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ツインズ


ぼくたちは双子で生まれた。
母親の胎内にいるときからずっと離れることなく育ったぼくたちは、何をするにも一緒だった。ご飯のときもお風呂のときも、うんちが出るタイミングだって同じで、お母さんはぼくたちが赤ちゃんだった頃を思い出すと苦笑いをしながら、「可愛かったけど大変だったことの記憶のほうが多くてあんまり覚えてないかな」、と言う。でも、困ったように笑ってそう言ったあとは必ず優しく頭を撫でてくれるから、それでいいんだ。隣を見るとぼくと似ているけれどちょっと違う顔をした妹と目が合って、ふふっ、と笑うからなんだか胸がくすぐったい気持ちになった。

でも、そんな幸せも長続きしなかった。

ある日の夜、お父さんとお母さんにリビングへ呼び出された。座って、と言われて椅子に座る。子どもにでも分かる重苦しい空気に、今からとてつもなく嫌なことが起きるんだ、と怖くなった。
短い息を吐いて、「お母さんたち、お別れすることにしたの」、とお母さんが静かに告げた。お父さんは泣くのを堪えながら、ごめんな、と謝っていた。
「悠一はお父さん、琴葉はお母さんと一緒に暮らすことになった」
お父さんにそう言われてからの記憶はほとんど無い。気が付けば朝になっていて、昨日のことは夢だったんじゃないかって思う。でも、おはよう、といつもより元気の無い声の琴葉の目は腫れていた。
あぁ、夢じゃなかったんだ......。
どれぐらい前だったか、お父さんと約束した。悠一は男の子だから、琴葉を守るんだぞ、と。それなのに、ぼくたちが離れ離れになったら約束を守れないじゃないか。

お母さんと琴葉と離れて一年が経った。
あれから、ぼくたちの誕生日に会ったきりで半年は会えていない。正直、寂しい。お父さんは仕事が忙しくて、ぼくはいつも家で一人ぼっちだ。慣れた手でレトルトカレーを用意して、テレビを観ながら食べる。そして、ふと思った。

「お母さんと琴葉に会いに行こう」



【つづく】

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柚木いちと

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4人の子供達と旦那との日常、エッセイ、創作小説などを書いています。機能不全家族育ち。長男の発達についても。書くことと読むことが大好きなライター✍ご連絡は✉️akairosan132@gmail.com かTwitterのDMまでお願いします。誰かの心に残るお仕事がしたいです。