モジャの恩返し〜入籍記念日を迎えての昔ばなし〜

昔々あるところに、頭がモジャモジャの駆け出しのインテリアデザイナーがいました。

モジャはいつかはデザイナーとして独立する日を夢見ながら、カイシャで毎日遅くまで働いていました。

そして、りーまんしょっくと大震災という大きな波を、カイシャという船で乗り越えたモジャは、ついにカイシャから降りて自分の小舟に乗る日が来ました。

築40年のマンションでの船出

イチブジョウジョウの大きな客船から降りたモジャは、コウエンジのボロボロの築40年のマンションの1室で、ふりーらんさーとして仕事を始めます。

ところが、大きな船の中で働いていたモジャは、営業も経理も経営も、ぜんぜんわかりません。

よくわからないゲンセンチョウシュウに、支払いサイトなど、たくさんの呪文にまどわされて、困り果てる日々。

それでもモジャは、カイシャにいた時以上にがんばって働きました。自分の名前の出せない下請けや孫請けの仕事をしながら、自分名義の仕事を少しづつ重ねて行くのでした。

転機になった講演への登壇

ある時モジャは、母校で学生や若者向けの講演をすることになりました。

もともと教えることが大好きだったモジャは、喜んでたくさんの資料を作って、40人の生徒たちに知恵を配って回りました。

講演は有名なゲスト講師の方々の協力で大盛況。

そして、その中にいた生徒の1人と、モジャの友人とで話が盛り上がり、ポップアップのフードイベントをする事になりました。

仕事をしながらのイベント準備は大変でしたが、出張の合間を縫ってなんとか準備を進めました。

しかし、荷物の搬入搬出をする時になり、誰も車を出せないことがわかります。

モジャは30歳なのに車も免許も持っていません。搬入の資材はスーツケースで運ぶには無理があり、モジャは途方にくれました。

アラサー車持ちのマハル

そんな時に、生徒の知人のマハルという、アラサーの車持ちの女性が助けてくれることになりました。

困っていたモジャは一安心。マハルのおかげで無事に搬入搬出もできて、なんとかイベントを成功させることができました。

搬入搬出の時、マハルが運転する車に一緒に乗ったモジャはいろいろな話をしました。

マハルはとても美しかったので、モジャは一目でマハルを気に入りました。帰りの車の中で同い歳ということで話が盛り上がったのをいいことに、モジャはマハルをごはんに誘いました。

マハルもはじめは「忙しぶって設営や準備の合間にもノートパソコン開いてるなんて、なんだこの意識高い系のモジャ野郎が ！」と思っていましたが、話してみると頭はモジャモジャだけどいいやつだなと思い、食事の誘いを受けることにしました。

そうして2人は何度かゴハンに出かけて、付き合うことになりました。

ところが、アラサーのマハルには結婚願望と3人の子供が欲しいという野望がありました。

人生設計を逆算すると今すぐにでも子供の欲しいマハルは、付き合うなら結婚前提！という条件をのませて、モジャをSiriに敷くことに成功したのでした。

マハルのバファリン

そんなある日、モジャが仕事でポカをしてしまいました。

モジャは大損とクレーム処理で身も心も疲れ果ててしまい、もう仕事を辞めようかと思い悩みます。

そんな弱り切ったモジャに、マハルが声をかけました。

「私がいるから大丈夫」

「みんなが敵になったとしても、私は味方」

弱り切って頭も心も痛くストレスでハゲそうなモジャには、この言葉はバファリンよりも優しく沁みました。

なんとか毛根の元気とヤル気を取り戻したモジャは、壊れてしまった信用をまたコツコツ積み重ね始めました。

そうして、トラブルの傷跡は残りましたが、失敗を糧に少しだけ成長したモジャは、マハルと結婚して、支えあいながら仕事をがんばりました。

6月6日、入籍記念日

今ではモジャとマハルの隣には、愛らしくわがままな2人の娘が座っています。

モジャはマハルと喧嘩をしたとき、今でもつらかった時に助けてくれたことを思い出します。

「コノゴオンハ イッショウ ワスレマセン」

空腹や寝不足からくるマハルの理不尽な怒りも、モジャはあの日のことを思い出せば水に流せます。

今日はモジャとマハルの入籍記念日です。波乱万丈で始まった2人の暮らしは、いつのまにか4人の暮らしになりました。

妊活と保活を乗り越えて、今度は育児と家庭問題に悩まされながら、今日もモジャとマハルはがんばるのでした。

めでたしめでたし。

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