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上勝町の山奥「いながらにして宇宙を感じる」仙人ダヨネさんとネパールカレー

ETIC.の主催するローカルベンチャーラボ《テーマ:拡張家族》というのもに参加しています。7/3-7/6で合宿をしてきたので、そのレポートを書きます。

初日は瀬戸内海に浮かぶ犬島という場所を訪れたのですが、そっちはまだ編集中につき、先にこちらを公開。

犬島の次にやってきたのは徳島県は上勝町(かみかつちょう)。一流料亭などが、 皿の上に置くきれいな葉っぱ(「ツマモノ」というらしい)を売って、 年 1000 万円を稼ぐおばあちゃんがいるという「はっぱビジネス」 で有名な町です。名前はよく聞くけど来たのは初めて。人口は約1500人。ほとんどの土地が山です。住宅エリアは川沿いに並んでいて、空気が澄んでおりとても清々しい町。

合宿中、我々は、上勝町の山奥に一人で暮らしている 男性、中村おさむさん(御年73歳)のご自宅を訪れました。

電気・水道は一応は通っていますが、まさにポツンと一軒家という感じの山奥の家は、ちょっとした買い物に行くのも片道、徒歩一時間はかかります。

中村おさむさんは、「⚫⚫だよね」というのが口癖で、「ダヨネさん」とも呼ばれるお人。

このダヨネさんが、たいへん示唆に富んだ暮らしをされている素敵な方でしたので、その人柄や生活、私の感想などをシェアさせてもらいます。

まずは、かんたんにダヨネさんの歴史を。

約50年前、20代のダヨネさんは、日本の高度経済成長期に社会人となって、慎ましい生活から、モノをたくさん買える生活への変化を経験しました。「車なんか持てるなんて思わなかったけど、買えちゃったんだよね。嬉しかったよね」。

夢だと思っていた車も買え、日本はどんどん豊かになっていきました。でも、20代後半の頃に、「そういう生活も良かったけど、もっと自分の知らない、色んな世界を見てみたかったんだよね」ということで 、旅人となって世界中を回ります。その期間、なんと15年。ときどき、レストランで皿洗いなどをしながら興味の赴くままに世界を見て回りました。ネパールが気に入って長く居たそうです。

しかしダヨネさん、40歳を過ぎてから、突如、日本に 戻ってきて、 ネパールの知り合いの紹介で上勝町での生活を始めます。

「なんで戻ったか? ものを創る生活をしたくなったんだよね」。

上勝町に移住してからしばらく、一年のうち2ヶ月は名古屋で五平餅を焼く出稼ぎをして、それ以外は山奥の家での創作活動に充てています。写真はダヨネさんの作品の一部。



写真のようなアート作品も描きますし、畑もやりますし、かまども自分で造るなど、様々な創作をされています。



年金をもらうようになってからは、出稼ぎはやめたそうですが、約30年、このような生活を続けています。

ダヨネさんの生活は、「たいへんなことはしたくないよね。楽しいのが一番だよね」という自然体のスタイル。

山奥に一人で住んでいるので、人と関わるより一人で創作活動をしたいのかというとそうでもなく「こうやって誰かとおしゃべりするのが一番楽しいよね」と。人と会うのは好きなようです。

そして、ダヨネさんが大事にしていることの一つは「自分で決める」ということ。「ちゃんと自分で決めるのは大事だよね。そうじゃないと、誰かのせいにしちゃったりするよね。誰かのせいと思うと面白くないよね」。そんなようなことを言っていました。

これまでの人生を通して、「楽しい」と感じることに素直に従って、それを実現できる方法を考え、やってこられたんだなー。

お金についても、「まず、自分の暮らしたい生活を決めて、それに必要なお金を稼いだらよくて、あとはあまりお金を使わなければなんとかなるよね。最初にちゃんと決めるのが大事だよね」とのことでした。

こういった生き方は、現代の我々から見て、非常に示唆に富んだものであり、本質に沿った生き方であると感じます。

きれいに整頓された自宅のキッチン(牛小屋を改装)には、ダヨネさんが旅の中で長期間過ごした、ネパールのカレーを作るためのスパイスがずらり。

この日も、一緒にスパイスからネパールカレーを楽しく作らせてもらいました。

カレーを創りながら、ダヨネさんに尋ねました。

「15年間、知らない世界を見てみたいという想いで、世界中を旅されて、その後は30年間、上勝町に滞在されていらっしゃいますが、旅をしていたころとは、関心の方向が変わったのでしょうか?」

これに対するダヨネさんの答えはこう。

「そんなことはないよね。一緒だよね。ここにいながらにして 宇宙を感じるよね。毎日、新しいことの発見だよね 。明日はどんなことが起きるんだろうって、そう思うといつも楽しいよね」

-いながらにして宇宙を感じる-

この言葉、かなり重みを持って私の中に残りました。ズシっと。

人里離れた山奥で、30年同じ場所にいながら、日々の生活の中に宇宙を感じる。小さな変化に敏感になり、いくつになってもワクワクする。

きっと、同じ空や同じ山を見ても、ダヨネさんは違うものを感じているんだろうなー。

そんなダヨネさんと一緒にカレーを創って「美味しいですねー」と言い合える時間を過ごせたことで、なんか、そういった感覚も含めておすそ分けをしてもらえたような気もして、なんとも良い時間でした。セッティングしてくれた、GO Asanoさんありがとう。

そして、「ご飯を一緒に作って、一緒に食べる」はやっぱりすごい。

作る過程、食べる過程、それぞれの時間で関係性が深まって、立場が違うもの同士の感覚が交わる。土台に「美味しい」があるとみんな機嫌が良い。

これを、どう持ち場で自分たちがアレンジするか、色々と考えています。

あ、ダヨネさんがご飯のあとで我々に教えてくれた「塗り絵」の体験もとても面白かったです。技術はいらないけど、自分の感覚がしっかり形になっていく。

やり方はとてもかんたんなので、興味ある人は、言ってください。一緒にやってみましょう。


サポートいただけたら、最もお世話になっている奥さんに美味しいものを食べてもらおうと思います😃