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会社やサービスの思想は意外と、「遠回りしているところ」に現れる【声の履歴書 Vol.55】

こんにちは。Voicy代表の緒方です。

この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。

前回、私がいろんなプロフィール欄に載せている「ビジネスデザイナー」という不思議な肩書について、「社会の流れと不確実性に対して、企業がどうあるべきか。そこに立ち返ってデザインすること」と書きました。

今日はそのコンセプトはVoicyにも生きているよ、という話です。

事業においても少なからず「美学」が必要に

ここ数年、よく言われるのが消費の変化です。

比較サイトを見て選ぶ人、ポイントが溜まっているところで買う人もいますし、その一方でインフルエンサーが勧めているからとか、「ストーリー・世界観がぴったり合うから」という理由でモノを買う人もいます。

そうしたときにお客さんから「好かれる」「惚れられる」ためには、それに見合うような恥ずかしくない事業、素敵な事業をする必要があります。ある意味、事業においても少なからず「美学」だったり、「武士道」みたいなものが求められてきている。

それはスタートアップも無縁ではありません。ただ稼げればいいですよ、規模を大きくしたらいいですよという、あえていうと「旧態依然の古いの考え方」ではやっていけない世界になってきました。

スタートアップ、起業家といえばいかに稼ぐかという人が多いように見えるかもしれませんが、実は本当に上手くいっている起業家で、「こうやったら儲かるからこのやり方をぐるぐる回し続けようぜ」なんて言っている人はいないと僕は思っています。

海外を見たら、トップの人ほどクリエイティブです。「世界はきっとこうなると思うからこういうことをしよう」「そのとき僕らはこうありたい」というビジョンをサービスに落としこんで事業をつくっている。そういう感覚が強いです。

前回書いたように、世の中の流れはどんどん早くなって、不確実な社会になってきた結果、正攻法というものが徐々になくなってきたわけです。過去をトレースしたところで上手くいかない。

ビジョンと美学を持ちながら、それでいてどうやってそれがビジネスとしても成り立つのか、というところを考える。もちろんちゃんとPRもしないと伝わらない。そういう時代の変化がありますね。

意外と「遠回り」をするときにサービス思想が現れる

こういった考え方は当然Voicyにも反映されているんですけど、例えば「審査制」は一番顕著な例かもしれません。

やっぱり誰かれ構わずチャンネルを開いてもらったほうがユーザー数自体は伸びるけれど、そこはあえて一歩引いてみているところがあります。

まずはVoicyの世界観や文化に共感していただいて、一緒に引っ張ってくれる人から集めるというのは、すごく僕たちらしいと思う。

あとはUIですね。とにかくセオリー通りのものをつくらない。新しいカテゴリのサービスなんだから、「使い勝手から新しい」と思ってもらえるようなものにしようと。そういう決して最短距離を行かないところにVoicyらしさがあるのかなと思う。

プレミアムリスナーのかたちもすごく特殊ではありますよね。こちらに詳しく書きましたが、ただの課金機能ではないわけです。「プレミアムコンテンツ」ではなく、「プレミアムリスナー」とした意味があります。

このあたり、Voicyとしてのビジネスデザイン、サービス思想が出ていると思います。いい意味での遠回りと言ってもいいかもしれません。「あえてそうやっている部分」に何か大事なものがあります。

最初は全然マネタイズを考えてなくて、ほとんど無料で使えるのに広告も入れてないから儲からないとか。ほぼ全部遠回りでしたけど(笑)

「そうだ、これがやりたかったんだ」を再発見する

ビジネスデザイナー。僕は起業する前のベンチャー支援業のときからそう名乗って活動してきました。

当時、僕がいろんな会社に行って起業家と話をしたり、壁打ちの相手になっていると、相手がふとしたときに「そもそも僕はこれがやりたかったんです」と言ったりする。それがすごく嬉しかったんです。

そこから会社が伸びていくのを何度も見ました。その人が潜在的に思っていたことをちゃんと形にしてあげられることにビジネスデザイナーの魅力を感じていました。

いろいろと関わらせてもらった中で、今では日本を代表する会社になってきたところもあります。それはすごく嬉しいです。スマートロック「akerun」のフォトシンスとか「まごチャンネル」のチカク、あとはWASSHAというアフリカに電力を通す会社だったり、PR TableやBAKE。

挙げてみると、どこも独特で新しいものをつくっている会社だと思うんです。本当に会社が小さくて社長しかいないような時期から、一緒に未来のことを考えていました。

「どうあるべきか」を決めるのは社長の仕事

世の中のブームには恒久的に残るものと単発的に盛り上がるものがあります。最近は単発で話題になったものには「なるはやで乗っても間に合わない」時代になっちゃったんです。

正解らしきものをいち早く見つけて追いかけよう、じゃなくて、自分たちがどうあるべきかに気づくときなんでしょうね。正解を探そう、いろんなものを見て一生懸命やろうとすると、小さく収まるし、なかなか上手くいかないことが多いです。

そこはまさに起業家・社長の仕事だと思います。どうあるべきかはボトムアップで決めることではないんです。

社員のみんなにクリエイティブな仕事をしてほしかったら、クリエイティブなことを大事にする会社にしないといけないですね。誰かがすごくクリエイティブなアイデアを思いついても、承認されなかったら意味がない。そう考えたときに、「正解じゃないけれどきっと進むべき道」を考えるのは社長しかいない。一般的な正解を探してくるのが社長の仕事じゃない。

そこを見つける手助けができるのがビジネスデザイナー。緒方に声をかけてくれたら、どこでも行きます。これまでと同じ方法では通じない世の中、どうすべきかを一緒に考えたいですね。


ーーありがとうございました。よかったらまた読みにきてください。

声の編集後記


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