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どうすれば社長がコンテンツを出し続けられるのか? 編集者と一緒に考えてみた

こんにちは。Voicy代表の緒方です。

この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりや、いま考えていることについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。

このnoteの連載、ついに100回目です。いつも読んでくださっている皆さま、ありがとうございます。今回は100回記念に、特別ゲストとの対談をお届けしたいと思います。

編集者・ライターであり、Voicyの人気チャンネル「ドングリFM」のパーソナリティとしても活躍している鳴海淳義さんです。

この右のアイコン、見覚えがある人もいるかもしれません。

いきなり、ちょっとした“ネタバラシ”があります

緒方:というわけで、今回はドングリFMの鳴海さんを対談のゲストにお招きしています。よろしくお願いします。

鳴海:よろしくお願いします。鳴海です。

緒方:そもそも、なぜ鳴海さんをお呼びしたのかといいますと、いままで外には公開してなかったのですが、実はこの「声の履歴書」第1回からこの100回まで、全部、鳴海さんが書いてます!

鳴海:ははははは! それ、僕いままで誰にも言ってこなかったんですよ。僕としては完全に黒子に徹してきたつもりなんですが、バラしちゃっていいんですか?

緒方:面白いから発表してしまおうと思いまして。声の履歴書というコンテンツ、いつもどうやって作っているかといいますと、僕と鳴海さんが月に何回かオンラインで話をして、僕が喋ったものを鳴海さんがテキストに起こして、編集者として手を入れてくれて、こうやって記事になっています。

さらに鳴海さんは「緒方だったらこう喋りそう」みたいなテイストも盛り込んで文章にしてくれていますよね。

いま思えば、初めの頃は「うーん、もうちょっとこう書くかも」ってけっこう直しを入れてたのに、最近もうまったく直すことがないですからね。

鳴海:もうね、期間としては3年近くなるじゃないですか。3年にわたって隔週に近いペースで1時間、2時間と話を聞いていると、緒方さんが憑依してくるんですよね、頭の中に。

だから書く内容もだんだんと緒方さんの口調になるし、思想も入ってくる。なんなら関西弁もうつってくるし、実際には言っていないことも、「こういうふうに結論つけるだろうな」みたいなことを考えて、書いたりしてますからね。

緒方:僕は鳴海さんを相手にガーッと話して、上がってきたテキストを読み込んで、それをもとに自分でVoicy版の「声の履歴書」を収録するんです。

最初に話すときは勢いのままですが、テキストを読んだ時に頭が整理されるというのもありますね。

鳴海:テキストコンテンツと音声コンテンツを同時に作るために考えた方法ですが、考えを整理するためにもいいサイクルになっていますね。

話を聞いてもらうと、頭の中が整理され、引き出される

緒方:これめちゃくちゃ助かるし、この仕組みがなかったらできなかったと思いますよ。なにより「話を聞いてもらう」というのが大きい。自分で話してるときに、どの部分に興味を持ってもらえるかってそこまで認識できないんです。

でも鳴海さんが編集者として「このへんはもう少し掘り下げたらおもしろくなりそうだ」みたいな感じでつっこんでくれるから、「あ、そこですか? わかりました」と、どんどん話せます。

ひとりでネタを考えて100話まで自分でしゃべって、記事も全部書けって言われたら、もう死んじゃうよね。

鳴海:「社長」という役割のひとが、そこに頭を使うのってリソース的に厳しいと思います。あとは聞き役がいたほうが喋りやすいのって誰でもそうですよね。

僕がやってるのって、実はあいずちを入れると同時に、詳しく語ったらおもしろくなりそうな箇所を探し当てたり、読者視点で理解しづらいところを繰り返し話してもらったり。要は編集者として仕事をするときの頭でインタビューしている感じです。

しゃべることも書くことも、もちろん誰でもできるっちゃできるけど、編集者が付いていたほうが圧倒的に生産性が上がるし、やりやすいんじゃないかなって、見てて思いました。

