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Voicy代表がサービスローンチ前にアナウンサー学校に通った理由 【声の履歴書 Vol.5】

こんにちは。Voicy代表の緒方憲太郎です。

Voicyがこれまで歩んできた道のりについて書くシリーズ。第5回目の今回は、Voicyを創業した僕が、なぜかアナウンサー学校に通い始めた話です。

サービス開発は共同創業者でエンジニアの窪田に任せっきりで、そのあいだ僕はずっと学校に通っていたわけです。いったいなぜ?…と不思議に思われるかもしれませんが、このときの経験がVoicyというサービスにも活かされています。

緒方の昔を振り返るシリーズ、まだまだ続きますので、よかったらnoteをフォローしてみてください。

当時35歳、ただのおっさんがアナウンサー学校に入学

実は僕、Voicyを創業して最初にやったのはアナウンサー学校に通うことだったんです。

Voicyのアプリをリリースしたのが2016年9月23日なんですが、エンジニアの窪田に出会ったのはその1年前、2015年の春です。「音声ちょっと面白いかもね」「なんか作ろうぜ」って意気込んで窪田が前の仕事を辞めてしまったのが2015年10月。

なんとリリースまで1年間無報酬。僕も無給でやっていたわけです。

窪田はその後ずっとサービスを開発していくわけですけど、僕は音声の発信をするアプリには、話すネタが備わっていないとダメだと思った。だからニュースに対して一言コメントや解説をするようなものはどうだろうということで、メディア回りとかしていました。

そして同時にキレイな読み方とか声の出し方も知っておかないと音声アプリに生きないだろうし、自分でも上手な話し方というものを知っておきたい。とにかく実際に習ってみたくなったんです。

もう1つは音声に関して夢を持っている人とか、何かを読み上げることに対する熱意のある人たちに出会いたかった。そういうわけで当時35歳、ただのおっさんがアナウンサー学校に入学しました。

アナウンサー学校にはいろいろなテレビ局が運営するものがあるんですけど、その中で一番評判が良さそうというか、メジャーだったのが、「テレビ朝日アスク」という学校。

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テレビ朝日の運営なので場所は六本木だし、その当時は私ネットワーキングの鬼だったので、絶対校長とも仲良くなってやると思いながら選びました(結局仲良くなります、飯も行きました)。

申し込みをして、無事入学しました。「よし、学ぼう」となりますよね。で、六本木の学校に行ったら、もう可愛い女の子ばっかりなんですよ。教室に皆バーッと並んでいるところに、ガチャってこの髭面が入っていくわけですよ。ものすごい笑顔で皆が「こんばんはー!」みたいな。

もう声のトーンが何トーンも高いわけですよ。彼女らは完全に僕が先生か、なんなら校長かな?くらいに思っています。もしくは実はスカウトの裏の顔を持った凄腕の事務局員かもしれないなと。

心の中で「俺も生徒や……」って言いながら入って行って、ちゃんと生徒側の椅子に座るわけですよ。そのまま授業が始まるのを待つんですけど、その後、先生が来たら、「え?あの人生徒だったの!?」みたいな空気があってですね。

けっこう気まずいというか、苦しい空間でした。ただ学校では学びもあって、もちろん朗読とかもちゃんと勉強しました。クラスで一番真面目だったんじゃないかと思います。

徐々に上達し、ナレーションの仕事を受けるまでに

実は僕の父がアナウンサーなので、実家はめちゃくちゃ滑舌に厳しかったんですよ。関西なのに家の中だけは標準語でしたから。外で友達と話すときは「なんでやねん!」とか言ってめちゃめちゃベタベタの関西弁。でも家帰ったら、「ただいまー、これこれこうだったよね」みたいな感じになる(笑)

というわけで学校でいろいろ学ぶわけですけど、見苦しいぐらい頑張りました。「ここでは頑張る以外に存在意義がない」って思ってましたから。だって僕が一番アナウンサーになる理由ないんですよ。だからこそ一番頑張らないといけないわけです。

宿題とかも、先生が「あなたたち本当にやってるの?」「滑舌なんて練習なんだから毎日やらなきゃダメでしょ」「週5日やってる人は?ほとんどいないじゃない」「週7日やってる人?」「はい!」僕だけっていう感じで(笑) 1人だけガチでやってるわけですよ。

そうすると、だんだんと周りの生徒から「上手いですね、放送部の方ですか?」みたいなことを言われはじめて、いやいや実はこんなサービスを作っているんですって説明したら、「使ってみたいです!」って。

当時はサービスもリリースされていなし、名刺には自分の手書きで作ったロゴだけ。その名刺を配って、まだリリースされていないアプリのテストファイルを渡すわけですよ。そこでけっこう使ってくれる子がいたんですよね。ありがたかったです。

結局アナウンサー学校には3ヶ月通いましたが、かなり上手くなりましたね、こんな感じです。

よかったら動画を再生してみてください。この冒頭のナレーションからラストの次回予告まで僕の声です。

これはもちろん入学する前はできなかったことですが、めっちゃ勉強してできるようになりました。

大事なのは発声の上手さではなく、身体性とキャラクターだった

最後は他人の朗読指導もするようになりました。「ここはこう読んだほうがいいよ」って。習うより教えているほうが覚えます。教えているとどんどん自分も上手くなります。

後にVoicyに「セントフォースチャンネル」ができた時は、学生でセントフォースさんに所属してる女の子に毎日朗読のフィードバックを返してました。

声を勉強した成果はサービスにもちょっと生きました。Voicyをリリースした直後はユーザー数が少ない中でやっているから、チャンネルをつくって発信してくる人がいないわけですよ。

だから僕1人で声を変えて4チャンネル放送していたんです。たぶん聴いても同一人物だとわからなかったと思います。それだけで元が取れました。

もともとは音声に関するアプリなんだから、社長も上手な話し方を身に着けないとカッコ悪いと思って学校に通ったですけど、実際に勉強してみてわかったのは、コンテンツの良さに話し方や発声の上手さは関係ないということです。

大事なのは声の良し悪しじゃなかった。身体性というかその人のキャラクターのほうが重要だということに気付けたのは本当によかったです。声で自分をキレイに繕う意味なんてないんです。

Voicyは声の本人性だけあれば良くて、だみ声でもなんでもOK。それはむしろ声を学んでわかったかもしれないですね。

――次回は共同創業者でありCTOの窪田との出会いについて(マガジンにもまとめていくのでよかったらフォローお願いします)。

声の編集後記

音声では毎回ここには書けない裏話をお届けします!よかったら聴いてみてください。



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