廃材
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廃材

ねむ花

人生に疲れた私は、スマホ依存症になった。
目的地も決めず、平地を彷徨い続けた。
時間を忘れ、常識を忘れ、痛みを忘れ、欲望を忘れ、感覚を忘れた。
寂しいとか虚しいとか過ぎ去った時、ただ生きている状態が残っていた。
誰かのせいでとか何かのせいでとかそんな事も考えなくなって、他の声もどうでもよくなって、そう言えば私は誰に何を言われた訳でもなくてただ生まれてきたんだと思った。

そうか、価値の有無で生きてきたから間違ってしまったんだ。よく分からないが、人間として生きるのは最早無理だ。人は機械のようにならなくては、そうでなくては許されない。制御不能になった脱落者の私は、死ぬ事もなく、ただ肺呼吸して飯食って排泄して、喜びのない脈絡のない生を歩まねばならない。

動く予定のない機械。廃材。
そんな今日の朝の気分だった。

自分の事を廃した機械だと言う為には、機械のように人間よりも優れた対象が必要だ。
人間の自己否定から始まってしまった産業廃棄物。いつになったら終わるのか。その戦いは。いつまでもどこまでも、自分は特別で在りたいか。特別を廃された人間を見ていると、苦しい気持ちになる。私がネガティブな事を私のせいにするなよ。君らの負の遺産を肌で感じてしまう。
私にはそちら側へいけない。まだ、弱い。今出てしまえば、きっと君らの憎悪に焼き尽くされてしまうだろう。そんな私も呪いをかける。廃材になり捨てられた。

この呪いを受ける相手は間違いなく私である。
私はかつて特別に憧れた。その代償が自分は廃材であるという事実だ。

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ねむ花
こんにちは。