社長の頭の中を非同期にする

緒方:そうですよね。始めたころは、こうやって100回まで続くかなんて考えていなかったです。「とりあえず1回やってみましょうか」みたいな感じでスタートして、こうやって1980年生まれのヒゲの2人がZoomにつないで…。

鳴海:ははは、同い年ですね。おっさん2人で喋って、コツコツとコンテンツ作ってますからね。

緒方:そうそう、毎回「元気?」みたいな感じでね。でもやっぱり、こうやって積み上げてきたのはすごい資産になっています。

採用面接でも「このnoteを見てきました」っていう人はめちゃくちゃ多いですし、社員も読んでくれています。自分の頭の中を整理できるだけじゃなくて、外に伝えられているのがよかったです。

ほかの経営者の方からも「ああいうのやりたい」って言われます。でも、大変なんでしょう?みたいな感じにはなりますね。

確かにひとりでやるのは大変だとは思いながら、自分でも昔のコンテンツを振り返れるので、その時その時でちゃんと感情と事実をアーカイブしていくっていうのはとても大事だなと思います。

たとえば、いまになって「3年前のあの時の出来事を喋ってくれ」って言われても、話すことは話せますけど、自分の感情まで入れるのは難しいです。

鳴海:時間が経ってしまうと、どうしてもライブ感がなくなってしまいますし、スタートアップ企業の一番のリソースである社長の頭の中を、そのつどしっかりとアウトプットしておくっていうのはすごい資産だと思います。

加えて、それが非同期という形で、誰でもいつでも読める状態になっているといろいろ役立ちますよね。

緒方:そうです。社員も「あの社長が昔はこんなことを考えながら必死で頑張ってたんだな」とか、そういうのも伝わると身近な感じがするじゃないですか。よく勘違いされるのが、「社長は昔から社長だ」って思われがちなんですよ。自分の親が昔から親だったみたいな。

でも実は親も社長も、はじめは1年生ですから。社長になってから1年生、2年生、3年生なわけですよ。

社長というものはビジネスパーソンとして完璧に出来上がった存在だと思われがちなんです。でも実際は全然そんなことなくて、未熟さや青臭さも、その当時のまま届けられるといいなと思います。

苦労話や武勇伝を何度もしなくていいように

鳴海:この「声の履歴書」という連載、ぜひ昔の記事も読んでほしいです。けっこうめちゃくちゃですよ。

緒方:そう。むちゃくちゃよ。

鳴海:最近になって、ようやく、いい意味で普通になってきたんじゃないでしょうか。昔は「採用のために会社で毎日みんなで鍋をやってました!」とか「起業して最初にやったのはアナウンサー学校に通うこと」みたいなことを書いてますからね。

緒方:確かにそうだった。こういうのって、なんというか、全社会議とかでいちいち喋ることでもないわけですよ。僕が何度も語ってたら、もううるさいじゃないですか。

たまに知りたい人がちょっと暇な時に読むのがちょうどいいんです。全社に向けて絶対に言わなきゃいけないわけじゃないけど、タイミング良ければ聞いておいてほしいみたいなコンテンツっていうのが、実は一番多いんだろうなと。そのへんがこの連載で出せましたね。

鳴海:上司とか社長の昔の武勇伝とか苦労話って、初めて聞く時にはいいんですけど、長く在籍していると何度も何度も聞かされるわけじゃないですか、居酒屋とかで。さすがに鬱陶しいから、音声化して置いておけばいいんですよね。

​​緒方:そうそう。僕も新しい社員が入ってきたら、新しい気持ちで一応喋るけど、きっと周りの人たちは「またか」となってるわけで。

鳴海:何度も喋るのだってけっこう大変ですよ。ただ、僕は聞き役を3年以上やってますけど、緒方さんは話が上手いと思います。何を聞いてもとりあえず話してくるじゃないですか。その瞬発力はさすが関西人だなと思いますね。

反射で語ってそうなのに、それがある程度は芯を食ってる気がするから、何らかのテキストは書けるんですよ。僕、長年いろんな人を取材してますけど、緒方さんの喋りの瞬発力っていうのは「鍛えられてるな」と感じますね。さすがVoicy。

緒方:もうね、喋るので生きてますから。この3年間ぐらいで100回やってきてみて、鳴海さんの中での変化とかおもしろかったことはありますか?

