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「キャリアアップのための仮説思考」を考えるミートアップ

マーケティングリサーチなどのインサイト産業の2021年版国際業界統計(Global Market Research)によると、日本の市場規模は世界7位(18億$)です。1位はアメリカ(194億$)で2位はイギリス(66億$)です。2021年のGDPは1位はアメリカ(22.6兆$)で3位は日本(5.3兆$)5位はイギリス(3.1兆$)なので、日本は相対的にリサーチにお金をかけていないことがわかります。

参考文献:「ESOMAR 国際業界統計(GMR)2021を公表」https://www.jmra-net.or.jp/activities/trend/ranking/20211014.htm

日本のリサーチ費用が少ないことに対して、マーケティングのやり方についてなんらか課題がある気もしています。

私の専門分野は消費者リサーチとマーケティングサイエンスです。統計や因果推論、確率モデルなどを用いて確かな根拠を元にマーケティング戦略を導く方法を企業に共有する支援を行っています。2019年末から開始された宣伝会議のマーケティング分析講義を機に、マーケター向けのデータ分析講師の取り組みを本格化し、2020年4月までの2年間で企業向け800人、個人向け700人、のべ1,500人にマーケティング分析講義を行いました。マーケティング専門職の方だけでなく、多くの方に技術を共有することを模索しています。

今回紹介するのは、マーケティング専門職の方に限らず、多くのビジネスマンの方に役立つ仮説思考についてです。

「キャリアアップのための仮説思考」ミートアップ

5月19日の20時から、セルフリサーチのFreeasyリサーチアカデミーの番外編として仮説思考をテーマにしたイベントに参加します。

同アカデミーは市場調査のスペシャリストであるリサーチャーの菅原大介氏を講師に迎え、リサーチに関するノウハウを啓蒙するための『ブログの発信+オンラインセミナー』を、半年を通じ定期的に開催される予定です。

5月19日の番外編のミートアップのスピーカーは3名です。

同アカデミーの菅原大介さん

リサーチャー。上智大学文学部新聞学科卒業。新卒で出版社の株式会社学研を経て、株式会社マクロミルで月次500問以上を運用する定量調査業務に従事。現在は国内通信最大手のグループ企業でマーケティング戦略・中期経営計画・UXデザインを担当する。会社では小売・サービスの分野における市場調査・ユーザーリサーチ・プロダクトリサーチを担当し、自身もマーケティング・広報・店舗開発の実務経験を有する。また、スタートアップから大企業まで各規模のIT企業でリサーチ組織の立ち上げ経験を持つ。個人でも「リサーチハック」をキーワードに、リサーチの魅力や技能を普及させる著述・講演活動に取り組み、業界・職種・施策・課題ごとの調査設計やデータ分析のノウハウが、マーケティング・調査メディアでの寄稿やセミナー・研修会で好評を得ている。主な著書に『売れるしくみをつくる マーケットリサーチ大全』『新・箇条書き思考』(ともに、明日香出版社)がある。
Twitter:@diisuket
note:https://note.com/diisuket
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCF3YJLv0X_Lf3A0rdjNoR-A

マーケターの松本健太郎さん

1984年生まれ。龍谷大学法学部卒業後、データサイエンスの重要性を痛感し、多摩大学大学院で統計学・データサイエンスを〝学び直し〟。デジタルマーケティングや消費者インサイトの分析業務を中心に、さまざまなデータ分析を担当するほか、日経ビジネスオンライン、ITmedia、週刊東洋経済など各種媒体にAI・データサイエンス・マーケティングに関する記事を執筆、テレビ番組の出演も多数。SNSを通じた情報発信には定評があり、noteで活躍しているオピニオンリーダーの知見をシェアする「日経COMEMO」メンバーとしても活躍中。 著書に『誤解だらけの人工知能』『なぜ「つい買ってしまう」のか』(光文社新書) 『データサイエンス「超」入門』(毎日新聞出版)『グラフをつくる前に読む本』(技術評論社)など多数。
Twitter:@matsuken0716
https://note.com/jyaga0716/

と私(参考:株式会社秤 代表略歴ページ)

