・


<続きはぜひ『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校が何をしたらいいか考えた』でお読みください!>

大塚玲子ホームページ


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