重税大国 ニッポン

 新型コロナウイルス による災禍は、日本全体に行き渡り、対策の遅れから不満の声が高まっています。

 2019年10月から、政府は消費税率を10パーセントへと引き上げました。これらは社会保障に充てられるという大義名分がありますが、コロナウイルス禍で全国民に給付金を一律10万円を支給する生活補償を決めました。

 これら生活補償のための給付金は、社会保障といえるものです。社会保障を手厚くする名目で消費税率を引き上げたわけですから、ココで使わずしていつ使うのか?という疑心が生じるのは自然な話です。

 消費税率を引き上げるにあたって、庶民の生活は厳しさを増しました。社会保障を厚くするために、生活が困窮してしまえば消費税率の引き上げは本末転倒でしかありません。

 消費税率10パーセントへと引き上げて間もなく、経済団体の経済同友会は10パーセントでは物足りないとし、消費税率を17パーセントまで引き上げることを提言しています。

 また17パーセントでは足りないとする意見もあり、20パーセントへ引き上げるべきとの意見も財界を中心に挙がっています。

 税率を引き上げても税収が増えるとは限りません。そもそも好景気になり、庶民の財布の緩めば自然に消費は上向きます。モノが売れれば、自然と消費税による税収は増えます。逆に景気が減退すれば、消費は落ち込み、比例して消費税収は減ります。

 消費税ばかりに目がいきがちですが、安倍政権下では、さまざまな新税が制定され、また消費税以外の税目でも課税強化、増税されています。

 そうし重税へとをひた走る一方、法人税の実効税率は下がっています。そうした税の不均等も納税者の不満を高めている一因ですが、法人税の実効税率を下げるという政策は票田でもある業界団体への便宜供与とも受け取れるものです。

 しかし、政治家はまず票を得なければ当選できません。自分たちに票を入れてくれる、そして政治資金を便宜してくれる企業・団体に目をかけるのは当然の話なのです。

 いわば、法人税の実効税率を下げて消費税率などを上げる政策は、私たち有権者が政治に無関心を貫いたからこそ、起きた現象ともいえます。

 下記の原稿は、過去に私が『BX』(メディアックス)という雑誌に2007年に寄稿した原稿です。メディアックスという出版社はすでになく、『BX』の刊行を引き継いだマイウェイ出版も、その後に刊行を取りやめました。

 国会図書館などに足を運べば当該号を読むことも可能ですが、今般のコロナウイルス禍で補償を渋る政府の対応を見て、記事を再掲します。

 (※再掲にあたって、改行やタイポなど内容を一部修正した部分があります。しかし、基本的に掲載時と同じ文章です。そのため、現在と状況がそぐわない部分もあります)

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 1時間で約66億円も増え続けていると試算されている日本国の借金。今年6月の財務省の発表によると、3月末時点で国の借金は834兆円を超えたという。

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