と、ナビゲート役としてご参加いただく、主催のセルフリサーチFreeasy運営会社アイブリッジ社の榎本さんの計4名で開催します。

仮説が大事とよく言われますが

多くの組織で根源的な課題は共通していると思います。たとえば売上や利益を増やしたい、そのために顧客を増やしたい、競合優位性を強化したいなどです。

組織やプロジェクトが大きくなるほど課題の大中小が様々あり、それぞれが複雑に絡み合っていると思います。そうした複雑な関係性の中にも、組織やプロジェクトの意思決定者の裁量の大中小に対応する課題のツリー構造が必ずあると思います。

たとえば社長の戦術は事業部長の戦略で、事業部長の戦術は部長の戦略になっており、部長の戦術は課長の戦略となっていて、それぞれの課題があり、ツリー構造になっているイメージです。

仮に不親切な上司が、右もわからない新卒の方に何の課題を解決するためのものか伝わらない指示で依頼した単純作業も、組織が解決しようとしている課題につながっているはずです。

このnoteをお読みいただいているみなさんは、ご自身の日々の仕事や、その先にあるご自身のキャリアまたは組織の成長を考えて、課題の仮説や選別や選択を日々行い、ご自身のリソースの最適化を意識なさっているかと思います。


大事なのは仮説思考の磨き方

ミートアップでは、そんな皆さん一人ひとりのキャリアアップに役立つ仮説思考の養い方をテーマにしたいと思います。

私が考えるビジネスにおいて必要な仮説思考とは、

目の前にある事象に対応する表層的な課題の背景にある課題の構造を捉えた上で、経験と知識の引き出しから「こうすればいいんじゃないか?」「こうなっているんじゃないか?」を考えること

だと考えています。

仮説作りにはセンスが求められますが、そのセンスを構成する要素はこの3つだと思います。

  1. 知識量

  2. (課題の構造を)想像する力

  3. コミュニケーション能力

1と2は連動します。いくら学んで知識が大量にあっても、目の前で向き合った事象や情報から、複雑に絡み合いつつ、ツリー構造になっている課題を想像できなければ、知識は宝の持ち腐れになります。

3のコミュニケーション力は色々な要素があると思います。例えば、ものすごくプレゼン資料がキレイに作れる技術も3の力です。現ファミリーマートCMO他、大先輩マーケターの足立光さんみたいに激しいお酒のコミュニケーションで腹を割って関係を作るのも3の力です。

上記の参考記事は、過去のもので氏がマクドナルドCMOだった時のインタビューですが「激しい飲み会」に関しての記載があります。

接待で使うと喜ばれるお店をよく知っている、こんなことも3の力です。

ただし、資料作りがうまくても中身がよくなければ、プレゼンは刺さりませんし、お酒の場なども活用して距離感を詰めるシーンをうまく演出できるスキルがあっても、そもそも「この人はできる」と何かの点でそう思われていなければ、ただの宴会部長になってしまいます。(お酒の失敗も多い私の自戒を込めて書いてます汗)

資料作りにおいて重要なのは中身ですが、中身のなかでも、今やるべきことはこれで、それを論理だてて説明する構成やストーリーが特に重要です。宴会部長にならないためには、この人は(頭が)キレるなと思っていただく必要もあると思います。

それらを下支えするスキルが2の「(課題の構造を)想像する力」だと思います。

私は培った知識とスキルを活かしてコンサルティング業務を行なっていますが、未だに2の「(課題の構造を)想像する力」がうまく行かない、自信を持てない、迷うケースは多々あるため、壁打ちをお願いする方が何人かいます。今回、ご一緒する松本さん菅原さんにも個別に業務としてお願いしたことがあります。他にも数名いらっしゃいますが、全員卓越した技術や経験をもつリサーチャー、またはリサーチスキルがある方ばかりです。

リサーチスキルがある方を意図して選んでいるわけでなく、「(課題の構造を)想像する力」がすごいみなさんに相談していたら、卓越したリサーチスキルがある方ばかりになっていた状況です。

だから、本ウェビナーがテーマにする「キャリアアップのための仮説思考」でフォーカスするのは、
2の「(課題の構造を)想像する力」です。

それを養うためにスピーカー3人がそれぞれ行ってきたトレーニング法などを共有しながら、参加者の方の疑問や質問をなるべくお聞きして議論するミートアップにしたいと思っています。