「これをやっていなかったら」と考えると、ゾッとする

鳴海:僕は緒方さんと話すことを通して、Voicyのいろんなフェーズを見てきていると思うんですよ。

数年前、Voicyが突然バズったりして、社内がもうてんやわんやになったりとかして、社員が増えて、でも組織運営はすごく難しくて、苦労されてるのも見えてくる。

そこから時間がたって組織もうまく回りだして、プロダクトとしても成長して、ユーザーが増えて、いい循環が回ってきているのを、この「声の履歴書」をやりながら間近で見ているわけで、勝手に感慨深さを感じています。

緒方:その時の社長の心の中、頭の中っていうのはなかなか保管してられないし、日記書くのも大変だし、日記って自分用にしかならないし、って考えると、いいものが残ったと思います。

これが社外にも何千人に届いてるし、社内のメンバーもみんなけっこう聴いてくれているので、これをやっていなかった時のことを考えたら、ちょっとゾッとする。

日経新聞の「私の履歴書」ってあるじゃないですか。あれをイメージして「声の履歴書」っていうタイトルしたんです。でもそれ以上に、すごくリアルタイムの効果がありました。これ、あとで本にならないのかな。

鳴海:いつでも本にできるんじゃないですか。テキストも音声もあるわけだから、テキストを編集して本にしてもよし、音声から起こして本にしてもいいですよね。

将来、本の形ってわからないと思うんですよ。音声コンテンツを自動でテキスト化したら本になるかもしれないし、テキストコンテンツを自動で読み上げたら、それが音声コンテンツになる。

実は本と音声の境目、そのうちなくなるんじゃないかと思うんですよね。

緒方:本当ですね。これは自分がVoicyをやっているからじゃなく、本当にやっておいてよかったなと思う。

社長が1時間話したときの情報量はすごい

鳴海:蓄積すればどんどん効果が出てくるものだから、僕は他のIT企業の社長さんとかにはおすすめしたいですね。

これ、けっこう生産性が高くて、1時間くらい話すと2、3本は記事ができます。人って1時間で数万字分くらい喋ってるんですよ。緒方さんの場合、さらにすごい。1時間あたりに喋る文字数は他の人より圧倒的に多いですよ。

緒方:はははは。そうだね。だいたい1.2倍くらい喋ってるからね。

鳴海:絶対に多いです。それをちゃんと分けていくと、「こんなに記事になった?」みたいな取れ高になります。そもそも社長って話すのが上手いし、口数も多い人たちだから、1時間喋ったら相当なコンテンツができると思ってもいいんじゃないですかね。

緒方:たしかにそうかも。そういう仕組み、もっと世の中に広がったらいいな。どんどん新入社員が入ってくる会社にはめちゃくちゃありだと思う。

いやでも本当にね。鳴海さんのおかげでここまでできたので、もう感謝ですよね。

鳴海:それはよかったです。僕も話を聞いていて、最新の緒方さんの頭の中を一番はじめに聞けるっていう体験はとても楽しかったですし、記事を書きながらワクワクしました。

緒方:本当、第100回までありがとうございました。

鳴海:ありがとうございました。200、300とね、続くといいですね。

緒方:そうですね。お互い忙しくなって頻度が落ちないようにだけしないといけないですけどね。また今後ともよろしくお願いします。

読んでくれる皆さん、リスナーさんもいつもお付き合いいただき、いつもありがとうございます。

鳴海:はい、ちょっとしたネタバラシでした。

緒方:ネタバラシでした。ありがとうございました。


ーー最後まで読んでいただきありがとうございました!これを書いているのも鳴海でした。

声の編集後記

記事の執筆後に、内容を振り返って音声でも話しています。よかったらこちらもお聞きください。

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