データドリブン・マーケターが無料で教えるツイッターPRのスゴ技
PR会社でデジタルマーケティング支援をしている小川と申します。普段は自分のこと「データドリブン・マーケター」とか、口が裂けても言いませんが、スゴ技を紹介するので、多くの方に見て頂きたいので、noteのタイトルをキャッチーにするために、ここでは恥ずかし気もなく名乗ってみました。
のちほど紹介しますが、昨年「Excelでできるデータドリブン・マーケティング」という書籍も出しました。（本noteでは弊社の問い合わせ獲得や拙書の宣伝も目的にしている旨、ご承知おきください）アイキャッチ画像がなぜ、ラーメン二郎なのか？これにも理由があります。本文を読んで頂ければおわかり頂けます。
今年のゴールデンウィークに「アベンジャーズ」の最新作「エンドゲーム」が公開されました。皆さんはご覧になりましたか？私は2018年の前作「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー 」を見て面白かったので、見るつもりでしたが、GWにタイミングが合わず、今に至り映画上映を見逃しました汗
映画とは関係ありませんが、今は日テレのドラマ「あなたの番です」に熱中してます。※2019年7月1日の執筆時点（前日に反撃編の1話放映）
これから紹介するスゴ技を使えば、2018年に「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー 」についてのツイートをした方（≒アベンジャーズのファンと思われる方）のうち、フォロワー数が多い方にのみ今年のGW公開の「エンドゲーム」のプロモツイート（ツイッター広告）を配信することが可能になります。フォロワーが多い方のほうが、リツイートしてくれやすいので、この方法を使うとバズりやすくなります。
また、今、私がハマっているあなたの番ですもTVドラマのオンエア時期に「あなたの番です」を含むツイートをしたユーザーだけを狙って、DVDやブルーレイの発売時期にプロモツイートを配信することもできます。
「アベンジャーズ」の様に大量のツイートが見込まれるテーマの場合は、プロ仕様の有料ツールを使う必要がありますが、無料ツールだけでもある程度は実行できます。「アベンジャーズ」を題材に、スゴ技について具体的に紹介していきます。
①ツイッターの高度な検索で、エンゲージメント指標が高いツイートのみを抽出
私は分析プロジェクトで月間10万～100万とかのツイートを分析することも多いので、これまで有料の調査ツールを使用することが多かったのですが、最近、ツイッターの基本機能でも色々な検索ができることを最近、部下から教わりました。（「え、こんなのも知らないんですか？」的な感じでしたが汗）
※以降の手順は、グーグルクロームで実行してみてください。（途中からクロームのアドインツールを使います）
■人気（≒エンゲージメント指標が高い）ツイートのみを抽出する。
まずは試しに、「リツイート500以上」の「アベンジャーズ」を含むツイートを検索してみましょう。ツイッターの検索窓で以下【】内のテキストをコピペして検索してみてください。
【min_retweets:500 アベンジャーズ】
デフォルトはTwitterの（ブラックボックスな）アルゴリズムによって任意に抽出された検索結果が表示される「話題のツイート」です。検索条件にヒットしたツイートの投稿タイミングが新しいものから順番に表示される「すべてのツイート」に切り替えてください。
※スマホの場合は「最新」に切り替えてください。
※筆者は「すべてのツイート」での検索結果を頻繁に使用しています。
リツイートが多い投稿を抽出してみると、エンドゲームで何が話題になってるかを理解しやすくなります。また、リツイート数の他にも、いいね！数やリプライ数の値を基準にしてツイートを抽出することもできます。検索コマンドについては、下記参照リンクで網羅的に紹介されています。
ツイッターの「高度な検索」を使うと、複数の条件の検索操作をしやすくなります。例えば、「500回」以上リツイートされた「アベンジャーズ」を含むツイートのうち、渋谷区で2019年6月1日～2019年6月30日までにつぶやかれたものだけを抽出という条件で検索してみてみましょう。
検索結果を最新順とするため「すべてのツイート」に並べ変えてみてください。
②無料ツール「ついすぽ」で検索結果をデータテーブルとして取得
「ついすぽ」はツイッターの検索結果のデータを取得できるグーグルクロームのアドインツールです。あまり知られていないみたいです（※執筆時点のユーザー数 1,046 人）私も最近部下に教えてもらって知りました。
