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【目印を見つけるノート】177. タロットの『節制』で現在を思う

きのうの渋谷の写真、それなりに厳選しましたがいかがでしたでしょう。

この時期の東京には、距離を取りながらでも撮っておく価値があるように思いました。自分がどのような時期にいるのかなという目で。

▲下北沢の写真。撮っていたらピーコックの警備員さんがいぶかしそうに見ていたなあ。

好きな写真家はブレッソンとブラッサイとユージン・スミスとウィリアム・クラインとロバート・フランクとサルガドと……止まりませんが、もっとたくさんいます。

たとえば、
ユージン・スミスの排水口のアップ写真。
海に注がれる有機水銀の混ざった水。
人が一人も写っていないのに、
物事をあの1枚ですべて表していました。
写真の持つ、そのようなパワーに圧倒されます。

⚫「節制」というカードで

さて、タロットカードを持っているので、たまにめくりますが、けさ「今はどんな時期なのかな」と思って1枚めくってみました。

『節制』でした。

バランスや調整、中庸、意志疎通を表すカードだと言われています。それだけですと?ですので、もう少し潜ってみましょう。

タロットカードの大アルカナで天使の描かれているカードは3枚あります。『Golden Tarot Of Renaissance』で見てみましょう。左から『恋人』と『節制』と『審判』です。これは15世紀イタリアのタロットを参考にしたものですが、あれ?『節制』の女性には翼がありません。

もともとは、天使ではなかったのです。

このカードはワインと水のかめを持っている女性だといわれています。ワインを薄めるのですね。薄めた方が健康にいいと考えられたのかもしれませんし、薄めた方がたくさん売れるでしょう。

そのような阿漕なことではなくて、ひとりでも多くの人に分けるために薄めるのかもしれません。

13世紀以降の、イタリアの装飾・彫刻モチーフに『7つの善徳』と『7つの悪徳』というのがあります。
・善徳→賢明、剛毅、節制、正義、信仰、慈愛、希望
・悪徳→絶望、羨望、不信心、不正、憤怒、移り気、愚鈍

映画やアニメのモチーフにも使われているのではないでしょうか。少し異なるものもあるように思いますが。

パドヴァにあるスクロヴェーニ礼拝堂の後ろ面にそれを表したフレスコ画があります(1305年)。 

『ヴィスコンティ家のタロット』(香月ひかる著 幻冬舎)より

この『節制』は剣を布でくるんだ女性の姿でまた少し異なるのですが、こちらは「戦いの放棄」、すなわち「平和」を表すものだと考えられます。十字軍の後期でもありましたので、剣の放棄というのは現実的だったことでしょう。

その理念がタロットにも生かされているのだとすれば、こちらも「平和」がベースにあると考えられます。戦いで人から取ってきたもので栄えるのではなく、あるものを分かち合って平和に暮らしましょうということ。
加えて、写真を引かせていただいた本によれば、ワインは薄めすぎると美味しくないので、ちょうどよい加減がいい=「中庸」というもあるようです。

そのうちにタロットの『節制』の方は大天使が描かれるようになります。17世紀のマルセイユ版には翼が見られますので、200年ほどの間に変わったのだと思われます。平和を象徴する存在としてなのでしょうか。

今はどうなのだろう、と考えたとき、これはなかなか深いテーマだなと思います。

しばしば「分断」という言葉が聞かれて、分かち合うというよりは、最小限の単位にさらに線を引くような考えに陥りがちではないでしょうか。物理的な距離を取ること、移動を制限することなどは確かに線を引くような事象ではあります。それでも、ふたつのかめのワインと水のように、混ぜあい、交わしあい、行き来をするものがあるのではないでしょうか。

それが人の心とか、愛ならば、この「分断」は「分かち合い」になるように思います。

翼のない人から翼のある天使に変わる2~300年は、人々がかつてないほど「移動」した時期と重なっています。
14世紀からのペストの災禍を乗り越えて、人が挑戦した積み重ねです。

これが私の「節制」の解釈です。
たまたま出たカードで書きすぎたかな。

参考図書 『ヴィスコンティ家のタロット』(香月ひかる著 幻冬舎)

⚫お籠りクラフトとばら

金の透かしパーツに真円に近い淡水真珠、アクアマリンを合わせてみました。大振りで派手かなと思いましたが、肌馴染みがよいので思ったより上品に映えます。

アクアマリンは想像以上にいい感じです❤️

さて、好きな石にラブラドライトというのがあります。でも、私には使うのが難しい石だとずっと思ってきました。最近は少し、使い方を研究しています。

光が、オーロラのようなのです。
ここで『情炎』(THE GROOVERS)を流したいのですけれど、私の頭の中で流しましょう。

♪最果ての夜空には オーロラがまるで
 辿り着いた者への 褒美のように舞い降り
(紹介のための引用)

ばらは来月かな。

それではまた、ごひいきに。

おがたさわ
(尾方佐羽)

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