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わかるとつくる

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「わかる」ってなんだろう。なぜ人は「つくる」んだろう。理解と創造性について考えます。
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2019年5月の記事一覧

フィルターバブルと環世界、対話と共話

フィルターバブルと環世界、対話と共話

2017年にNTTインターコミュニケーションセンター(ICC)で開催されたシンポジウムに登壇した5人のボードメンバーを中心に、さらに議論を深める場としてはじまった「情報環世界研究会」だが、ボードメンバーの間で当初から共有していたテーマの一つに「フィルターバブル」があった。

フィルターバブルとは?世界の人々を繋げ、オープンなものにするはずだった情報テクノロジー。それが今や、データとアルゴリズムによ

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ニュー・ダーク・エイジ

ニュー・ダーク・エイジ

とある山あいの駐車場で白線で囲まれた円から出られなくなってしまった「自動運転車」の動画をご存知だろうか。この作品の作者であるジェームズ・ブライドルは、「自動運転車」自体もDIYで開発してしまうほど自らテクノロジーを駆使しながら、一方で哲学や美学など人文学にも精通し、テクノロジーに対する鋭い洞察に基づいた作品や論考で注目されているイギリスのアーティストであり思想家である。

「破線側から実線側へは白

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生物から見た世界〜「環世界」とは何か

生物から見た世界〜「環世界」とは何か

前回書いたように、「情報環世界」は「環世界(Umwelt)」という概念を拡張し、現代の情報社会に適用した概念だ。そこで『情報環世界―身体とAIの間であそぶガイドブック』を読み解くために、まずは「環世界」とは何かをもう少し紹介しておきたい。

コウモリであるとはどのようなことか東京郊外の一軒家に住んでいた時のこと。ある日の深夜、2階で寝ていると1階の玄関ドアの内側にぶら下げていた小さな鈴がチリンチリ

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『情報環世界―身体とAIの間であそぶガイドブック』

『情報環世界―身体とAIの間であそぶガイドブック』

平成最後の日に、共著者として執筆した『情報環世界―身体とAIの間であそぶガイドブック』がNTT出版より発売された。この本が生まれるきっかけとなった「情報環世界研究会」がスタートしたのは2017年。共著者である5人のコアメンバーを含め、各分野で活躍する研究会参加メンバーの方々と1年以上の時間をかけて出来上がった本で、ぜひ多くの方に読んでいただきたい1冊だ。

そもそも「情報環世界」って何?身体とAI

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