Twitterの検索結果のうち、ブラウザに表示されている情報をCSVでエクスポートできます。検索結果の表示ツイートが300件位（筆者環境の感覚値です）を超えてくるとダウンロードの挙動が重くなるのが難点ですが、加工しやすいデータテーブルを取得出来ます。①で行った検索結果をダウンロードしたデータが下記です。
※フォントなどやセルの幅など、見やすく加工しています。
上記画像からはその列を削除しましたが、上位表示21のツイートまで、ツイートをしたユーザーの「フォロワー数」「フォロー数」「ツイート数」が出力されますので、ご自身で確認してみてください。
注意点すべきは、検索結果に広告ツイートも含まれることです。吐き出すCSVにも含まれてしまうので、削除しましょう。
※一番上の広告ツイートから、21行間隔をあけて次の広告ツイートが入る仕様なので、一番上の広告ツイートの行を「1」として「22」行目までの番号を連続データで記入する列を用意して、その列の値を「1」でフィルタして広告ツイートの行のみを表示させて消す、といった方法で削除できます。
③テイラードオーディエンスを使って、抽出したユーザーを狙い打ち。
プロモツイート配信の際、「テイラードオーディエンス」を使っていますか？ご存知ない方もいるかもしれません。
フェイスブックにも似た様な機能「カスタムオーディエンス」があります。主に広告主が保有するメールアドレスのリストなどをアップロードしてターゲティングに活用できる手法です。例えば自社ECの商品の最後の購入が1年～2年のメールアドレス（休眠ユーザー）のみリスト化し、休眠客向けにだけ広告を配信したり、生年月日でリストを作って7月1日が誕生日の方のみに広告配信したり、工夫次第で様々なターゲティングができます。これは、ツイッターでもできますが、ツイッターにしかできない機能がテイラードオーディエンスの「ユーザー名」での配信リスト指定であり、スゴ技への入り口となります。
②で吐き出したCSVのアカウント（＝ユーザー名）のみをCSVやテキストファイルでツイッター管理画面にアップロードして広告の配信リストを作れば、渋谷区で2019年6月1日～2019年6月30日までの「〇回」以上リツイートされた「アベンジャーズ」を含むツイートをした方を狙いうちして広告を配信できます。
テイラードオーディエンスで1名を狙い打ちしたら広く伝える広告ではなくなります。プライバシー保護の観点から、リストは100人以上のTwitterユーザーとマッチする必要があります。また、管理画面にリストをアップロードして、Twitter側で照合が終わるのに、最大で約48時間かかります。照合後にリスト数が減る傾向にあります。よって目安として100件をマッチさせるために200件〜1000件以上のリストをアップロードする必要があります。②で抽出したリツイート回数500回以上だとツイート検索結果は40件強のとなり、100件に足りないため、リツイート回数の条件を減らすなど対処し、リストを増やして実行しましょう。
①②③の方法を用いれば、様々な軸でツイートを検索して、そのツイートをCSVで吐き出してテイラードオーディエンス用のユーザーリストを作ることで、工夫次第で多彩なターゲティングができます。
著名なマーケターの足立光氏の書籍では、「ほぼ実話」としてマクドナルドをV字回復させたノウハウが紹介されています。いかに商品をPR＋SNSで話題化するかに焦点を置きPR＋ツイッターをうまく活用したマクドナルドの話題性キャンペーンの成功例が紹介されています。
ここまでで紹介した手法を使えば、マクドナルドのツイートを「ある時期に」「ある場所（例えば渋谷区）で」ツイートしたユーザーにのみ、「渋谷区にある店舗」で使えるクーポンのプロモツイートを配信するなんてこともできてしまいます。
④プロ仕様のツールを使ってもっとスケールさせる。
②で紹介した様にツイッター検索結果の表示数が300件位を超えてくると、無料ツールの「ついすぽ」だと抽出作業がツラくなってきます。また、ユーザーのフォロワー数などの情報はツイート検索結果の上位21ツイート分しか取得できません。
しかし、私が使っている有料ツール（企業ヒミツ）を使うことで、2018年の「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー 」の公開時期に、「アベンジャーズ」または「インフィニティ・ウォー 」を含むツイートを行ったユーザーのうち、鍵アカを除くツイート全数（多分、とんでもない数になります）を抽出できます。また、対象ユーザーのフォロワー数を全て把握できます。フォロワー数の情報をもとにフォロワー数999人以下のユーザーを削除すれば、2018年の上映されていた時期に「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー 」についてツイートをした方（おそらく映画を見た方）のうち、フォロワー数1,000人以上のテイラードオーディエンスリストを作って広告配信ができます。100人以上のTwitterユーザーとマッチさせることができればフォロワー数10,000人以上に絞っても構いません。アベンジャーズのファンと思われるツイッターインフルエンサーのみを狙い打ちした配信ができます。
