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おやき、まさかの遅刻の理由

元相方おやきは、とにかく時間を厳守するタイプだった。
何をするにも15分前行動。
大学まで柔道をやってきた体育会系の習慣のようだった。

そんなおやきが、あるとき集団コントのネタ合わせに来ない日があった。
遅刻することなど一度もなかったため、みんなは事故にでもあったのではないかと不安になっていた。
すると、集合場所の品川の公園に、一台の古い原付バイクが到着した。 

おやきだ。 

40分ほど遅れて、ようやくやってきた。

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どうやら、パチスロでボーナスが続いてしまい、やめるにやめられず、とりあえず食事休憩という形で中抜けしてきたらしい。
(パチンコ店では、店員さんに伝えて数十分外出できる食事休憩という制度がある)

今だったら、
「ネタ合わせの前になんでスロットなんて打つの?もうさっさと流して早く来てよ」
と言いたくなるところだが、当時の私はパチンコとパチスロの違いもわからない20代前半女子だったため、

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と、なんとも優しすぎる対応をした。
この時の私は食事休憩なるものの存在を知らなかったため、こうしている今も、パチンコ玉が台から溢れ出ていると思っていたのである。
(その後、私はパチスロで生計を立てたり京楽さんのサイトでパチンココラムを書いたりするようになるのだが、それはまた別のお話。)

とりあえず、おやきは一旦パチンコ店に戻り、おやき以外のメンバーで集団コントのネタ合わせを始めることになった。
集団コントの授業というのは、毎回テーマが出され、そのテーマに関するコントを6、7人のメンバーで作って発表するものなのだが、なかなか意見が出なかったり割れたりしてネタ作りが長引くこともあれば、なんだかサクっとまとまってしまうこともある。その時は、比較的スムーズな流れでネタができていき、あとはおやきが戻ったら合わせてみて調整しようというところまで出来てきていた。

すると、ようやくおやきが戻ってきた。



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パチンコをやらない方からするとピンとこないかもしれないが、「飲まれる」とは、大当たりで獲得した出玉が、結局はその後のプレイによってなくなってしまうということである。

今の私が聞いたら、
「だからさっきの段階で流せって言ったじゃん」
と一蹴してしまうところだが、当時の私はとにかくギャンブルの知識も無く、優しさだけを兼ね備えた20代前半女子だったため、

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としか思わなかった。

その後、おやきの出演部分を練習してネタ合わせを終了し、帰ろうと思っていた。しかしここで、まさかの一言が飛び出した。


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えっ……!

という空気がその場に流れた。

おやきがパチンコを打っている間にみんなで考えたネタを、一瞬で反故にすることができる、それがおやきなのである。

集団コントのメンバーに血気盛んな者がいれば一触即発になりかねないものだが、

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おやきのテンションがこんな感じなので、みんな呆気に取られて合わせるしかなかったのだった。

とてもパチスロでみんなを待たせた人のテンションではないし、パチスロで2000枚飲まれた直後の人のテンションでもない。

しかし、これがおやきなのだ。


次回、まだまだ距離の遠い私たちがなぜかタカダ・コーポレーションを結成することになります。

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