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北極冒険家が考える「人はなぜ冒険するのか?」

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2020年3月の記事一覧

説明可能性と、捉える実感

説明可能性と、捉える実感

昨年出版した拙書「考える脚」が、第9回 梅棹忠夫 山と探検文学賞に選ばれて受賞することが決まった。授賞式は6月の予定。

読んでない方は、是非読んでくださいねー!北極点無補給単独徒歩、カナダ〜グリーンランド単独行、南極点無補給単独徒歩、3つの遠征を収録しています。

今日、その受賞の絡みで雑誌の取材があった。これまでもたくさんインタビューは受けてきたが、人から質問を受けるというのは、普段自分の頭で

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判断の下し方。希望的観測について

判断の下し方。希望的観測について

近年、自然災害が発生した時などに「正常性バイアス」という言葉をよく聞く。

これは客観的な情報を見ずに、事態を過小評価したり都合の悪い情報を無視して「自分だけは大丈夫だろう」という無根拠な偏見を拠り所にしてしまう心理作用のことだ。

これと似た言葉として「希望的観測」がある。自分にとって都合の良い、期待感を込めた結果を想定して、その結果になるのではないかという無根拠を妄信して判断を下してしまう行動

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日本人の本質は「個」か「集団」か

日本人の本質は「個」か「集団」か

最近考えていることを、まだ深い考察をする前に思いついたままに書いているので、まとまっていないことはご勘弁を。noteは考えを整理するために書いているので、という言い訳を添えておく。

日本人の個人性日本人の本質は「個」であるか「集団」であるか。

日本人は集団意識が高いし、同調圧力も強いし、個の意識は欧米に比べて低いでしょ、と思われがちだが、果たしてそうだろうか。近年の、表面的に顕在化する現象だけ

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非常時と身体性の回復

非常時と身体性の回復

震災の記憶9年前の今日、私はカナダの北極圏にいた。友人と二人で、1600kmにわたる北極の徒歩冒険行を控え、現地の村でトレーニングをしている最中だった。

数日の海氷上での訓練を終え、村に戻った我々はネット経由で一つのニュースを見た。それは「宮城県沖で地震」という速報だった。

宮城県沖の地震なんてしょっちゅう起きるものなので、最初はあまり意識をしていなかった。しかし、直後から飛び込んでくる続報の

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