昨年のクリスマスに〇〇というワードを含む、リツイート100以上のツイートをしていたユーザー、昨年のバレンタインデーに新宿区で△△というワードを含むツイートをしていたユーザーなど、工夫次第で様々なターゲティングができる様になります。
「君の名は。」のプロモーションも話題になっていますね。このタイトルのプロモーションでも色々できそうな気がします。
あの時に、あのツイートをしていたこういう人達を狙って、このコンテンツを届ける。
コンテキスト型のプロモートのアイデア次第で、活用の幅がいくらでも広がります。
⑤高度な効果検証とセットでPDCAする
グーグルの指名検索数やツイート数から映画の興行収入を予測したり、ツイート数からインフルエンザの流行を予測するといった先行研究があります。私も最近、note用にグーグルの指名検索から映画の興行収入や、区長選の得票数への影響を予測するモデルを作り分析したことがあります。
エンドゲームの日本での興行収入は2019年6月20日時点で60.4億円だったそうです。分析モデルによって「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の37.4億円のおよそ2.5倍の93.4憶円と予測しましたが、そこまでは届かずでしたが、前作を大きく上回るところまでは予測できました。
弊社が支援するツイッターPRでは、特定のツイートが売上や来客数などのKPIにどれだけの影響を及ぼすか？時系列データの解析などの分析によってモデル化し定量化することで、需要予測や効果検証を行う「マーケティングミックスモデリング分析」を用いたPDCAも可能です。
映画の来場数がツイートによってどれだけ増えたか？など、リアルなKPIへの影響数を定量化して把握できます。（有意な分析モデルを構築できれば）ツイッターPRをきっかけにデータドリブンな意思決定に必要な方法を取り入れたい、そうしたチャレンジをしたい企業はぜひ、お問合せください！
【ご支援の相談はコチラ】
BtoBマーケティングや拙書の宣伝での活用例
BtoBマーケティングのクライアントで、同社の顧客となりえる方がつぶやきそうなキーワードでリストを抽出し、テイラードオーディエンスでキャンペーンを作り月額数十万円でトライしたところ、リツイートによる拡散効果もあったせいか、リスティングの指名検索と同水準のCPAで問い合わせを獲得できました。効率的にリツイートを誘発し、そこからの流入によってツイッター経由の獲得を多く増やすことができたためです。また、私のツイッターアカウントからは、下記の全文公開noteなど、拙書を宣伝するツイートをテイラードオーディエンスでも配信しています。（「マーケティング」＆「データ」や「デジタルマーケティング」を含むツイートを過去に行った方などを抽出しています。）
ぜひ1章までの全文公開noteもご覧ください！
なお、データサイエンティストの師匠曰く、この書籍は「データサイエンスの（ラーメン）二郎」だそうです。書籍の中盤からは回帰分析を時系列データに適用し、更にTVCMやWEB広告が売上に影響するタイムラグや残存効果を加味して分析する高度な「マーケティングミックスモデリング分析」をテーマにした演習と解説が続き、最後の8章で、ようやく気が抜けると思いきや、因果推論のデータ分析の知識やモデル選択の視点など本格的な内容に発展する、そこからが特に濃い、だから二郎なのだそうです。
※本noteのアイキャッチ画像は上記「ラーメン二郎」Wikipediaより参照致しました。
序盤から中盤まではあっさりめですのでご安心下さい。マーケターに役立つ、分析を網羅的に紹介していますので、ぜひチャレンジ頂ければ幸いです！
【note】
https://note.mu/ogataka
【Twitter】
https://twitter.com/dancehakase
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
追加情報（2023年12月23日更新）
マーケティング・アナリストとして、どんな価値を提供しているのか？紹介しております。