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組織変革には整合性を意識せよ!ーー「コングルエンスモデル」とは

組織変革を成功に導く鍵の一つに、組織内の様々な要素が互いに整合している状態、すなわち「コングルエンス」が必要です。

このとき、しばしば指針とされるのが「コングルエンスモデル」です。どういったモデルなのでしょうか?



コングルエンスモデルでは、組織をシステムとして捉える


組織変革を成功させるためには、組織内外の整合性を保つことが重要です。このとき有効なフレームワークが「コングルエンスモデル」です。

このモデルは、1970年代に経営思想家のマイケル・L・タッシュマンと組織変革の研究者デービッド・A・ナドラーによって提唱されました*1 2。

コングルエンスモデルでは、組織を"システム"として捉えます。そして、その"システム"は、様々な要素をインプットされることで機能し、業績(組織や個人など)という形でアウトプットするものと考えます。

さて、このモデルにおいて重要なのが、その"システム"の構成要素です。次の4つが提示されています*1 2。

  1. 人材: 個々のメンバーのスキル、知識、経験など

  2. 業務: 組織として取り組むべき仕事や活動など

  3. 公式組織: 組織構造、制度やルール、評価システムなど

  4. 非公式組織: 組織内の文化や価値観、非公式なコミュニケーションなど

表現の仕方として、業務を「KSF(成功の鍵)」、非公式組織を「カルチャー」とすることもありますが、本質は変わりません。大事なのは、これらの要素が互いに整合性を保ちながら機能することで、組織は効果的に変革を遂げることができるということです。


ケース「藤森デパートの組織変革(架空ケース)」


では、具体的にコングルエンスモデルを使った変革を考えてみましょう。

架空のケースですが、例えば、以下のケースだと皆さんならどう変革を進めるでしょうか?

ケース概要
A市にある独立系百貨店『藤森デパート』は、創業50年を迎えた老舗。昨今のデジタル化けの波や郊外型ショッピングモールの隆盛の影響を受け、売り上げが低迷していました。

創業以来、地元密着で事業を展開し、丁寧な接客サービスを武器にしており、地元の人々にとっては馴染み深い存在でしたが、時代の変化に対応できていないという課題を抱えていました。

そこで戦略の方向性として「オムニチャネル化」に取り組むことになりました。さて、どのように組織変革を行うと良さそうでしょうか?

オムニチャネル化とは、実店舗とネット通販など、様々なチャネルを連携させ、顧客がどのチャネルを利用してもシームレスな買い物体験を提供できるようにする戦略です。こうした戦略を実現するためには、4つの構成要素のうち、どこをどのように変革する必要があると思いますか?

あくまで一例ですが、例えば次のような取り組みが考えられそうです。

(人材)
・ネット通販分野に精通した人材の採用:
自社通販サイトの運営やデジタルマーケティングの強化
既存従業員のスキルアップ:ネット通販に関する研修や、接客スキル向上の研修の実施

(業務)
・ネット通販事業の強化:自社通販サイトの開設と大手通販モールへの出店
・顧客満足度の向上:ネット通販で購入した商品の店頭受け取りや、店頭在庫のネット通販での販売を開始

(公式組織)
・オムニチャネル推進のための部署の新設:ネット通販と実店舗の連携を強化するための中心部署
・各部署間の連携強化:顧客情報をはじめ、商品情報や在庫情報を共有化

(非公式組織)
・顧客中心主義の文化の徹底:ネット通販のスタッフと実店舗のスタッフを互いに交流できる場の創出

これ以外にもさまざまな論点がありますが、大事なのはこの4つの要素が整合していることです。

コングルエンスモデルは、組織変革を成功させるための有効なフレームワークです。組織が目指す方向に合わせて、各要素を整合させることで、より効果的な変革を実現することができます。


(参考情報)

*1 CULTIBASE「組織に悩む3つのケースから、組織変革の勘所を解説。「コングルエンスモデル(整合性モデル)」で組織は変われるか?」https://www.cultibase.jp/articles/congruence-org-change(2024年8月2日)

*2 CBASE「コングルエンスモデルとは?両利きの経営との相関性」https://www.cbase.co.jp/column/article466/(2024年8月2日)


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