仮説思考&リサーチスキルを(狭義での)「マーケター」に閉じないミートアップ

私は、マーケティング業務に関わって16年以上たちましたが、今も昔もそれ自体が好きで楽しいので、勉強が苦でないタイプです。いわゆるマーケティングバカだと思います。ここでのマーケティングバカはポジティブなワードとして使っています。松本さんも菅原さんもマーケティングバカだと思います。マーケティングの業務自体も楽しいのですが、マーケティングバカの皆さんとの関わりが楽しいという原動力あってこその仕事だと思います。

今は違うのですが、過去に悪い方向でのマーケティングバカになっていたことも自覚しています。自身のマーケティング知識や経験の向上に伴い、セミナーや動画などで、マーケティングとは?などを語る他者の論考を見聞きした際に、「そんなのマーケティングじゃない」と思ったり、マーケティング論やマーケター論を必要以上に考えたり議論したりすることが以前はありました。

ある程度経験を積んで、自分の型が明確になってから考え方が変わりました。

自分が経験し習得してきたマーケティングのスキルを本質的に活かすのは誰のため?と考えると、それは、専門職または自覚をもっている狭義での「マーケター」ではなく、企業でマーケティングと名のつく役職や部署に所属していなくても、マーケティングの仕事をしている意識がなくても実際にマーケティングをしている方達だと思うようになりました。マーケターという自覚がなくても新しいビジネスを生んだり動かして、マーケティングをしている方(無自覚も含めた広義でのマーケター)のが沢山いらっしゃると思います。過去Freeasyで16,000人のビジネスマンに調査した推計で328万人です。

調査結果(参考)「328万人のマーケターの皆さまへ!「顧客理解サイクルの作り方」」note https://note.com/ogataka/n/n121abfb792d1

そうした方の生産性の総量をさらに増やすことに自分の経験やスキルを活かすことのほうが有意義だと思える様になりました。

だから、本ミートアップは、ビジネスを動かす全ての人が対象です。

とはいえ、このテーマで4人集まって話をしたら、仮説を考えることだけでなく、仮説を検証する方法の重要性の話題にもなると思います。連動してそのために必要なリサーチ技術の話題にもなるかと思います。われわれが持っているノウハウや経験、視点は専門職として潤沢な予算でマーケティングを専門的に行う方に限らず、多くの方に役立つものがあると思っています。

仮説思考やそのためのトレーニング思考法など、マーケターに閉じず、多くの方に役立つ議論を参加者の皆さんと行うことができるウェビナーを目指します。ご興味頂ける方は、是非お気軽にご参加ください。

当日はスピーカー3人それぞれが「(課題の構造を)想像する力。」を養うために行っていること、行ってきたこと(トレーニング法など)を共有するショートプレゼン(各10分程度)を行い、それをきっかけに参加者の皆さんの質問をつのって議論させていただく60分とさせて頂く予定です。また、あらかじめ延長30分も確保していますので、皆さんの質問次第では90分のイベントになるかもしれません!

平日の夜20時、お仕事の合間の休憩がてらに、晩酌がてらに、自由な形でお気軽にご参加くださいませ。願わくば、ご意見、ご質問など頂き、皆さんとともにより良い時間にできればと思っております。

【イベントお申込みページ】

【関連情報】

Freeasyを使った10問の調査によって、因果推論の分析「傾向スコア」と確率モデル「NBDモデル」の分析を併用することで競合のTVCMによっていくら売上が増えるのか?推定することができる「顧客理解MMM(マーケティング・ミックス・モデリング」の分析を学ぶことがビデオ講義をYouTubeで公開しています。

ポイントをまとめたnoteは以下となります。

マーケティングの戦略意思決定をデータドリブンに行う手法にご興味頂ける方はぜひご覧いただけますと幸いです。

追加情報(2023年12月18日更新)

クッキー規制で目減りする効果計測の課題を解決法をnoteにしました。無料で使えるMETA社の高機能なMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)ツール「Robyn」を徹底解説する2時間強のYouTube講義を公開しました。